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文献名1惟神の道
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3大自然と人間よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考水鏡所収「惟神の心性」とほぼ同じ
タグ データ凡例 データ最終更新日----
ページ88 目次メモ
OBC B123900c026
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本文  富貴、栄達、金銭、性欲、虚栄、その間に介在する一切の闘争も論議も屁理屈も、所詮無事平穏時代の一の躍りにすぎない。純理だ、合理だ、正義だ、公論だと殊勝らしく喋々してゐたいはゆる先覚者も、私利私欲にあけ暮れかじりついてをる餓利々々亡者連も、名誉の奴隷輩も、驚天動地の大震災と大火災の阿鼻叫喚地獄に投ぜられたその瞬間には、何物がその脳裡に存在するであらうか。その最初の間は、一物でも一物でもと、物質に対する欲求に駆られてゐるが、次第に震害と火力が強烈になつたら、それらも一つ一つ放棄せねばならなくなる。執念深く物質にのみかじり付いてゐようものなら、貴重な生命までも放棄せなくてはならなくなるだらう。理学や化学の大家と称せらるる人々にも天変地妖の惨状を予知する事は到底出来ないであらう。いかなる哲学者も、宗教家も、応用化学の大家も、端然として大震大火の真最中に立つてゐる事は出来ない。何れも生命の惜しさに、ブザマな醜状を暴露して逃げ出すより途は無いのである。千万長者も、無一物の労働者も、愚者も智者も、吾れ先にと争つて逃げ迷はざるを得ないだらう。
 かかる際、物質欲を捨て、一切を神に委せ、身一つで逃げ出したものは生命を保たれ、欲の深い連中は皆殺されて了ふであらう。大自然と云ふ強力者の前には、智愚貧富の区別は無い。太陽は等しく暖味を平等的に与へる。日光も涼風も等しく風流を与へる。そこに大自然即神様の尊い仁恵があるのだ。暴風も洪水も地震も、人によつての区別は無い。いはゆる天災地妖は平等的である。かうした大自然の中から、人間は人間の哲学を見出さねばならない。現代の一切について、大なる矛盾と撞着の余りに雑多なるを痛嘆せられる。自分はここにおいて一切の人類に対し、ただ惟神の心性に帰れと大声疾呼したくなる。
 文化の進展した今の世界においては、人間の生命は余りに廉い。竹の柱に茅の屋根の時代には、余り生存難だとか、失業だとか云ふやうな、忌はしい不自然な問題は起らなかつたのである。鉄筋コンクリートの高層建造物の世の中に、生存難や人間苦が存在してゐる。一つの建造物に幾万の生霊を容れて、一瞬の間にその生命を奪はれた東京の震災を思ひ出さずにはゐられない。ただただ天地惟神の法に従ひ、竹柱茅屋の神代的生活であつたならば、かやうな無残な事は出来なかつたであらう。電気も瓦斯も水道も、大自然の強力には何らの力なく、滅茶滅茶に毀されて了ふ。井戸水や蝋燭はそこになると、非常なる底力があると言はれるのも西洋文明に対する皮肉である。
 自分は原始時代を盲目的に讃美するのではないが、そこに味はふべき点の多々あることを力説したいのである。薄つぺらな西洋文明崇拝者や耶蘇教かぶれや文化宣伝の学者らの反省を促したい。そして、これらの盲目的学者や同胞をして、純粋なる日本神国の神民に復活させたい。純日本人に復し惟神の大道に導き救ふのが人間相互の務めであると思ふ。外道に陥れる地獄魂の多い今の世の中は、殊にこの感を深うさせられるのである。
 東京横浜の震火災の時、玄米の粥と梅干一個で一日の生命をつないだ経験のある人々には、いかに人間が生命欲に強烈であるかと云ふ事に気がついたであらう。所詮人間の欲求するものは、永遠無窮の生命である。人間の生命はどこまでも永遠でありたい、そして不滅でありたい。心強い信仰の上に立脚して人間らしく神民らしく進展すべきである。純日本人は日本神国の神民に復りたい。
 この筆法で自分は今日まで進んで来た。真剣に邁進して来たのである。これに反対し妨害するものに対しては、全力を挙げて闘つて来た。自分は人類愛の為に、今日まで奮戦苦闘を続け、外道悪魔の牙城に向つて勝鬨を挙げて来た。神を力に誠を柱に、信仰と熱心と忍耐とによつて、ここに地上天国、霊国を建設して来たのである。
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