文献名1大鏡
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名338 神業と神機よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
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データ凡例『神の国』昭和10年(1935年)12月号
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OBC B182000c38
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何時も云ふ通り私は神様の仰せられる儘に何事も即行してゐる。だから私は凡て神業を始めるのに未だ曾て金の準備をしたり種々に考へを練つたりしてから始めたことは無い、必要なだけの準備は神様がされてある筈であるから、神命通り仕事を始めたら必ず今まで知らず識らず為て来た事が準備になつてゐたり、金等も必要なだけは集つて来る。
よく、金が無いのに又あんな事業を初められたがどうなさるのだらうと云ふ人がある。なる程小乗的に人間心で考へれば無理であり無茶のやうに初めは見えるので役員達の苦労するのはよく知つてゐるし無理もない事だが、世間とは違つて神様がさして居られるのであるから、神命があつた時即行して置くと後になれば成る程と判る。尻結びが出来るかどうかなどと心配することはいらぬばかりか、よくマアあの時に始め、あの時にああして置いたものだと皆箱さしたやうにキチリキチリ立派に尻は結べるのである。
又、借金などある場合、いくら神業だつて借金を払うておいて、それから始めてよさそうなものだし、それが本当だらう、などと云ふ人がある。一寸聞くと成程尤もらしく思はれる。けれども、ものには機会といふものがある、殊に神業は神様が最もよい時機に御命令があつて始めるのであるから、考へたり、準備したり、研究したり相談したり時を待つたり延すことは出来ないのだ。借金は期日に間違へないやうに返せばよいのである。又期限が来て居れば、話をして延期して貰ふなり借替えるなり方法はいくらもある、けれども機会は逸したら又一回りして来るまで機会を待たねばならぬ、時には永久に再び来ない場合が多い。例へば土地を買ふ時などウカウカして他の人が買つて建物でもしたり、永久的な事業設備でもすれば中々手に入らぬ、止むを得ずダメになつたり、お仕組を替へて他に代りを求めなければならぬ。さうすると凡ての事を皆変更せねばならなくなつたり、一回りして居る間に値段が高くなつたりして、其の為に大きな損をすることがある。今迄いくら此種の苦い目にあつたか知れぬ、余程大乗的な大きな心になつて居らぬと一旦神機を逸したら取返しがつかぬ事が出来るのである。(中村純也)