文献名1出口王仁三郎全集 第8巻 わが半生の記
文献名2【上巻】故郷の弐拾八年よみ(新仮名遣い)
文献名3麦蒔よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考『故山の夢』p137-141
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データ最終更新日2023-10-31 15:30:20
ページ75
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本文
─二十三四歳の頃─
一円の懸賞づきにて醤油五合飲みくらべせし友のつどひて
眼をつぶり顔をしかめて五合の醤油をやつと飲み干しにけり
咽喉かわき耐へがたきまま里川の流水がぶがぶ鯨飲なしたり
冷水を幾許飲んでも咽喉かわく苦しき腹は布袋となりぬ
布袋腹にはかにいたみ雪隠に一日数十度かよひつめたり
一円の懸賞とりて農繁の秋半月を病床にくるしむ
わが病める原因父は探知して大いにいかり床より追ひ出す
腹下し瘠せおとろへし身を起し泣き泣き秋田の麦蒔なしぬ
空想にふけりつ秋田に麦を蒔きつ後見ず高岸ゆ墜落をなす
一丈余の高岸の上より逆さまに山田に落ちて腰いためける
足乳根の父に隠してびつこひき半泣き顔を秋田にはたらく
いつの間にか腰部はしるく腫れあがり遂には父に発見されたり
足乳根の父は驚き医師の家に顔あをざめて自ら走せ行く
赤熊の外科医来りて診断し不治の疵よと宣りてかへれり
外科医師の言に少しは驚きしが勇気を鼓して灸すゑて見し
三週間一日も欠かさず灸すゑて腰のなやみも全くなほりぬ
初冬の空に麦田をたがやせば又腰冷えてチクチクいためり
灸すゑてやうやく腰は癒えたれどつづいて腹水病を起せり
津の国の草山村に灸の師を訪ひてやうやく平癒にむかひぬ
灸の師の家に警官入り来り無免許医と曳きてかへれり
灸術師老爺のあとを追ひながらわれも地黄の警察に行く
灸術師二十五銭の科料金気の毒のまま弁じてかへる
八十の年をとりたる老灸師二十五銭で放免されたり