文献名1大本史料集成 3
文献名2第2章 裁判所資料 >第3節 地裁公判調書(諸幹部)よみ(新仮名遣い)
文献名3第五回公判調書(3)よみ(新仮名遣い)
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概要大本の核心的教義である「みろく神政」と「立替立直」を巡る論争である。被告人井上は、これらが「日本の天皇陛下による世界平和の実現」を指すものであり、王仁三郎が独裁者になる意図などは皆無であると断言する。予審調書にある政治的な変革案(議会廃止や遷都など)についても、判事の誘導によって「参考案」を自白として作成されたものだと強く否定した。さらに、神話的な「国常立尊の退隠」などの解釈についても、それは現皇室の否定ではなく霊界の経緯を説いたものであり、皇道の本義を広めるための教えであると釈明している。
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問 大本に於ては立替立直みろく神政成就を強調し居りしや。
答 其の通り相違ありませぬ。
問 立替立直みろく神政成就は大本の根本目的なりや。
答 左様であります。
問 大本に所謂みろく神政成就とは如何なる事を云ふものなりや。
答 大本で申して居りますみろく神政成就とは地上に天国が現れた時の事を申すのであります、其の時初めてみろくの世になつたと申すのでありましてみろく神政成就とは皇道が完全に行はれ皇道に違反した外国の遣り方を廃して純粋になつた時の事を申すのであります、従つて日本の天皇陛下が世界を道義的に統一せられた時がみろく神政成就になるのであります、又大本に於ては精神界がみろくの世になれば現実界もみろくの世になると申して居るのであります。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審第十四回訊問調書第一問答を読み聞け、
問 被告人は予審第十四回訊問第一問答に於てみろく神政成就の意義に付斯様に供述し居るが如何。
答 みろく神政成就の意義に付ては御訊ねの通り相違ありませぬ、然し王仁三郎が統治者どなると云ふのは間違ひであります。
裁判長は、
同上第八回訊問調書第三問答を読み聞け、
問 被告人は予審第八回訊問第三問答に於て昭和十年二月一日発行瑞祥新聞の「皇道大本の目的は云々」なる記事を斯様に説明し居るが如何。
答 御読み聞けの通り説明した事は間違ひありませぬが、夫れは私の意思ではありませぬ、夫れは天津日嗣天皇を王仁三郎としての解釈であります、予審判事は天津日嗣天皇とは王仁三郎の事であると云ふて私の申す事は少しも取り上けて呉れられませぬでしたから、止を得ず御読み聞けの通り説明したのでありますが右記事は文字通り解釈すべきものであります。
問 大本に所謂みろく神政成就とは相被告人出口王仁三郎が恐れ多くも日本の現御皇統を廃し奉り日本の独裁君主となる事を云ふに非ずや。
答 其の様な事はありませぬ。
問 大本の所謂立替立直とは如何なる事を云ふや。
答 大本の所謂立替立直とは皇道即惟神の大道に反した点を皇道に従ふ様改革する事を申すのであります。
問 立替は破壊、立直は建設の意味にあらずや。
答 夫れは余り矯激な言葉でありますから大本では使用して居りませぬ、立替立直に付ては大本に於ては体主霊従の世を霊主体従の世にする事であると申して居り、之を実行するに付ては一部の破壊をせねばならぬ場合もあります。
問 霊主体従、体主霊従とは如何なる事なりや。
答 先日の公判に於て出口伊佐男が申した通りであります。
問 立替立直を為すは神界なりや現界なりや。
答 最初は神界の立替立直をするのでありまして神界の立替立直が終つたら移写関係によつてそれが必ず現界に現はれ現界の立替立直が出来るのであります。
問 大本に於ては現界の立替立直を主張するものなりや。
答 左様であります、夫れが大本の最後の目的であります。
