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文献名1大本七十年史 上巻
文献名2第4編 >第3章 >4 入蒙の影響よみ(新仮名遣い)
文献名3保釈後の動向よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
概要
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ページ758 目次メモ
OBC B195401c4343
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本文  一〇月二九日、綾部では秋季大祭がおこなわれ、翌一二日には、教祖大祭・祖霊大祭が執行された。その日の午後、分所・支部長会議がひらかれていた最中に、「明後日瑞月先生保釈お帰り」との報がはいって、おもわず一同歓呼の声をあげたことである。
 一一月一日保釈の決定にもとづいて、王仁三郎は九八日間の獄中生活にわかれをつげ、午後一時一一分に北区刑務所若松分監の門をでた。数名の新聞記者に撮影され、多数の信者にむかえられて、さぬき屋(真砂町)の二階で休憩し、午後三時五〇分に大阪駅を出発した。このときは一〇〇人以上の信者が同車して綾部までおくっている。綾部駅では六〇〇人をこえるでむかえの人々で駅頭はにぎわった。そして先月二八日竣工したばかりの西門からはいって、無事神苑に帰着したのである。王仁三郎が、この間終始沈着な態度を保持していたことは、体重は入監中にかえって二貫目も増加したというのにもうかがわれる。
 苦難にみちた入蒙の旅、パインタラの遭難にあって、まさしく死線をこえて帰綾をみた王仁三郎にたいして、役員・信者は、すくなくとも一~二年間は休養するものとみていた。社会もまた、事件はまだ解決してはいないし、官憲が、ふたたび国外に脱出することのないようにきびしく監視しているのだから、こんどはおとなしくしているものと一般に考えられていた。
 ところが、出獄後三ヵ月しかたたない一九二五(大正一四)年二月の節分祭がおわると、ただちに数人の信者をともなって、居は亀岡にうつされ、亀岡城址を聖場とするための作業の陣頭指揮を王仁三郎がとったのである。神業を日々のっとめとする王仁三郎にあっては、まったく休養という日はなかったのである。『出口王仁三郎全集』の第六巻には

財政問題や、日出雄(王仁三郎)の保釈問題に関する、小田原評議で低迷せし周章狼狽の空気は、日出雄の保釈帰綾と共に一掃され、全くの嵐の跡の夫れの如く、天地清明の聖地と復活したのである。爾来進展主義の日出雄は、負債や世評に屈することなく、瑞祥会本部を亀岡より綾部に移して、諸務の総攬を宇知麿に一任し、自らは真澄別其他を率いて、万寿苑に根拠を定め、入蒙出発の際宣言せし如く、単に三五聖団の日出雄としてでなく、世界の源日出雄として、万界の暗を照破すべき、神界経綸の実現に着手したのである(大正14・8・17筆録)。

とのべられている。まことに「万界の暗を照破すべき、神界経綸の実現」のために、その基礎を亀岡とさだめて、財政緊縮のおりからにもかかわらず、信者の意表外な挙にでて、積極的に建設造営が着手されたのである。そのために、やや沈滞しかけていた教団も、さらに勇気づけられ、教団内部の空気も一変した。一般社会は、王仁三郎の精力ぷりと、入蒙の挫折をものともしない、その不屈の精神に「驚嘆の目をみはるは亀岡町の人々のみならず、日出雄が天下無敵の経綸振りと、其説示の絶対なるに、今更の如く耳目をそばだて、或は教を請ふべく、或は事業経営の主宰と仰ぐベく、往来する人々引きもきらず」(『出口王仁三郎全集』6巻)というありさまであった。こうして事件以来の世間の酷評を一転する機会がつくられてゆくのである。

〔写真〕
○保釈出獄 (上)刑務所前での王仁三郎 (下)出迎えの人たちの胸はよろこびにあふれていた p758
○綾部の西門 右前方に黄金閣がみえる 破壊された本宮山神殿の材料がつかわれている p759
○王仁三郎の揮毫 p760
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