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文献名1大本史料集成 2 >第2部 昭和期の運動
文献名2第2章 昭和神聖運動 >第2節 昭和青年誌(抄)よみ(新仮名遣い)
文献名3聖師更生祭 歓呼祝呼に充たされた四日間よみ(新仮名遣い)
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ページ530 目次メモ
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本文 聖師更生祭 歓声祝呼に充された四日間
 東海の小島は今や世界の視聴の的となつた。
 見ろ。飛行機と云ふ飛行機は東海の小島をめざしてとんで来る。それ許りではない。世界の大導師出口王仁三郎師を求むるの士は今や世界の各地に争つて立つたのだ。
 そこで吾が青年を以つて主体となし、世界の導師と、主と仰ぐ昭和青年は師の更生を心から寿ぐものである。
 八月二十五日旧七月十二日月中天に明鏡と懸る時、師は更生され六十一歳の老躯を以つて青年と更生されたのだ。
 更生祭の模様は瑞祥会の筆に発表される。茲(ここ)に我等はそのスナツプをつかんで記事とするものである。
○思はぬライトが綾部のみろく殿を照らす。曇つた八月の二十五日の朝十時の景。更生祭をカメラに入れる準備である。急成本会員のライトマンが忙がしく殿内をとびまわる。
○心地よいクランクの音が小さく轟く。十六ミリの活動。素人のキヤメラマン。思へばインチキなものではある。
○あの大きな太鼓がドーンドーンと七五三に鳴り轟く。祭員の出場、立錐の余地なき参拝者の波。
 いよいよ式は始められる、時正に十時半。
○ライトマン、キヤメラマンの異常な緊張。
○インチキなライトが消えたり、ついたり。面喰(めんくら)ふ速成ライトマンにキヤメラマン。
○出口家一家。四代様が吾が天下ととびまわられる。泣き出される寿賀麿師令嬢、操様。三代に亘る縮図の交錯する至聖殿のスナツプ。
○八雲琴が殿内をいよいよ荘厳さに導いて行く。
○参拝者約三千が聖師様と共に直会。歓声殿の内外に充ち正に気運百パーセント。
 出口家一統のニコニコ顔がキヤメラにおさめられる。直美様の裸姿が三代様と共に十六ミリの齣にうつされる。
○綾部町は十曜の神旗と色旗の満飾。苑内はアーチ、神旗或は櫓で奉祝の気正に横溢。
○天声社の売店、鶴山織の売店、昭和青年の出張共に沢山の人、人、人の群。
○鶴山々上のみろく踊り。更生浴衣の波。スナツプ。スナツプ。スナツプ。
○松の木の中を縫つて踊り狂ふ人の群。浴衣の波。四人の音頭取が声をからしての音頭。老人、壮者、幼児、女、男、女、踊る群れ。三千の人の頭が、声が鶴山をゆりうごかす。二代様の踊る姿。宇知麿師の踊る姿。踊りの中で踊りを教へられる人。
○物語拝読。更生祝賀の歌、冠句、随意句、短冠句の幕開き余興。──余興。
○招待宴。泡立つビール。サービスに立つ夫人達。──二代様を先頭に踊り狂ふ客人の姿体。
○狂喜、乱舞、町を挙げての提灯行列。芸者の総動員。三味に太鼓、更生浴衣の長蛇。正に夜明けの五時。鏡をぬく事十。よひ倒れる者、数を知らず。
○場所は亀岡にうつる。物語拝読競技大会、出場チーム十。団体賞。個人賞各五等。三味賞三等。
 夜はみろく踊りで一日が暮れる。
○第三日、玉の井参拝。蜿蜒(えんえん)一里の人の列。
○日活キヤメラマン渡会六蔵氏の応援にてキヤラマン隊急に活気づく。天恩郷ロケーション隊無言の内に造らる。