問 大本に於ては日本の現代に於ける社会は体主霊従なるを以て之を霊主体従の世に為す旨主張し居るものなりや。
答 御訊ねの通り相違ありませぬ。
問 現在の日本の如何なる点を立替立直すべきものなるや。
答 体主霊従である点を立替立直するのであります。
問 立替立直とは体主霊従の世を霊主体従の世に改革することにして日本に於ける立替立直は恐れ多くも日本の現御皇室を廃し奉り王仁三郎が日本の統治者となり総て日本の現在の政治其の他の諸制度を打破して新に制度を樹立するを云ふに非ずや。
答 大体其の通り相違ありませぬが、日本の立替立直には統治権者は含まぬのであります、其の他の諸制度の皇道に反する点を改革するのであります。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審第八回訊問調書第二問答を読み聞け、
問 被告人は予審第八回訊問第二問答に於て日本の立替立直は現御皇統を廃止し奉り王仁三郎が統治者となるものなる旨斯様に供述し居るが如何。
答 私は其の様な事は申した事はありませぬが、私が云ふた事にして調書を作成せられたのであります。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審第十五回訊問調書第一問答を読み聞け、
問 被告人は予審第十五回訊問第一問答に於て立替立直の意義に付斯様に供述し居るが如何。
答 全然私は只今御読み聞けになつた如き事は申して居りませぬ、其の瑞祥新聞の説明も私がしたのではないのであります。
問 日本に於ける立替立直の実行者如何。
答 国常立尊が立替立直をせられるのであります、最初国常立尊は霊界の立替立直を為し之れを現界に示し国常立尊の霊代である王仁三郎が立替立直に関する教をするのであります、従つて出口王仁三郎は人間の精神界の立替立直をするのでありまして、大本の役員信者等は精神界の立替立直に付て王仁三郎に協力するのであります。
問 現界に於ける立替立直は王仁三郎を中心として大本の役員信者が協力し実行するに非ずや。
答 王仁三郎を中心として大本の役員信者は王仁三郎に協力して立替立直を致しますが、只皇道の本義を説いて教の普及をする丈であります。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審第十四回訊問調書第一問答を読み聞け、
問 被告人は予審第十回訊問第一問答に於て立替立直の参加者に付て文献上の説明を斯様に為し居るが如何。
答 其の通り相違ありませぬ、現界の立替立直には大本信者以外の者も協力するのでありまして、信者も信者以外の者も全部国民でありますから其の地位身分に応じて実践躬行するのであります。
問 大本は日本の国家及社会組織を如何に立替立直せんとするものなるや。
答 皇道に依拠した遣り方をするのであります。
裁判長は、
同被告人に対する予審第十四回訊問調書第二問答を読み聞け、
問 被告人は予審第十四回訊問第二問答に於ては大本は日本の国家及社会組織を如何に立替立直を為すべきやに付斯様に供述し居るが如何。
答 只今御読み聞けになりました内第一の統治権者の者の点は間違でありまして之れは否認致します、
第二の首府の点も間違ひでありまして綾部が首府になるのではありませぬ、筆先に綾部は末で都となる旨書いてありますが之は首府になると云ふ意味ではなく神都になると云ふ意味であり霊界物語第五巻には綾部は中心と書いてあります、綾部は小さな町であり狭い所でありますから首府になる筈がないのであります、
次に第三議会制度の点も夫れは只形を示したのでありまして今の帝国議会はなくなり神廷会議が国会になると云ふのでありますから、大体御読み聞かせになつた通り相違ありませぬ、
次に第四の法律の点に付ては大体御読み聞けの通りでありまして現在の法律は外国の法律を基礎として作られたものでありますから之を廃止して皇道に基いて作られる事になるのであります、
次に第五の司法制度に付ては只今判然した記憶がありませぬ、
