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文献名1惟神の道
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3国防についてよみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考出典不明
タグ データ凡例 データ最終更新日----
ページ102 目次メモ
OBC B123900c032
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本文の文字数1272
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本文  吾々の希望とするところは世界の平和と幸福を永遠に持続して、天人ともに和楽の黄金世界を現出せむとすることである。社会主義者や道学者、既成宗教家などの唱へる如くに武備を撤廃して、真の幸福と和平が招来さるれば良いが、それは困難であり、不可能であると思ふ。
 人間は造物主よりあまりに完全に、あまりに自由に造られてゐるので、つひに報恩感謝の念より遠ざかり、天地の御恩を忘れて利に走り他を省みない獣性を持つやうになった。故に、我が皇祖は全世界統治の大権として三種の神器をお授けになったのである。その主なるものは剣である。璽も鏡もうしろに剣がなくては完全にその使命を遂行することは出来ない。璽は平和を象徴し、鏡は神威八紘開発の神宝であり、剣は大にしては国防、小にしては護身を意味する。
 世界の各国が人文の発達につれ生存を競ふやうになり、個人の生存競争は拡大して一郷の競争となり、一国の競争となり、現在では国は国、郷は郷、個人は個人同志で、しのぎを削ってより大きく、より高く、より強く、そして自己のものにといふ征服欲に燃えてゐる。完全に全世界が皇威にまつろふやうになるまでは、国を守る上に、正しい政治を行ふ上に武備が必要となるのである。精鋭なる武器を整へることが、国防の第一義であり、古来我が国を細矛千足国と称したその名にも敵ふ所以である。また日本人の大和魂といふのは勇智親愛、いはゆる四魂の中でも勇が中心になった直日の霊の活きである。
 今日では日本は津軽海峡をへだてて四方環海の島国になってゐるが、神代時代には現在の東洋一帯が葦原の国であって、渤海湾からゴビの砂漠、新彊辺りまで入り海となってゐた。現在の日本海はちやうど瀬戸内海ほどの大きさで小舟を以て交通してゐたものである。そして葦原の国全部を日本が支配してゐたので「アジア」と言ふのは「葦原」の転化したものである。現在の地形では想像も出来ないが日本はその厖大な土地の君主であり、地上の総領国であった。その後地殻の変動によって、大陸とは分離し、大陸の統一が出来なくなり、言語も風俗も異なるやうになったのである。我が国は神代時代においてかかる歴史を持ってをり、また細矛千足国と云って武勇の勝れた国であった。
 我が国は今日世界の状勢より見て、まさに国防の時である。ことに昭和八年は国防の年であると思ふ。陸に海に空に充分な備へが必要であって、むしろ国防より一足進んで制海、制空に志さなければならない。日本は国民皆兵の国である。畏くも皇室を御本家として国民を家族と見做されてゐる国である。たとへば身は軍人でなくとも老若男女ともに国防の完成に努力するのが当然である。これは小にしては個人の平和幸福であり、皇祖の御垂訓が世界全土に冠せられ、服ろはぬ者なき聖代には皇威の照り輝くところ、総てが平和と幸福に満たされるのである。我が国は忠と勇と孝とを以て建国の教とし安寧、秩序を保ち温厚篤実なる風俗を続けて来たのであるが、この忠孝の道を全うせむとするには国家を守るべき国防運動に全力を注ぐのが今日我が国民の一大義務である。
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