文献名1出口王仁三郎全集 第8巻 わが半生の記
文献名2【上巻】故郷の弐拾八年よみ(新仮名遣い)
文献名3教鞭よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考『故山の夢』p28-33
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データ凡例
データ最終更新日2023-10-30 08:20:29
ページ28
目次メモ
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本文
─十三歳より十六歳まで─
背の高き生徒におぶさりボールドに白字しるして教鞭をとる
十三の教師のわれは何も知らず女工場の女にからかひつづけし
満二年小学校に教鞭をとりて十五の春にしりぞく
○
父の業たすけて農事や醤油売り附近の村落荷ひまはりつ
醤油うりし代金くれぬもどかしさ腹のたつまま廃業なしたり
○
わが村の豪農斎藤源治氏の家にやとはれ近侍つとむる
酒呑みの主人に毎夜つれられて亀岡附近の料理屋まはれり
奥様と主人の中にはさまれて苦しき立場をあぢはひにけり
○
玉の井の池に関して村人の圧迫つよく窮地におちいる
プロレタリヤ小作の父は地主等に小作田のこらずとり上げられたり
雇はれし主家にいとまをこひながら村全体と論争をなす
論争の結果やうやくわれ勝ちて池の年貢を村より収むる
弱ければ踏みつぶさるる世と知りて心の駒をたてなほしたるも
○
小作田も少なくなりてやむを得ず車をひきて生活をなす
夜昼の差別もわかず京都市に薪の運送なしてくらせり
夕されば友だちのこらず夜遊びに出づれどわれは車ひくなる
雪霜の道ふみしめて真夜中に寒さしのぎて車ひきたり
雨雪の日はことさらに苦しけれ車のわだちいやおもくして
何故にわれかくのごとく不遇なる家に生れしかとかこちてもみし
○
筋も骨もくだくるばかりの苦しさに隣家の雇はれびととなりけり
垣一重へだてし隣の百姓家に雇はれ田作るわざにいそしむ