次に第六の私有財産制度の点は只今御読み聞けの通りでありますが、私は至尊が王仁三郎である事は申した事はありませぬ、
次の第七の租税制度、第八の貨幣制度、第九の宗教、第十の教育、第十一の行政機関、第十二の軍事及第十三の国民の点は御読み聞けの通り相違ありませぬ。
問 大本に所謂立替立直の日本に於ける手段方法如何。
答 立替立直の根本は精神を改め思想を良くする事であります、之と同時に一身一家国家社会の悪い処を改め良くするのでありまして、大本に於ては潔斎を主張して居つたのであります。
裁判長は、
同被告人に対する予審第十五回訊問調書第三問答を読み聞け、
問 被告人は予審第十五回訊問第三問答に於て立替立直の手段方法に付斯様に供述し居るが如何。
答 御読み聞けになりました内日本の統治者の立替立直を申して居り暴力を用ひる等の言葉を申述べて居りますが、之は私の申した事ではないのでありまして間違ひであります。
問 所謂立替立直の時期如何。
答 大本に於ては立替立直の事を大峠と申して居ります、其の大峠の時機に付ては日本と世界との大戦争の時であるとか天災のある時であると申して居りました、而して其の時期に付ては時々変更して居りましたから判然した事は知りませぬが、私は王仁三郎の存命中には立替立直出来るものと思ふて居りました。
問 大本の主祭神は天照皇大神なるや。
答 其の通り相違ありませぬ。
問 天照皇大神と大本皇大神とは同一神なるや。
答 大本皇大神は天照皇大神を始めとしは百万神を総称したものであります。
問 天照皇大神並に大本皇大神は大本に於てのみ説き居るものなるや。
答 天照皇大神は何処でも云ふて居ると思ふて居りますが、大本皇大神は大本でのみ説いて居ります。
問 天照皇大神の御神格並御神業如何。
答 天照皇大神は宇宙造化の御三神の極徳を完備せられたものであります。
問 天照大御神と天照皇大神とは御神格並に御神業に於て差異ありや。
答 天照大御神と天照皇大神とは同一神でありますが、天照皇大神は天照大御神の御働きの向上せられた方でありまして天照大御神が宇宙の主宰神になられた後天照皇大神と申すのであります、従つて天照大御神は伊邪那岐尊、伊邪那美尊の御子であり両尊の御働きを継承され両尊の代表神となられ御一体の働きを為される際には天照皇大神と申上けるのであります、夫れで天照大御神と天照皇大神とは御神格御神業に於て差異があるのであります。
裁判長は、
被告人出口王仁三郎に対する証拠品中、
証第九三号中大正七年二月一日発行神霊界第九頁第十頁及第四十頁
第四十一頁の「太古の神の因縁」を読み聞け、
問 大正七年二月一日発行神霊界第九頁第十頁及第四十頁及第四十一頁の「太古の神の因縁」中には天照皇大神は天之御中主大神の極徳を顕現せられたる神にして天照大御神は高天原の主宰神である旨斯様に主張し居る様なるが如何。
答 御読み聞けの如く主張して居つたに相違ありませぬ。
裁判長は、
被告人出口王仁三郎に対する証拠品中、
証第三、六五八号霊界物語第四十七篇第一頁以下を読み聞け且展示し、
問 又此の霊界物語には天照大御神及天照皇大神との区別に付前同様の趣旨に記載しあるが如何。
答 左様であります、働きや地位により神名が異るのであります。
問 大本に於ては立替立直みろく神政成就を必要とする理由、即ち大本の根本経綸として国常立尊の退隠並に再現及豊雲野尊の退隠及再現を説き居るや。
答 其の通り相違ありませぬ。
裁判長は、
被告人出口王仁三郎に対する証拠品中、
証第一六二号神諭天之巻火之巻
証第九三号大正七年二月一日発行神霊界第九頁第十頁及第四十頁第四十一頁「太古の神の因縁」
証第三、六五八号霊界物語第一篇第十八章「霊界の情勢」同第二十二章国祖御隠退の御因縁
同第二篇総説中の「盤古大神塩長彦命云々」
同第四十七篇総説を展示し且読み聞け、
問 右国常立尊の退隠及再現の理論は神諭天之巻火之巻に断片的に記載しある外右展示し且読み聞けたる大正七年二月一日発行神霊界第九頁第十頁及第四十頁第四十一頁の「太古の神の因縁」霊界物語第一篇第十八章「霊界の情勢」同第二十二篇「国祖御隠退の御因縁」同第二篇総説の九頁「盤古大神塩長彦命云々」同第四十七篇総説に書き居る通りなりや。
