文献名1百千鳥
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3布教費三銭よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
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データ最終更新日2024-10-31 18:51:00
ページ430
目次メモ
OBC B129900c71
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本文
松元を伴ひ湯浅の家に行けば主人は未だ信仰わからず
この家の主人湯浅斎次郎は妙霊教会の信者なりけり
吾が叔父の佐野清六布教師はをりをり此の家に宿泊するといふ
この家の老いたる主人は日蓮のかたまりにして頑固者なり
湯浅仁斎
小久子の養子となりし若主人まだ大本に入らむとはせず
酒呑の小西松元が居るやうな教は信用できぬと拒む
小久子は信仰強く両親も夫も遂に道に入れたり
山深き宇津野村里風寒く袷着るさへ冷えを覚ゆる
テンツルテンの命
宇津村を立ち出で西田ともろともに黒田をさして進み行きたり
道のべに若者二人佇みて屋敷はらひが行くとあざける
屋敷はらひとは何事と吾問へばテンツルテンの命と逃げ行く
若者は川の向ふに逃げ去りて柿の木残して首つりたり
元次には元教と名を与へつつ黒田をさして宣伝に進む
元教はテンツルテンの命とは馬鹿にするとて地団駄をふむ
王仁『元教のふところを見て若人はテンツルテツといふてゐるのよ』
元教がテンツルテンなら先生もやつぱりさうよとにが笑ひする
ふところに僅か五銭の金持ちて布教に進むみじめさを思ふ
両人のふところ合してただ五銭心淋しき秋の夕暮
いつも吾は布教費三銭を越えし事あらずといへば元教笑ふ
黒田宣教
山坂を朝な夕なにてくてくと渡りて漸く黒田につきたり
松元の弟内田の家に入り広き座敷に一夜をくつろぐ
生神が現はれたりと村人は翌朝早くゆあつまり来る
一場の熱弁ふるひ惟神神の大道を説きさとしたり
時じくに村人あつまり吾が説ける教を聞きて喜びあへり
此村はこぞりて大本に入信を願ひたれども許さざりけり
その故は綾部の大本役員の妨害せむをおそるる故なり
ともかくも小西松元を主と仰ぎ信仰せよといひわたり
松元は内田の家にとどまりてわけのわからぬ宣伝を為す