文献名1出口王仁三郎全集 第8巻 わが半生の記
文献名2【上巻】故郷の弐拾八年よみ(新仮名遣い)
文献名3落角よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考『故山の夢』p275-280
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データ最終更新日2023-11-06 12:06:40
ページ145
目次メモ
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本文
─二十五六歳の頃─
後家の家に牛乳配りゆけば吾を見て地蔵眉毛と追ひかけまはる
新田の地蔵をまつるこの後家はわれを仏と間違へたるらし
牛乳くばるお前は子供の守り神地蔵地蔵と追ひ来る後家婆
牧畜のほかに小作田五千坪牧畜のひまにたがやしにけり
乳牛の糞尿のこらず田に入れて土肥えたればみのり豊けし
朝夕に江戸腹当や法被きて附近の村むら牛乳くばりゆく
一合の牛乳は三銭そのときの米八合に相当なしたる
あちこちの医者の世話にて病人のある家ごとに牛乳配りけり
牛乳くばりかへる夕べに辻相撲とりて左の臂きずつけにけり
幸ひに左の臂のきずなれば牛乳しぼるにはさしつかへなき
○
牛の背にまたがり小幡の川わたり揺り落されて水中にしづむ
乳牛はわれを川水におとし置き悠悠牧場にかへり居たりき
川中をはひ上りつつ濡れ衣をしぼりてそろそろ牧場にかへる
腹たちてこん畜生といひながら頭を打てばぽろりと角落つ
片角をおとしたりとて乳牛のあたひ半分に足らずなりけり
落したる角を拾ひてつぎ見れど首ふるたびにまたぽろり落つ
ぬけ落ちし角の根もとにやはらかき一寸ばかりの若角生え居り
若角は血にまみれつつ痛さうに乳牛は頭を下げて寝て居り
翌朝より乳の分量激減し他の牛乳屋にて買ひくばりけり
此牛乳は味がちがふと得意先ゆ小言きかされ値切られにけり
○
牧場で青年隊と牛肉を煮て食ひわれは腹をくだせり
牛の餌を煮る大釜にて牛肉をたくは無茶よと村上氏怒りぬ
その鍋をそのまま牛の餌を煮れば牛はフンフン臭ぎて喰はず
止むを得ず川水に鍋洗ひ清め餌を煮てやれど又牛食はず
軽石をもちて鍋皮研き上げやうやく牛に食てもらひける