答 其の通り相違ありませぬ。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審終結決定書記載の大本教義要旨㈠を読み聞け、
問 右根本理論として説く処の要旨は此の通りなりや。
答 只今御読み聞けの如き要旨にはなりませぬ、之は主として霊界の事を説いたものではありますが、勿論現界にも深い関係があります、而して只今御読み聞けこなりました決定に書いてあります要旨に付て申上げますとみろく菩薩と云ふのは宣伝使であります、又国常立尊は無念を忍び退隠して艮金神となりとありましたが、国常立尊の神勅を為して退隠せられ艮の金神となられたのであります、
次に盤古大神は瓊々杵尊である如く書かれて居りますが之は間違ひでありまして盤古大神は塩長彦命であり瓊々杵尊とは全然関係ありませぬ、而して其の次に盤古大神は支那に生れ給ひ後日本に渡来せられ国常立尊の後を襲はれたとありますのは其の通り間違ひありませぬが其の当時の日本は現在の中央亜細亜ヱルサレムの東方でアルメニヤ附近に当るのでありまして国常立尊は其の処に居られ其処て統治して居られたのであり、国常立尊の退隠後に後を襲はれた盤古大神も其処で政治をして居られたのであります、而して当時現在の日本は支那大陸と陸続きになつて居つたのであり、日本海はなかつたのでありますが、国常立尊が退隠せられてから後悪神が跋扈したので国常立尊が残念がられて叫ばれた際其の動作によつて土地が陥没して日本海が出来たのでありまして此の事は霊界物語第四、五篇に書いてあります、
次に爾来瓊々杵尊の御系統に坐す現御皇統に於て日本を統治し給ひたる為体主霊従悪逆無道の現社会を招来し優勝劣敗弱肉強食の惨状を呈するに至れりと書いてありますが瓊々杵尊の御系統に坐す現御皇統が日本を御統治坐す事及現在の社会が体主霊従優勝劣敗の惨状を呈して居る事は間違ひありませぬが其の原因が私には判りませぬ、従つて爾来瓊々杵尊の御系統に坐す云々以下は否認致します。
次に撞の大神は国常立尊に対し再び地上の主権を付与し給ひ云々とありますが撞の大神は国常立尊に地上並に霊界の主権を附与せられたることを主として云ふたのであります、其の他は御読み聞けの通り相違ありませぬ、尚此の際御説明申上げますが私は只今再現と云ふ事を申されたに対し其の通り相違ないと申しましたので其の点に付て申上げますが再現と申しますのは今迄は隠れ居つて何も云はなかつたが今度は表に現はれて出口王仁三郎を機関として筆先を書かせると云ふ意味なのであります。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審第七回訊問調書第三問答並同第九回訊問調書第二問答を各読み聞け、
問 被告人は予審第七回訊問第三問答に於て国常立尊の退隠及再現の教義を供述し且同第九回訊問第二問答に於ては文献に基き該教義を斯様に説明し居るが如何。
答 只今御読み聞かせになりました通り私が申した事になつて居りますが夫れは私の申した事申さぬ事を混言して調書にせられたのであります、此の調書は私の申した事のない恐れ多い事を附加せられて居るのであり斯うなるであらうと押付けられ違ふと申しましても最前の言ふて居る事は煎じ詰めれば斯うなると云ふて弁解を聞いて呉れられませぬでしたから云はれる通り止むを得ず認めたのであります。
問 右教義㈠は地上現界の事を云ひたるものに非ずや。
答 私は霊界並に現界の事を云ふたものであると思ふて居ります、それは霊界が元で霊界が変化すると其の結果現界も変化すると云ふ事になるのであります。
問 教祖ナカ及王仁三郎は如何なる神の霊代又は神の顕現なりと主張し居りしや。
答 先日の公判に於て王仁三郎が申して居た通りであります。
裁判長は、
