文献名1百千鳥
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3迷妄妄動よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
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データ最終更新日2024-11-09 14:24:23
ページ464
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本文
大本は不振窮乏のどん底に陥り前途暗澹たりけり
臥龍亭に吾れはひそみて筆を執り道の大本著しにけり
意を決し吾れは綾部を出発し京都方面の布教を始むる
愚直な妨害
行く先に中田善助先廻り吾が行動をしきりに妨ぐ
信徒の家を訪ねて吾が行けば悪神来たると箒で掃き出す
掃き出され唾を吐かれておとなしく事理をさとせど聾に等しき
吾が行けば地方信者を煽動しあらぬ事をば善助がいふ
善助は幹部連中の命令に服従なして妄動せるなり
愚直迷妄話にならぬ大本の役員捨てて自由に働く
漸くに嵯峨の供川方に入り支部を開きて世人をさとせり
供川は吾れの言葉にまつろひて力かぎりに布教に従事す
供川の祖先は昔天龍寺無相国師の供なりにけり
北桑田常照寺より移住せる国師は天龍禅寺をひらけり
供川の家を木拠と定めつつ通学せむと相定めたり
国学院
烏丸一条にある新しき国学院へ通学せむとす
通学の準備全くととのひし時しもあれや善助来たれり
善助は百方言葉を尽しつつ吾れ逐ひ出せとしきりに勧むる
海潮の世話をするなら供川の家は亡ぶとしきりにおどしぬ
供川の主人も婆アも善助の言葉に恐れて吾を追ひける
この時の心のくやしさ残念さ骨身にこたへて忘れかたかり
はるばると二里の道程テクシーに通はむとして止められにけり
京都市の信徒は残らず善助の言葉に迷ひ吾れをしりぞくる
信仰は如何に強くも時代をば知らぬ信徒の度しがたきかな
盲目千人目明き一人の世のたとへ吾れはつくづく感じたりけり
何事も吾が為す業をさまたぐる事を誠の信仰と思へる
子守唄
くらがりの荒野ケ原を一人ゆく心地したりき綾部の住居は
四つになる朝野を背負ひやむを得ず子守唄などうたひ居たりき
背に子を背負ひて道をゆきながら片手に古事記を吾れ読みふける