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文献名1浪の音
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3生家焼失よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2024-10-31 06:24:00
ページ336 目次メモ
OBC B120900c61
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本文 如月の梅咲く春も過ぎ去りて桜の匂ふ弥生はきたれり
春の夜をねむらひ居ればあけ方にわが家の焼けたる夢を見たりき
今までに幾度吾家の焼けし夢見たれどいつも事なかりけり
丈低き藁家なりせば火災のみ案じて過ぎぬ永き年月
この度の夢はしきりに気にかかり生家にむかつて火の注意せし
わが手紙着きしと聞ける日の夜半に穴太の生家は焼け落ちにけり
御開祖と時事を話せるをりもあれ晴天の霹靂急電きたる
手にとるもおそしと電報開き見れば家焼け怪我人なしと知らせり
なつかしき祖母には別れ吾が生れし家はかなしく焼け落ちにけり
   大難小難
うつむきて左右の手をくみ黙し居れば開祖は神意となぐさめたまへり
わが家の焼けしを神意とこともなげに宣らす開祖をあやしみて見し
海潮さん心配いらぬ神様の御都合ですとまたも宣らせり
御都合か神意か知らねどわが家の焼けしと聞けば面白くもなし
第一に上田の家の建替へを神がなされしとほほ笑む御開祖
『開祖』大難を小難にして助けられたお礼を神に申し上げませう
ともかくも開祖の命にしたがひて神のみ前に謝詞を宣る
焼け落ちし家に帰るも如何かと四方木下を穴太に遣はす
二三日たちて木下四方等は穴太ゆかへり報告をなす
『平蔵』海潮さん喜びなされ母上も弟妹達も御無事でゐました
『平蔵』前の夜に神のしらせのありしより箪笥長持は残りましたよ
『平蔵』狂人が軒に火をつけ焼きしあとに手を拍ち踊つてゐたとのことです
『平蔵』ともかくも穴太の母上弟妹を綾部に引き寄す神意とおもひます
御開祖はうなづきながら其の通り御神意ですよと微笑みたまふ
   神の摂理
『開祖』神業に仕ふる伜の母親が神を知らねばならぬからです
『開祖』一日も早く母上弟妹をひき寄せ修業をさせる御神意
役員の迎へによりて一家族穴太をたちて綾部にきたれり
一家族綾部に来りて世話になるを吾役員にはばかりにけり
遠慮には及ばぬ神の御仕組と開祖はやさしく宣らせたまへり
神知らぬ生母なりしが火事の為め修行を積みて道をさとれり
わが母は駿河の稲荷大神を朝な夕なに祀りたまへり
大本に稲荷を祀るは何事と役員小言を言ひ出しにけり
役員の小言を耳にもかけずして稲荷をまつる母の雄雄しさ
   鍛冶屋
祖先代々住ひなれたる家焼けて母のまなこは甚くくぼめり
生活を助けむためと西町の家を借り入れ鍛冶の店ひらく
『竹村』親弟妹この大本で世話になり海潮さんも御遠慮なされよ
『上田』親は親弟妹は弟妹俺は俺はばかることはどこにあらうか
親弟妹人質にとつた心算にて役員連が居るのがをかし
本宮山桜の花はふくらみて綾部の春は更けにけらしな
惟神吾は人類愛善の道を宣れども聞く人はなし
迷信者盲信者等の集まれる綾部に神の道説く難さよ
四ツ尾山ふもとに清き千手院施餓鬼の長旗空に流るる
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