被告人出口王仁三郎に対する予審第八回訊問調書中第四問答の王仁三郎の供述中出口ナカ及王仁三郎の関係部分を読み聞け、
問 王仁三郎及教祖ナカの神の顕現霊代関係は此の通りなるや。
答 其の通り相違ありませぬ。
問 大本に於ては移写関係を主張せるや。
答 其の通り相違ありませぬ。
問 移写関係とは如何なる事なるや。
答 移写関係とは根本の世界に出来た事は結果の世界に現はれて来る事を申すのであります、従つて霊界に起つた事が必ず現界に現はれる事を申すのであります換言すれば天の神界にあつた事は天の現界に地上の神界にあつた事は地上の現界に現はれるのであります、然しながら宇宙の修理固成が出来て居りませぬと移写は不完全であります、而して宇宙を創造せられてからの発展に付て区別しますと幽の幽が最初であり順次幽の現、現の幽、現の現に発展したのでありまして之が完成した際完全に移写せられるのでありまして幽の現が出来た頃には移写関係は行はれて居らなかつたのであります。
問 右予審終結決定書記載の大本教義要旨㈠は霊界の事にして盤古大神が国常立尊の後を襲ひ地上神界を統治し居られたりと言ふ事は移写関係より論すれば盤古大神は地上現界に於ける瓊々杵尊の御統治に当るに非ずや。
答 左様ではありませぬ。
問 然らば盤古大神の統治は移写関係によりては如何に移写したりや。
答 其の当時は修理固成が不完全でありましたから移写はして居りませぬ。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審第七回訊問調書第三問答及第九回訊問調書第二問答を読み聞け、
問 被告人は予審第七回訊問第三問答及同第九回に問答に於て斯様に移写関係より盤古大神の御統治等に付説明し居るが如何。
答 只今御読み聞けになりました予審第七回訊問の際申上げた事は大体其の通り相違ありませぬが、移写関係は同一事項が同一事項で現はれるとは定まつて居らぬのでありまして内容は同一であつても外形が異つて現はれる場合と外形は同じであつても内容の異つて居る場合とあり又完全に現はれて来る場合もあるのであります、又前にも申しました様に修理固成が完全に出来て居らぬ場合は全然移写しない事もあるのでありまして盤古大神の統治は地上現界には移写しなかつたのであります。
問 盤古大神は支那より日本に渡来し給ひたる事は如何に移写したる
や。
答 其の事は少しも移写して居りませぬ。
問 右教義を説き出したるは教祖ナカ死亡後なるや。
答 左様であります、教祖生存中はずつと以前から艮の金神と申して居りました。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審終結決定書記載の大本教義要旨㈡を読み聞け、
問 大本に於ては教義の一つとして国常立尊の神名を藉りて大国主命の御事を又盤古大神なる神名を藉りて瓊々杵尊の御事を説き斯様に主張し居りたるに非ずや。
答 全然左様な教義を主張して居つた事は知りませぬでした、国常立尊が大国主命である事も知りませぬでした。
裁判長は、
同被告人に対する予審第二十三回訊問調書第一問答を読み聞け、
問 被告人は予審第二十三回訊問第一問答に於て右教義に付斯様に供述し居るが如何。
答 御読み聞けの通り申上げた事は相違ありませぬ、私は其の教義は少しも知らなかつたのでありますが、出口伊佐男が其の通り申して居るとの事でありましたから同人は研究家でありますから何が根拠があつて申したものと思ひましたので其の様に申したのであります。
問 被告人は右教義を如何に考ふるや。
答 只今御読み聞けの教義中天津神と国津神の区別のある事は知つて居りますが、素盞嗚尊は天津神でありまして国津神であるとの点は間違つて居るのではないかと思ひますが、素盞嗚尊が天津神であるか国津神であるか判然した事は判りませぬ、次に大国主命が武力を以て日本を統治せられて居つたとの点は間違であります、又最後に至仁至愛の神は命令を下して盤古大神即天孫瓊々杵尊は地上の統治権を国常立尊即ち大国主命に奉還するの止むなきに至りたるも現御皇室は今猶日本を統治し給へりとありますが之れは間違でありますから否認致します、以上述べました以外は御読み聞けの通り相違ありませぬ。
