文献名1出口王仁三郎全集 第5巻 言霊解・其他
文献名2【随筆・其他】よみ(新仮名遣い)
文献名3大本神諭に就てよみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
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データ凡例2021/4/14底本(全集5)と照合して校正
データ最終更新日2024-06-01 17:40:19
ページ625
目次メモ
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本文
大本開祖の御神諭の文中に幾度と無く、明治二十五年以来『艮の金神は世の本の誠の生神であるぞよ。昔の神代に余り神力が強過ぎて八百万の神に嫌はれて艮の隅へ押込められて居りたから、物質の世に成りて了うて強い者勝ちの畜生の世になりて居りた世を、時節参りて艮の金神の世に成りたから、是から表に現はれて三千世界を一つに致して外国天竺も一つに丸めて、天下泰平に世を治めて,人民を安心さすぞよ云々』
大本開祖の神諭は極東日本国のみの事を記されたのではありませぬから、下津岩根の綾部の霊地から、東北に当る丹後国の冠島沓島へ大神の退去して居られたと云ふ事は、実際は譬へのやうなものであります。併し乍ら大神の御威霊の一部分は確かに此の両島に潜伏されて、天運循環の時機を待つて居られたのであります。要するに艮の両島は日本国の縮図としての示教であります。抑も艮と云ふ意義の大要は、艮め、艮め、艮め、の意義でありまして、我地球の東北即ち艮に位する日本神国は、天地創造の最初に大神の修理固成せられた御国でありますから、艮は艮めとも艮めとも申すのであります。此の尊き日出づる艮の神国は世界を統一し、世界万民を愛護すべき天職を天賦的に保有せる国でありますから、艮めを刺す可き国であります。亦此の日本の神国に出生せる顕幽の身魂は残らず神界にては艮の大神の御子であります。艮の大神を国常立の神言と申す訳は『国は世界各国の意義』で『常立とは万世一系天壌無窮の意義』『神言とは神勅』でありまして、皇祖の御遺訓神典日本書紀の明文に詔らせ給へる
天照大神===皇孫に勅して曰く
『豊葦原千五百秋之瑞穂国(地球)は、是吾子孫の王たるべき地なり、宜しく爾皇孫就て治せ、行矣、宝祚の隆えまさむこと、将に天壌と窮まり無かるベし』
即ち右の天照大神の依さし給ひし御神勅は、世界和平統一の天権を我皇孫命に付与し給うたのであります。国常立神言とは天津日継天皇の御天職を発揚し奉るの神勅なるを知ることが出来るのであります。
○
御神諭に現はれたる『艮へ押込められて神力が薄くなりて居りたぞよ』とあるは所謂皇祖の聖訓たる国常立神言の御稜威の地上全体に光被せられず、僅に東北の島国、現在の日本国に極限されて、未だ海外に御神勅の実現を見る能はざりし事の意義であります。然るに、今や天運循環の神律に依り我皇国君民一致して世界統一、天下経綸の時機到来に接近せし事を『暁の烏に近よりて日の出の守護になるぞよ云々』と仰せられたのであります。日の出の守護と仰せられたるは我天津日の御子に坐します我天皇が地球全体を統治し給ひて、皇祖の御遺訓に奉答し給ふ時代を示されたのであります。実に今日までは三千年の長年月、歴代の聖皇は隠忍以て和光同塵の神策を踏襲し給ひ、皇運発展の時機の到来を待たせ給うたのは、実に畏れ多き事でありまして『艮の金神国常立神言は永らくの間、口惜しい残念を堪忍り堪忍りて茲まで来たぞよ』と仰せられしも此の事を示し給うたのであります。
○
日本を神の国と申しますのも、カは火、霊、日の意義、ミは水、体、月の意義でありますから、火水の国、霊主体従の国、日月の国であります。斯の│、─即ち│─国の中心に、丹、波即ち丹波国がありまして│と─を文なして十の御霊となる。故に綾部の地名が起つたのでありまして,此霊地に神代から神様の天地へ昇降遊ばさるるのも、惟神的に具備したる場所であります。故に大本は十丸を教神旗としてあります。十はナと同霊であります。おほもとのおの声は、言霊学上から天の浮橋と云ふ事に成ります。大本の開祖の御名が惟神に、ナオと謂ふのも深き意義の存する事であります。
是の霊地に霊系の神と体系の神とが出現して、皇道維新、世界統一の経綸を遊ばしたのも、深遠なる神誓神約の御在します事と信ずるのであります。又言霊学の呼吸より調ベますれば、
