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文献名1出口王仁三郎全集 第8巻 わが半生の記
文献名2【上巻】故郷の弐拾八年よみ(新仮名遣い)
文献名3獣医よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考『故山の夢』p176-180
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-11-02 11:59:26
ページ101 目次メモ
OBC B121808c47
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本文       ─二十三四歳の頃─

あさまだき篭をかつぎて学校の堤に生える露草を刈れり
露草を腰もたわわに刈りつめて日出づる前に牧場に帰る
牧場に入りて牛乳搾り取り絹布に濾して町にくばりゆく
文助は牛に餌をやり徳はまた園部以外の村むらまはる
     ○
牛乳の売り余りをば持ちかへり犬に食はせつわれも飲みつつ
牛乳の茶漬こしらへ日に二升ばかり毎日飲みたらひけり
野良犬に乳をねぶらせ連れかへり叩き殺して解剖をなす
骨一つのこらず肉をこそげおとし犬の骸骨床に置きみる
犬の肉砂糖と醤油にて熟煮して附近の子供と共に食ひたり
牛肉といへばよろこび子供等はわれともろとも舌鼓うつ
犬も猫も鼬も鼠もことごとくわが解剖刀にたふれぬ
四つ足で食はないものは炬燵ばかりと得意になつて鼻うごめかす
     ○
年明けて明治の二十七年となり日清戦争はじまりにける
井上は従軍獣医に呼び出され吾は船井郡仮獣医となりぬ
井上の古い洋服ばさばさとまとひて屠牛検査に出で行く
警官をともなひ木崎の屠牛場にいたりて打診聴診をなす
この牛は無病といへば牛肉屋屠者に命じてたたき殺しぬ
皮を剥ぎ料理をすれば二貫目程肉腐りをり捨てさせにけり
二貫目の肉の代償してくれと俄獣医に牛肉商がいふ
このやうな大きな物を打ち殺す獣医はいやだとふとおもひけり
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