問 大本には大本教義の一として素盞嗚尊の神逐及再現の理論を説き居るや。
答 其の通り相違ありませぬ。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審終結決定書記載の大本教義要旨㈢を読み聞け、
問 其の教義の要旨は此の通りなるや。
答 只今御読み聞けの事実中日本を天津神の御系統に於て統治し給ふは伊邪那岐尊の神勅に背反するものであるとの点は間違ひでありますから否認致します、而して最後の至仁至愛の神素盞嗚尊は出口王仁三郎を機関として顕現し現代の紛乱世界を立替立直して至仁至愛の世と為す事となりたりとありますのは現代の紛乱世界を立替立直して神代の昔素盞嗚尊が八岐の大蛇を退治て草薙の御剣を得て天照大御神に奉られた如く至仁至愛の世と為す事に付、陛下の御神業に奉仕し扶翼し奉ると言ふ意味の間違ひであります、其の他は間違ひありませぬ。
問 天津神と国津神の区別如何。
答 場合によつて異りますが天の神界の神々が天津神であり地の神界の神々が国津神であります。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審第十回訊問調書第三問答を読み聞け、
問 被告人は予審第十回訊問第三問答に於て天津神と国津神の区別に付斯様に供述し居るが如何。
答 御読み聞けの通り相違ありませぬ。
問 然らば天界の神を天津神地上の神を国津神と言ふ事となるや。
答 其の通り相違ありませぬ。
問 天界の主宰神は天津神地上主宰神は国津神なる事は伊邪那岐尊の神勅により定まりたるや。
答 其の通り相違ありませそ。
問 素盞嗚尊が天津神なりと言ふ根拠如何。
答 素盞嗚尊は天照大御神と御兄弟として御生れになつたのでありますから、天津神であらせられたのでありますが地上に下りられたので其後は国津神とならせられたのであります。
問 右㈢の教義は至聖殿落成所感中に掲載せられ居るや。
答 其の通り相違ありませぬ。
裁判長は、
被告人出口王仁三郎の証拠品中、
証第七二四号の大正九年九月二十一日発行神霊界十八頁以下「至聖殿落成所感」なる一文を読み聞け、
問 至聖殿落成所感は此の通りなるや。
答 其の通り相違ありませぬ。
裁判長は、
被告人井上留五郎に対する予審第十回訊問調書第三問答を読み聞け
問 被告人は予審第十回訊問第三問答に於て至聖殿落成所感を斯様に説明し居るが如何。
答 御読み聞けになつた通り説明した事にはなつて居りましたが夫れは私の意思に反した供述であります。
問 曩に訊ねた如く大本に於ては現御皇統に於て日本を御統治せらるる事は伊邪那岐尊の神勅に背反するものと説き居りたるに非ずや。
答 左様な事は説いて居りませぬ、現御皇統に於て日本を御統治遊ばして居ります事は神勅違反になりませぬ、伊邪那岐尊は素盞嗚尊に大海原を知食せよと御神勅を御下しになつた事は間違ひありませぬが素盞嗚尊は大海原を御統治になりませぬでしたので天照大御神は神勅を下して瓊々杵尊に日本の御統治を御命じになつたのであります、而して天照大御神は其の時既に伊邪那岐尊及伊邪那美命より神権を委任せられて居りましたので三神一体即ち天照皇大神となつて居られ右御神勅は伊邪那岐尊の御神勅と同一なのであります、従つて現御皇統が日本を御統治遊ばされて居る事は神勅違反にならぬのであります。
問 伊邪那岐尊が天照大御神に神権を御委任になりたるは何時なりや。
答 之は大本で説いて居るのでありますが太陽界の現界の主宰神が天照大御神、霊界が伊邪那岐尊と定められた事があります、此の時に御委任になつたのであります。
問 其の事は大本の文献に記載しありや。
答 大正九年頃の神霊界に三神即一体の理論で示して居つたと思つて居ります、尚其の他の文献にも書いてあつたと思つて居りますが只今如何なる本に書いてあつたかは記憶して居りませぬ。