○ライトとレフレクターの光は大祥殿に集中される。
○石造宮殿が国魂石宝座の上に造られた。月宮聖殿である。初めて動くフイルムに入れられる。──。月宮殿。
○大祥殿内。渡会氏を主体とするキヤメラ隊の盛んなる活躍は群集、祭員、献饌、八琴伶人と次々にうつして行く。
 出口聖師出場。一勢にレフの光が聖師を追ふ。渡会氏の手に十六ミリが廻転する。──着座。玉串捧呈。
○千引岩の前で聖師帰舘の途中をカメラに入れる。
 師曰く『何してんのや』
 一行『今活動とらしてもらつてゐます』
 師『どこでや。今うつしてるんか』
 師は御自分のうつされてゐる事を知らない。目の前の松の木の下に動くキヤメラに気付かれない。
 師『あゝそこか』
 そこで師はニコニコしながら扇子を持ちかへられ、そり身になられて……。クランクの音。
○師『オーイ活動ヤー』
 一行『ハッ』と急ぎ参上。
 師『今から一人で月宮殿の参詣をするさかい、とれ』
 師『瑞月門から入るでよ』
 クランクの音。
 師『行つてもいゝか』
 クランクの音。
 動く聖師の姿が月宮殿と共に近くスクリーンで動くのだ。
○宣霊舎祭典、月宮殿巡拝、月宮殿内にて日出麿師の手から参拝者の手にモチが渡される。
 石の下に大きな蜂の巣が──何千の人の行交ふ中で、一人としてさゝれなかつた奇蹟。
○更生館。宗博に於ける大本館の完備された永久的のもの。八月二十四日落成式。
○四面ガラス張り、銅ぶきの建物。
 正面の上に『更生館』の三字が仰いでみられる。
 聖師画室の入口には師の筆にて
 入る事を御ことはりする
 の意味が書かれて、出口王仁三郎とサインされてある。
 人々は先づ入口に於て歓声を上げる。
 中は聖師の手になる書画が人の目をうばふ。
 等身大の聖師の写真──。智照舘の平井氏の言。
「こんな大きなものは曾(か)つてやつた人はありません」
そうかも判らない。
 一日居つてもあきない内部。さすがは更生館である。
○昭和青年新制の会服のマネキンボーイがとび廻る。
○レコードに合して一人舞ふどこかの女性。
○接待のテント。昭和青年のテント。
 接待に日活女優香川澄江嬢及伴淳三郎氏令妹のサービス。昭和青年会には新制の会服のマネキンあり、御土産のふろしきが風にひるがへる。
○植芝氏の武術奉納に試合を申込んだ、どこかのよつた人。
○日出麿氏などとサインを交す外国女性。ブラボ──。
○余興。日活奉納、ジヤンバルジヤン。森田氏、中村紅果氏、星ルリ子氏、金山、久世の両氏の指揮の下に拍手の中に終る。本会員も出場、ミソをつける。笑ひ──。
○あふれ出る三つの安生舘、客、客、客。
 町の宿屋もあふれ出る。
○天声社の事務所はカードが手から手に飛んで、ペンの走る音と客への言葉が──やはり祭りの日と思はせる。
○更生を喜ぶ。「更生」のマークが人々の胸間に下つて──今日は更生祭の最終日なんだ。
 人々の顔を見ろ。
 輝いてゐる。
 笑つてゐる。
 嬉びが爆発し相だ。
 ウーピー、正にウーピーである。
○美人。シヤン。ビユーテイー。ベルリーノ。
○一時間で出来上つた何と立派な余興の舞台よ!電気。幕。
 人の肩から落ちる大工の姿に観衆の笑ひ、どよめき。舞台裏は何とインチキ。イライラする舞台演出家。間ごつく道具方。
 然し客はうなつたのだ。
○かうして四日間のプログラムは歓声の波にふり動かされ乍ら無事にすんで──
 ハツピーエンドである。
記述者(林)
「昭和青年」昭和六年九月号
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