文献名1浪の音
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3堂山の滝よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
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データ最終更新日2024-10-31 06:24:00
ページ264
目次メモ
OBC B120900c47
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本文
大江山雪は真白に積りゐて何鹿の野は風こほるなり
身をきらむばかりの寒さ苦しさを不動の滝にゆきてうたれし
堂山の谷間を落つる白滝は水勢つよく水壺ふかし
淙淙と水声ひびく滝の下の小夜の降ちは心静まりぬ
さつと吹く風に梢の白雪は大きくかたまり滝壺に落つ
吾ひとり滝水浴びてゐたる折しのび寄り来る人の影あり
からからといやらしき声張上げて嘲り笑ふかげのさびしも
この谷に妖怪すむとききしこと思ひ出しておぢけたちたり
男の子われ妖怪ぐらゐに恐れゐて神業ならじと気をとり直す
満身の勇気をふるひ妖怪に対抗せんと思ひつふるふ
西原の狂者
天も地も凍りつきたる滝のべに身をぬぐひつつ衣まとひぬ
よくみれば豈はからむや西原の野崎といへる狂者なりけり
この寒き夜半を何しに来たりしと問へば野崎はますます笑ふ
返答をせよと迫ればこの野崎神示によりて来りしといふ
上田さんを迎へに行けと神様がきびしき命令下せしといふ
この滝に先生の姿みえし故うれしさあまりて笑ひしといふ
いやらしき声を出すなとわれ言へば畏まつたと言ひつつ笑ふ
綾部までお供をすると云ひながらわが後べに従ひ来れり
堂山の荊棘わけて羊腸の月てる小路を坂くだり行く
月の空返してグラグラ降る雪は見る見る道を埋めて寒し
打震ふ身を支へつつ雪つめる細き山道下る小夜更け
大空に雪雲ふさぎほの暗き谷間の山路は心寂しき
梢ありて雪を含める大空の雲ちりにつつ月出でにけり