文献名1出口王仁三郎全集 第5巻 言霊解・其他
文献名2【随筆・其他】よみ(新仮名遣い)
文献名3春よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
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データ最終更新日2021-04-20 13:32:42
ページ431
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本文
春の野に咲く百花千花 蝶々の如くに飛び交ひて
次へ次へと移り行く 主の浮気のじれつたさ
わたしや悩まし寝られない もしもお酒が飲めたなら
一時二時三時でも 胸の悩みを忘れむものを
ほんに此の世はままならぬ 女と生れたかなしさは
いか程胸のさわぐとも 一人をつつしむ春の宵。
○
主をあやつる心猿意馬を のろふ心はなけれども
思へばかなしい春の夜半 小さい女のこの胸に
警鐘乱打の響きあり ほんにつれないこの思ひ
いづれに向つて吐逆せむ。
○
春は悩まし君の留守 今日で二十日も顔をみぬ
親しい主の友が来て 庭の桜をかこつけて
酒を進むるじれつたさ み空の月も吾が胸を
あはれみたまふかおぼろげに のぞかせたまふとみるうちに
しとしと降り来る春の雨 ほんにつれないはづかしい。
○
女ざかりの二八の春を 桜の娘とうたはれて
一人寝る夜の淋しさは 神より外に知らざらむ
深山の奥の柴栗も ひらくためしのあるものと
さとらぬ父上母上の 心の空がじれつたい
このままいつまでしのび得む。
(昭和六・二・一三 更生日記 二の巻)