文献名1出口王仁三郎著作集 第5巻 人間王仁三郎
文献名2第2部 心境を語るよみ(新仮名遣い)
文献名3更生の年をむかえてよみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
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データ最終更新日2017-05-07 18:32:40
ページ301
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世の中の多くの人は六十一歳の還暦を迎えると、自分でも老人の如うな感じがすると同時に、他人からも老人扱いされるものであって、娘や孫からは盛んに「御祖父様」と呼ばれ、周囲からも亦老人にせられてしまうものである。故に何時の間にか自分も老人気分になって得意がって居るようである。そして「若い時からいろいろ苦労して来たのであるから、これからは家の事は忰に任せて置いて、ちと楽をさして貰わにゃならぬ」と言うて、兎角世の中から遠ざかって行こうとする傾向がある。
それで私は六十一歳の還暦を「更生」と称えて、いよいよこれから世界の為に緊褌一番せにゃならぬからとて、「七十ははなたれ小僧百歳になりていよいよ男盛りよ」と歌を詠んで、娘や孫には決して、「御祖父様」とは呼ばさないのである。孫を呼ぶにも「子の子」と言うて居るのじゃ。孫というと何だか老人くさくて私や嫌いじゃ。そこで六十以上の人の為に、保健と長寿の一方法として、
一、老人であると云う観念を去ること。一、年齢を忘れて了って思わぬこと。一、気分を若く持つこと。
一、環境を若くすること。一、青年男女と交際すること。
一、衣類持ち物など普通より派手なものを身に着けること。一、婦人の如きは薄化粧でもして身嗜みを怠らざること。一、老人の冷水というて嫌われてもかまわぬ、若いものに劣らぬよう身の廻りを綺麗にすること。一、顔面に髭一切を貯えぬこと。一、早寝して朝起きすること。一、入浴は約二十分間位を適当と思う、温度の高き湯に浴せざること。一、湯茶を沢山に呑んで新陳代謝を盛んならしむること、但し上等の茶は宜しからず、番茶を良しとす。一、酒や煙草の習慣があれば、夫れを止めてはいけない。
一、食物は可成り淡白な菜食を摂るようにして、油濃き肉食はせぬ方が良い。一、血液の循環を能くするよう注意すること。食物の関係で血液がねばる事がある。血圧が高くなったり、中風に罹ったり、肩が凝ったりするのは多く同一原因から来るものである。一、足部を冷やさぬよう注意せねばならぬ。
一、大腸に悪質の菌が発生し、それ等に禍されて老衰するものであるから、大小便の通じに注意して、毎日快通するようにせねばならぬ。一、心臓を強くせねばいけない。使わないで置くと自然と弱くなるから、毎日適当な運動をして心臓を働かさねばならぬ。
一、心配はするとも心痛をせぬようにせねばいけない。
一、投機事業などには絶対に手を出さぬようにせねば、終には生命と財産を失う事が多いのである。
一、常に新進気鋭の精神を自得し仮にも退嬰心を起こさぬこと。
一、天地の殊恩を感謝すること。一、心身の清潔を守ること。一、何事によらず悲観せざること。
等々を勧めたい。之は長寿の秘訣である。
(六十歳以上の人のために、「神の国」昭和十年十一月号)