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文献名1大本史料集成 2 >第2部 昭和期の運動
文献名2第2章 昭和神聖運動 >第2節 昭和青年誌(抄)よみ(新仮名遣い)
文献名3皇道経済社会の建設へよみ(新仮名遣い)
著者原嘉一
概要
備考
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ページ671 目次メモ
OBC B195502c2202139
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本文 皇道経済社会の建設へ 原嘉一
 西洋流の唯物思想より生れたる利己的個人主義に立つ資本主義経済機構は、今やそれ自身に包蔵する自己矛盾によつて自ら没落崩壊の一路を急ぎつつある。
 即ち個人主義に立つ資本主義経済社会は却つて多数の個人の権利と自由をば、少数財閥資本閥の専制支配する所となし、多くの個人を生活苦、失業苦、貧窮のドン底に陥れつつある。個人主義は結局個人を救ふ事が出来なかつたのである。
 我等は『人』の文字それ自身に就て考察する時、到底個人主義で社会は成立つて行かぬ事が明瞭に理解し得る。『人』の字は自分と他人とが持ちつ持たれて相寄り相扶けて出来上る。それ故に社会構成の分子たる各個人が夫れ夫れ勝手気儲に小さい自我根性を以て『俺が、俺が』と争つて居ては到底平和と幸福を望むことは出来ぬ。
 資本主義経済社会に於ては、資本のある者が勝手気儘にその『資本的支配力』に依つて産業経済金融界の独裁的支配を擅にし、その資本と財力とに依つて個人主義を振りかざし、個人の権利自由を振り回すから、優勝劣敗弱肉強食の弊が極端に赴く。延いては貧富の懸隔を大ならしめ、富める者は愈々富み、貧しき者は益々貧しくなり、貧富階級の対立闘争が深化し激化するのである。
 それと同様に資本主義国家間にあつても、大資本国はその資本的帝国主義を以て、弱小民族国家を侵略し、自国さへよければ他国はどうでもよいとの立前から、関税障壁を高くし、他国を圧迫征服することによつて、自国のみの強大繁栄を確立しようとするから、互に仮装的平和の名の下に戦争の恐威に懐えつつ、軍備拡大競争に没頭せねばならぬのである。そこに平和と安心はない。絶えず猜疑、嫉妬、疑惑、誤解等より渦巻的対立抗争が生ずるのみだ。
 自分さへ儲かれば他人はどうでもよい、自国さへよければ他国はどうでもよい、との個人主義に出発する社会或ひは国家は、人類をして、永遠に不幸と争乱の地獄的苛責の中に岬吟させるであらう。
 道徳なき経済社会は、只『もうけさへすればよい』『もうけんが為に手段方法を選ばぬ』唯物的獣的社会である。経済の確立なくして道徳立たず、道徳なき経済は罪悪不幸の社会を醸成する。
 日本国家成立の根本的象徴たる皇大神宮は、天照犬神を斎き祀りて道徳を顕現したまひ、外宮は穀物の神たる豊受大神を斎き祀りて産業即ち経済を顕現し給ふのである。かくの如き遠大なる理想より生れた日本民族こそげに世界一にあつて二なき神国民であり、道徳的世界統一てふ至高の大使命と責任を負うてゐるのである。
 我等はかくの如き物心一如、共存共済の皇道精神に立つ皇道経済社会を一日も速かに樹立して、真に幸福平和なる社会の完成を企図し、皇国民としての本分と使命の遂行に努力精進せねばならぬ。
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