文献名1出口王仁三郎全集 第8巻 わが半生の記
文献名2【上巻】故郷の弐拾八年よみ(新仮名遣い)
文献名3夜遊よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考『故山の夢』p58-62
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データ最終更新日2023-10-30 11:15:30
ページ40
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本文
─十七八歳の頃─
小夜更けて夜遊びにあき帰るさのわが軒の柿ぬすむ人ありき
柿の木の下にたたずみ何人ととへば木くだる顔にあきれし
思はざる富みたる人が柿ぬすむそのいやしさをあはれみしかな
このことは誰にも云うてくれるなとたのまれ今にその名を出さず
朝夕に顔を見合はす人ゆゑにかへつて吾のはづかしくなりぬ
故郷に帰りて見ればその柿は玉の井のほとりに苔むし今在り
○
玉の井の池に盥の舟うけて綿入のままあそびけるかな
冬の日の雪の夕ベに盥舟顛覆させてあやふくたすかる
○
流れ来る川の木屑に鳶口をあてたるままに陥る濁流
一二町押し流されて吾が命たすかりし時も鳶握りをりぬ
執着の深いをとこと村びとにあきれられたり鳶口を見て
村用の鳶口なれば命にもかへて護らむこころなりけり
○
和一郎重太郎二人の友逹に誘はれいたづら夜遊びのみする
今ならば不良少年といやしまれ感化院までのぞきしならむ
風呂岩といふ人の小屋を三方からゆすり地震といつはり遊びし
風呂岩は怒りくるうて戸をひらき竹箒もて頭なぐれり
雪隠に箒をひたし風呂岩にかたきうちとて表戸こすりぬ