文献名1大本七十年史 下巻
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文献名3宗教世界会議本会議よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
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一九五五(昭和三〇)年八月一日から四日まで、東京都麻布の国際文化会館において宗教世界会議が開催された。本会議終了後、ひきつづいて地方大会にうつり、五、六日の広島大会についで、亀岡大会は瑞生祭当日の八月七日に、綾部大会は翌八日にひらかれた。もともと万教同根・人類愛善をとなえていた大本では、すでに一九四九(昭和二四)年人類愛善会が再出発するや、「宗教世界会議の開催」を運動目標の一つにかかげ、その主張をつづけてきた。一九五二(昭和二七)年八月の瑞生大祭に、総長は「世界の宗教会議が行われなければならないということは、お筆先の上からも、更に聖師様のお言葉にもしばしば出ているところであります。……世界の平和を第一主題目にしてなるべく早い機会に、第一回の世界宗教平和会議がこの日本において開かれるために、我々はこれを機会あるごとに提唱し、またその機運が上昇されるよう努力しなければならない」とうったえ、同年ひらかれた第一回世界連邦アジア会議、ついで一九五四(昭和二九)年四月の世界宗教平和者会議広島大会などをとおして、大本・人類愛善会は宗教世界会議開催を積極的によびかけ、機運はしだいに醸成されつつあった。
こうした機運を反映して昭和二九年四月に、仏教・キリスト教・イスラム教・バハイ教など約三〇人の宗教家の来日を歓迎して世界宗教家歓迎国民大会がひらかれたさい、主催者の一人であった日本パキスタン文化協会会長の下中弥三郎が「世界宗教会議開催」を提案し満場の支持をえた。ついで五月、東京でひらかれた国連未加盟国会議の席上、下中同会議準備委員長はビキニの水爆実験に言及し、「まず真っ先に立って真の平和を叫ばなくてはならない宗教家が、何らこれに対して、積極的な意欲をもっていないのは一体なんとしたことであろうか。この急迫せる時において、全世界を全人類を救いうる手は、すべて良心の発動以外に道はないと信ずる。そこで私は来年には、全世界のあらゆる宗教家に日本に集まってもらって、世界大宗教会議の開催をとりあげたいと思う」とのべ、開催の機は熟してきた。そこで、この会議の開催中に、出口会長と大国事務局長は下中と会談し、これを契機として、世界宗教会議の準備が具体的に開始された。第一回世界連邦アジア会議で人類愛善会が提案した、「宗教的偏見を排除し、世界各宗教の協力提携を促進する」との決議の主旨にたって、下中弥三郎を準備委員長として「宗教世界会議」が実現するはこびになったのである。大本・人類愛善会は宗教世界会議の推進を重点施策として、全力をあげて協力する態勢をとり、実質的な推進力となった。会議には日本の宗教者代表百数十人と、インド、インドネシア、セイロン、マラヤ連邦、ベトナム、アメリカ、イギリス、ドイツ、ギリシアその他の一六ヵ国の海外代表五〇数人が出席し、宗教者の立場から、現在世界か直面している国際的な現実問題につき、熱心な討議がおこなわれた。
日本側代表には、仏教・神社神道・教派神道・キリスト教・新宗教その他の指導的な人々が参加し、大本からは、出口伊佐男・出口栄二・嵯峨保二・大国以都雄・桜井重雄・藤原勇造・伊藤栄蔵・三村光郎・広瀬静水の九人が代表として出席した。出口会長は、大会において副議長団(第一部会)に選出され、また決議事項処理委員にあげられた。本会議における決議はつぎのとおりである。
一、世界の平和と人類の幸福を念願する本会議は、あらゆる国際紛争の解決の手段として武力を行使すべきでないとの前提に立ち
1、原水爆を禁止し、軍備を縮少してその後廃を促進すべきであること。
2、一切の地域的国際紛争に於ては特にその地域の人民の自由なる意志の表明をまって解決さるべきであること。
右二項を宗教的信念に基いて決議し、国連並に世界各国政府にこれが実践を勧告する。
二、本会議は各国の政治指導者や有力な科学者及び技術者に対し、宗教者的立場に立って、世界平和の実現祈求に邁進するように要請する。
三、我等は宗教の国際的協力機関を結成する。
次回以降、宗教世界会議は、右国際的宗教協力機関主催の下に、加盟国に於て、順次開催される。
四、本会議は宗教団体に対し、各々労資問題の研究機関を設け、労資の紛争に対する認識を深くし、紛争惹起の際は宗教者の立場より之が解決に努力するよう要請する。
五、本会議は国際連合に対し、左記要項を要請する。
A 未加盟国の加盟及び人民代表の参加により、国際連合をして世界政府の実を備えしめる。
B 人口並に資源の問題の全世界的総合的解決。
C 未開発地域の天然資源開発を積極的に促進し、全人類の生活物資を豊かにすると共に地域住民の生活向上を図る。
D ユネスコに宗教部門を新設する。
六、我等は八月六日を世界宗教人共通の国際平和祈念の日とする。
七、我等は諸の宗教人が自由に集り得る宗教的センターが世界各国に設けられることを希望する。
八、本会議は人種的偏見と差別待遇につきその撤廃を期する。
九、本会議はあらゆる意味の植民地主義につきその急速な廃止を期する。
一〇、本会議は世界各国に於ける人身売買及び集団売春等の事実につきその徹底的排除を期する。
本会議は以上諸決議につき、会議の名に於て特に英・米・仏・ソ・印・中・日等各国首脳者並に国連本部に代表を派遣し、個々面接の上、趣旨の徹底を期する。
一九五五年八月四日 於東京 宗教世界会議
この決議は、「本会議に参加した各代表者の背後には、幾億の信徒がつながっている。われらはこれら信徒とともに、明るい世界の建設のために協力遇進せんとするものである」との宣言にもとづいて、今後の実践がちかわれた。
〔写真〕
○宗教世界会議本会議 東京国際文化会館 p1153
○国内外から各宗各派の代表が聖地をおとずれた チョウドリー印度国会議員と歓談の教主 p1154