即ち丑寅の中心より天地人の呼吸を発くので、日本国の天地人は皆丑寅に位置を占めて居り、其真の中心は丹波の国で、丹波の亦中心が綾部でありますから、艮の金神の出顕遊ばされたのも理由が在るのであります。日本国は艮に位置を占めて居るから、世界の根本国であります。木は気である。木に艮は根であります。
また目は日月の並称で、目に艮は眼でありまして、世界一切を照観する国の徳の具つてある意義であります。
艮の大神の神諭に『斯神は世界の元の先祖で在るのに、昔の神代に悪神に押籠められて少し許りの地を頂き(極東日本国)て神力を隠して口惜残念を隠忍て来たぞよ云々』とあるは即ち活動の場所を限局されて、充分の神力を発揮し給ふ事を得なかつたので、実に恨めしく思うたとの御意義であります。限と云ふ字は小里に艮と書き、恨めしいといふ字は心に艮と書くのも、皆斯の深遠なる意義から出たのであります。
また御神諭に『昔の神代に世を戻すぞよ。神が表へ現はれて三千世界を神国に致して天下泰平に世を治めるぞよ』とありますのも、艮を艮と読み、艮を艮と読むのを見ても世界の東北日本国の既往なり、将来の天職が明かになるのであります。
また莫にウシトラを艱むと読み、亦ハバムともトコシバリとも読む意義は、地球の東北に位する日本神国の天津日継天皇は、三千年を通じて天歩艱難を凌がせ給ひつつ時機の到来を待たせ給ひたるも古き神代よりの御経綸の存し給ふ事であります。
全世界統主万世一系天壌無窮之神政成就大神勅が天晴全地球に顕現太初の大経綸を完全具足し給ふは即ち霊能発揚皇運発展守護となるのであります。
大本神諭に『綾部は世界の中心であるから、天地の神が昇降りを致して三千世界の錦の機を織る尊い神界の経綸場所であるぞよ云々』前述の如く皇国は地球の東北であるのに、何故に神は世界の中心であると詔り給ふかと疑問が十人が十人まで起りませうが、地理学上よりは地球の東北即ちウシトラの国土であります。併し地質学の上から見ても、言霊学の上から見ても、日本は地球の大中心と成るのであります。現今唱道されつつある天体学の上から略解して見ます時は、此の全大宇宙の中心に大太陽が存在して、斯大太陽を中心として億兆無数の恒星即ち太陽は回転運行して居る。其中で真の中心位置に存在するのが、吾々の肉眼に日々視る所の太陽であります。又我太陽系天体中心として水星、金星、地球,火星、木星、土星、天王星、海王星等、八個の遊星と及び是等の遊星を中心として公転する約二十二個の衛星、並に火星と木星との間に存在する小遊星(約八百箇)及び多くの彗星、流星とを以て之を組織されてあります。
また地球の軌道と太陽との間に在りて太陽を回転するのが下遊星で、其外部に在つて太陽を回転するものを上遊星と称へて居ります。
我地球は即ち我太陽系天体の中心に位し、此の地球の地質学上の中心に日本国がありますので、神典にては中津国と称へてあります。
また豊葦原の中津国の中心に丹波の国があります。丹波の国を上古は田庭国、又は丹波の国と称へましたが、世界の中心を人身に縮写する時は下津磐根、即ち臍下丹田なる身体の中府であり高天原であります。丹波といふは霊体、赤白、火水.日月、陽陰、幽顕等の意義となり、旦波の旦は日と一即ち火又は霊並に神と云ふ意義でありまして、波と云ふは水又はナミの意義で、ナは火水を結びし義、ミは水、充つる等の意義であります。亦田庭国の田はロの中心に十を現はし、ロは固まる事なり、十はナと同じく火水の結びし象であります。庭はニハで、ニの言霊は矢張り日月、火水、天地、陽陰、顕幽の意義で,ハの言霊は開発、顕現、拡張の意義であります。故に斯の丹波国の言霊は陰陽二神の顕現して天下を統一するの国魂である事が判るのであります。その亦丹波国の中心に綾部大本があるのであります。オホモトの霊返しはオに約ります。オの声は天の浮橋でありますから、天地神霊の昇降される言霊であります。大本を中心として十里四方の面積が延喜式の祝詞に在る下津磐根でありまして、神々の集ひに集ひ給ひて神律を議定し、至善至美至真の神政を行はせ給ふべき霊地で、所謂四方の国中であります。
延喜式八巻祝詞に曰く
『前略
四方の国中と大倭日高見之国を安国と定め奉りて、下津磐根に宮柱太敷立て、高天原に千木高知りて、皇御孫之命の美頭の御舎仕へ奉りて、天之御陰日之御陰と隠り坐て安国と平けく知食さむ云々』
斯の神文に示されし如く、天下統治の中心は下津磐根の高天原にして、地球の中枢、人体にては臍下丹田に位し、世界無比の神霊地に天に聳ゆる日の御子の宮居即ち神宮を建設し、地球を平安に統治し給ふべき神界現界の策源地たる事を知り得るのであります。
(大正七・七・一号 神霊界誌)