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文献名1出口王仁三郎著作集 第5巻 人間王仁三郎
文献名2第2部 心境を語る
文献名3嗚呼既成宗教
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2016-11-24 18:21:26
ページ286 目次メモ
OBC B195305c208
本文の文字数1983
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本文  人類の祖先と称するアダム・イブが、神様の禁制の智恵の果実を神意に反いて採食した罪悪の報いに由って、其の子孫たる世界の人類は、開闢の始めより今日に至るまで祖先の罪悪の血を受けて居るので、残らず大罪人所謂罪の子として生まれて来て居るから、地獄に其の霊魂は落とされ、消えぬ火に焼かれて無限の苦悩を味わう可きものである。その惨状を、全智全能にして絶対の権威に坐す無限愛なる神は甚く憐れませ玉いて、最愛の独り子なるエスを現世に降し、十字架に釘付けて之を殺し、キリストの名に由って天帝に祈願するもの而已之を天国に再生せしめ賜うと説くのが、既成宗教キリスト各派の教理である。
 以上の如き教理は、数千年以前の人智蒙昧なる野蛮時代に於ては、多少の脅嚇も誤魔化しも効力があったであろうが、現代の如く、不完全ながらも科学の進歩に向かいつつある時代には、何人と雖も常識を備えたる者は信ずる者の無いのは、当然過ぎる程当然の帰結である。精神上に大なる欠陥ある者か癲狂痴呆の徳にあらざる限りは、之を信ずる事は出来ない筈である。誠に思え、現今の如き矛盾と欠陥の多い自己愛のみの社会に生まれた現行刑法、即ち神ならぬ凡人の作った法律でさえも、祖先又は父母兄姉が大罪を犯したとしても、其の子孫又は弟妹にまで罪を科すると云う様な不合理は施行しないのである。
 況んや全智全能であって愛の本体とも称する神が、祖先の罪を何十万年末の子孫にまで及ぼし、之を地獄に投ず.べき理由は無い筈だ。万々一左様な没分暁漢の神とすれば、それは世界の大魔神であって、吾々人類の赦す可からざる敵として此の宇宙から宜しく放逐すべきである。然るに現代の立派な紳士と云わるる人の中にも、こんな不合理な不徹底な教理否狂理を信じ、斯かる没分暁漢の魔神に憐れみを乞い赦されん事を祈り、安心立命を得んとするは、木によりて魚を求めんとするにもまさった愚劣さであり、卑怯さである。
 文化の進んだ二十世紀の現代には、既に已に大部分の人民より捨てられているのは当然である。既成仏教と雖も、キリスト的の脅嚇や誤魔化しはあるが、是とても既に已に宗教としての価値は認められていない。仏教の大乗部は別として、小乗部の教理なぞは婆媽だましの世迷言である。数千年以前の人智未開の世に適した宗教の教理を今日に施行せんとするのは、三冬厳寒の頃に用いた綿入れ着物を、土用三伏の酷暑の時代に着用せよと教うると同様にして、愚の骨頂である。斯かる教理を臆面もなく誠しやかに説いているその野呂さ、迂愚さと云ったら、到底論ずるの価値さえなきものである。斯くして既成宗教の各派は日に日に破産して行くのである。滅亡の淵に向かって直進しつつあるのである。
(『庚午日記』七の巻 昭和五年八月一日)
 私は元来宗教は嫌いだ。宗教家扱いされると私は癪にさわる。世の中に宗教家ほど憐れむべきものはない。時代錯誤の教典にしがみついて、矢鱈に戒律を強いる。人間には天賦的に、省みる、恥じる、、悔いる、畏る、覚るの霊能があるのに、其の上何を必要とするのか。まるで人間を獣扱いにするのが既成宗教家である。
 この人生を殊更に苦の世界と呼んで見たり、美しい地上を厭離穢土などと言って人心を混惑させている。実に言語道断である。宗教は阿片なりという言葉があるが、既成宗教悉くが実に其の通りである。
 神仏の慈愛を説き人の践むべき道を明かす宗教家が、之に抗弁するだけの信念がないとは何という情けないことだ。現代は──今後も既成宗教の力によっては何事も成し得られない。
 天地を和め人心を安らかにすることの出来ない既成宗教は、勿論自然消滅するに違いないが、一刻も速やかに国家社会から除籍して、霊的にも体的にも力のある権威のある、人間に真生命を与うる宗教が生まれなければいかぬ。物質的方面にのみ解決をあせり、霊魂の実在を無視す惹マルキシズムも困るが、下手な倫理に神仏を調合して世人を迷わす、乞食的既成宗教家の無智と迷盲は一層困る。
 私はただ自然の法則を説くのみである。天地自然の道は単一である。無雑である。既成宗教の如く時・所・位によって所説の異なる宗教は、天地自然の道に反している。大本はただ天地自然の道──天授の真理を説く道である。宗教なるものは元来後天的なものであって、教祖なり宗祖なりの人間的要素が可成り混入されているが、道は先天的なものであって、天地を一貫し古今を通じて謬らず中外に施して悖らざる真理である。現代は、日本と言わず全世界は、既成宗教によって決して救済されるものではない。今迄もそうであったように、今後も同じである。ただ天地自然の道・惟神の大道によってのみ成し遂げられるものである。
(「瑞祥新聞」昭和五年十月号)
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