王仁DBβ版 出口王仁三郎と霊界物語の総合検索サイト 文献検索 画像検索 単語検索 メニュー開く
サブスク完了しました。どうもありがとうございました!

文献名1出廬
文献名2〔二〕心の岩戸開きよみ(新仮名遣い)
文献名3(十)よみ(新仮名遣い)
著者浅野和三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2025-01-24 22:22:00
ページ89 目次メモ
OBC B142400c27
本文のヒット件数全 0 件
本文の文字数1885
その他の情報は霊界物語ネットの「インフォメーション」欄を見て下さい 霊界物語ネット
本文  鎮魂は五分、十分とつづいた。困つたことには時間が経つにつれて、足が痺れ出して来た。洋服で椅子に腰掛ける癖がついて居るものには什うしてもこれが免れ難い。従つて折角まとまりかけた精神が足の方に散つて了ひ、『早く止めてくれればよいが』など、考へ出すやうな始末、さつぱり自分は駄目だつた。のみならず、自分の側の方で、誰れやらの荒らい鼻息がいやに耳につく。其鼻息は段々荒らく、段々迅く、梁の塵をも吹き飛ばさんばかりの勢なので、それが又気にかかつてならない。
 漸くポンポンと柏手が二ツ聞えて、『ハイ宜しい』といふ掛声がかかつたので、ヤレヤレと思うて眼を明けて見ると、他の人も自分と同様眼を明けて鎮魂の姿勢を崩す所であつた。
『今大変荒い息づかひが聞えたが、一体あれは誰だつたかしら』
『僕だつた』
と答へたのは理学士の宮沢君であつた。成程見れば、頭の色が赤くのぼせて居る。
『什うしたのだ。身体の具合でも悪かつたのかネ』
『イヤ些ツとも……。ただ妙に途中から、身体が突ツ張つて来て、気息が昂んで苦しかつた』
 出口先生は笑ひ出した。
『霊が発動したのです。モウ一二遍行ると言語が切れませう』
 宮沢君の外には、所謂発動状態に成つたものは一人も居なかつたが、ただ妻と他の一人とは、閉ぢたる眼瞼が妙にシパシパして、眼の中に鮮かな赤だの紫だのが見えたといふのであつた。
『そりア通例天眼通の開ける兆候です』との先生の言葉に、自分をはじめ、何等の感応の無かつた連中は、少々人後に落ちたやうな、残念な気分がした。
 ひとしきり座談の後で、再び鎮魂をやつたが、宮沢氏の鼻息が一層荒くなつた外に、外的にはこれぞと目立つた奇現象は一つも起らなかつた。ただ内的にはいささか妙だなと思ふことがないではなかつた。それは鎮魂中に、自分の組んで居る手の指端が、電気に感じた場合の如く、少しくピリピリするのと、それから垂直に構へた二本の食指の尖頭が、何ういふ訳か段々下方に降がつて来ることであつた。これではならぬと自分は満身の力を籠めて指端を元の位置に戻さうと努めるが、何処から什うやつて来る圧力かは知らぬが、いかにも底に動かし難く、抵抗し難き強みが籠つて居て、ヂリヂリと自分の食指を下方に低げて行く。たうとう何時の間にやら九十度以上も押し下げられて了つた。
『変だナ。これは! ドウも協はない』自分の精神は全然覚醒状態にあるので、眼こそ閉ぢては居るが、頭の方では頻に考へて居る。自分は今全力を挙げて二本の指を上げようとして居る。それにも拘らず反対に低下するのは、什麼しても自分の精神以外に、或る他の、より優勢なる力が加はつて居るに相違ない。して見れば、此優勢なる力の所有者こそ守護神といふものであるまいか』
 幾分手がかりに近いものが、兎も角も此一と晩の鎮魂の実験で捉へられたやうに何人も感じた。
『何うも、妙なものですナ』
『不思議なものですね。この分で行くと案外早く大本の守護神説が確められるかも知れない』
『引続いて明晩もやつて貰ふことにしませう』
 こんな事を言ひ合つて、会衆が解散したのは夜半頃でもあつたらう。平凡ではあつたが最初の手ほどきとして甚だ有意義な実験であつた。
 其翌晩も大概同一の顔振れが集合した。で、自分も他の人々と同様に鎮魂を受けようとすると、出口先生から差しとめられた。
『貴下は今晩審神者にお成りやす。貴下は審神者をやる役目の人どす』
『審神者ですか』と自分は一方ならず意外に感じた。
『什麼するのか私には些とも判りませんが……』
『おやりになれば自然に判ります』
『でもまだ余んまり早過ぎませう』
『大事ござへん、まア試つてお覧やす。貴下には可能ます』と甚だ無雑作きはまる先生の命令。
 たつた二回鎮魂といふものをして貰つて、尚ほ未だ何等要領を得るに及ばず、戸惑ひし切つて居る最中の自分が、審神者として他の鎮魂をやる! 無理も大無理、滑稽も大滑稽とは思つたが、最後に、ままよと決心して、到頭試つて見る事になつた。そして大急ぎで鎮魂の歌を習ふやら、唱へる神名を教はるやら、五分間にして急製間に合せの審神者が出来上つたが、思へば之が自分の審神者としての初舞台で、それから引続いて五年後の今日に至るまで、大本の審神者として、及ばず乍ら世の立替の御神業の末端を勤めさして戴いて居る。その間には辛いこと、恐ろしい事、厭な事の数々もあつたが、兎も角も現幽両界の関係から神々の御活動、宇宙の神機の一部たりとも会得することが出来たのは、偏に審神者としての練習修行の賜である。
 審神者としての驚くべき実験の序幕は、その第一回から始まつた。
霊界物語ネットで読む 霊界物語ネット
オニド関係の更新情報は「オニド関係全サイトの更新情報」を見れば全て分かります!
王仁DB (王仁三郎データベース)は飯塚弘明が運営しています。 /出口王仁三郎の著作物を始め、当サイト内にあるデータは基本的にすべて、著作権保護期間が過ぎていますので、どうぞご自由にお使いください。また保護期間内にあるものは、著作権法に触れない範囲で使用しています。それに関しては自己責任でお使いください。/出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別用語と見なされる言葉もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。/ 本サイトのデータは「霊界物語ネット」掲載のデータと同じものです。著作権凡例 /データに誤り等を発見したら教えてくれると嬉しいです。
連絡先:【メールアドレス(飯塚弘明)
プライバシーポリシー/0/
(C) 2016-2024 Iizuka Hiroaki