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文献名１惟神の道
文献名２よみ（新仮名遣い）
文献名３非常時の覚悟よみ（新仮名遣い）
著者出口王仁三郎
概要
備考「人類愛善新聞」昭和八年二月二三日号所収「万人青年の意気で」とほぼ同じ
タグ データ凡例 データ最終更新日----
ページ105 目次メモ
OBC B123900c033
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本文 　最近しきりに、非常時日本といふことが叫ばれる。事実、国内の情勢、世界の動向を見て、吾らもその感を深くする。そこで、常に惟ふことであるが、この非常時日本を背負うて雄々しく起つ者は、何というても青年でなければならぬ。青年の盛んなる意気を以てすれは、何事もなし難いといふことはないからである。しかし、青年は意気が旺盛なだけに、円熟してゐない点がある。即ち壮年、老年の者に比して思慮分別が欠けてゐるのは、これは致し方がないところだ。それで、青年が非常時国家の運命を双肩に担うて最前線に立てば、壮年、老年の者はそれに続き、足らざるを補うて万全を期す方法を講じなければならぬ。
　したがつて、今日以後の日本国民は、全部年齢を忘れよと私は云ひたい。元来、日本人は東洋哲学に支配されすぎて、早くから老境に達する風を尊び、いつまでも若く元気に活動する者を貧乏性の如くに思ひ、閑雅にあこがれて五十にもなれば隠居をしようと云ふ料簡を起す。これでは一朝事ある場合に何の役にも立たぬであらう。昔から「三十四十は鼻たれ小僧、男盛りは五六十」と云つて、一面にいつまでも若く元気であることを念願とした言葉があるが、私はそれでもなほ足れりとせず、「五十六十は鼻たれ小僧、男盛りは八九十」と云ひ直すことにしてゐる。元気最も旺盛にして思慮分別に達した四十歳は、人間としての頂点に達したものであるのに、日本では古来これを初老と呼ぶ。したがつて五十六十にもなれば、自ら物の役には立たぬと卑下し、老いを急ぐ。これでは断じてならない。
　私はかつて蒙古を旅行した際、土地の老人に年齢を聞いてその答へに感服した事がある。即ち「私どもは誰も過ぎた自分の昔を考へない、あるのは明日だけだ、したがつて吾々は自分がいくつになつたかなど数へてもみない。年齢など考へてゐたら心細くなつて仕事が出来ないだらう」と云ふのである。はなはだよろしいと思ふ。爾来、私も年齢を考へない事にし、私の統率する昭和青年会員はその主義において年齢を超越することにしてゐるが、成績良好で五十六十、はなはだしいのは七十の老人まで二十歳の青年に伍して遜色を見せない。すべからく国民はくだらぬ自分の年齢を数へることをやめ、万人青年の意気にかへつて御奉公を申し上ぐべきである。
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