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文献名1大本史料集成 3 >第2部 第二次事件関係
文献名2第2章 裁判所資料 >第5節 証人訊問調(控訴審)>(四)京都府警部よみ(新仮名遣い)
文献名3高橋警部証人質問(3)よみ(新仮名遣い)
著者
概要高橋警部は追及を受け、最終的に「実印を預かったように思う」「王仁三郎の捺印に立ち会った」と証言を翻した。中村純一は、中立売警察署の官舎で深夜までかかり、警察幹部らが立ち会う中で登記書類を書かされた実態を語る。また、検挙の指針となったとされる内務省のパンフレット「大本事件の真相」についても審理され、高橋警部は、パンフレットの存在は認めたものの、それに基づいた検挙や事前の打ち合わせについては「絶対にない」と否定した。
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2026-06-17 11:11:05
ページ572 目次メモ
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本文  裁判長 今の預つたら預つたで宜いぢやないか。
 答 預つた様に思ひます。
 裁判長 そこで預つて富沢弁護人が尋ねたやうな此王仁三郎をして判を捺さした顛末に就て関係して居るのぢやないですか。
 答 其委任状に王仁三郎が判を捺すときに私は立会つたのです。
 裁判長 其委任状を中村純也に渡したのか。
 答 さうです、取次いだのですね。
 裁判長 其点に関して王仁三郎は──先程は清算して云々と言ふて居つたが、お前さんの方から無理に進めたような事実はないか、──それからね、其中村からだね顛末をだねよく事情を取次いだ一日の差で……其事実をお前さんに中村から云はれて中村から王仁三郎に伝達方を頼まれた事実はありますか。
 答 あります、そうして中村に取次いだ訳ですね。
 裁判長 中村から……。
 答 それから承諾書を又取次ぎます。
 裁判長 中村がでせう、委任状に依つてまあ其時手紙が来て一日の差で登記を済ました、其後に手紙が来た、王仁三郎の承諾の意見に基いたのぢやないと云ふことが分つた訳だね、それを中村が王仁三郎に云つて呉れと云ふ伝達を受けたことはないかと云ふのだ。
 答 其伝達は受けたことはありませぬ。
 裁判長 ないですか。
 答 ありませぬ。
 富沢弁護人 それから中村にもう一点委任状が廻つて来たと云ふ言葉を使ひましたが廻つて来たと云ふのは誰か持つて来たと云ふのですか登記書類は中村が誰に渡したのでせう。
 中村純一 私は登記書類は中立売警察署の官舎の二階で夜分遅く迄かかつてやつたと思つて居りますが、当時はまだ老眼を使用して居らなかつたので眼が未だ見えて居つたのです、夜中に墨は目に応ひますがそれが不思議に応へずに書いたことをよく目眼鏡を貰つたように思つたのです。
 其の書面の作成中には保安課長長岡文男さんと云ふ方がありました、それから亀岡警察署長の木下定雄さんが立会ふて居られました、さうして私に登記所の代書士が御造りになつたものを持つて参りまして書入れるのでありますから、どことどこに判を捺して書入れると符箋が付いて居りますから大体そんなことに付ては経験を持つて居りますから、さうして書面を整へて保安課長と警察署長とに交付したように思つて居ります。
 裁判長 それからおスミさんの方は全然証人は関係しないと云ふことを云つて居りますが。
 中村純一 そんなことはありませぬ、此のことに関しては今富沢弁護人の仰せになるように王仁三郎氏スミは顔を合したものでもありませぬ、どこに居るやら一切皆目分らぬ、高橋警部さんの手を経由しなくては何ものも来る訳ぢやないのです、受諾するに付ては承諾書を書かなければならぬ、其の承諾書なんかの原稿は高橋さんの方から廻つたのでありまして私はそれは書いて居りますが、承諾書では私の書いた字であります、けれ共原稿は矢張り其原稿に依つて私が……。
 富沢弁護人 おスミさんの委任状の原稿は其証人が書いて呉れたのですか。
 答 違ひます、それは今の承諾書の関係で御座います、委任状の関係は私はございませぬ。
 富沢弁護人 承諾書はあなた御書きになつたのですか。
 答 承諾書は之は請求がありますから承諾書を書いて呉れと……。
 富沢弁護人 それは王仁三郎氏からあなたが委任を受けて居つたのですか、無論それは順序の上に自分に委任状を先づ持つて御出でになつてですね、王仁三郎氏がお前に委任したと──依つて其承諾書を作成して呉れと仰せになることに依つて──。
 中村純一 私は其原稿に基いて承諾書を致しました。
 富沢弁護人 さうすると王仁三郎氏から、あなたが承諾書に判を捺すことも許されて居つたのですね、承諾書に。
 中村純一 承諾書の関係はですね、委任状を私が……。
 富沢弁護人 委任状と云ふのは王仁三郎氏の私有財産を移転するの委任状であつて、それなら債券の譲渡に同意することとは意味は違ふぢやないですか。
 中村純一 それはさうです、先刻申上げて置きました。
 富沢弁護人 それでどうなつたの。
 裁判長 其点の顛末を訊きたいと云ふのだ。
 中村純一 それは王仁三郎氏のよりはおスミさんの方が後になつて居ります、後になつて居りますが、手続関係は同じ様になつて居ります、委任状を私に御取次になつて承諾書を書けと云ふから其原稿に基いて承諾書を書いた訳であります、勿論それは真実委任されて居るものであることは問ふ迄もない事であります。
 富沢弁護人 尚ほ此証人に一遍御訊き願度いのですが、最初判を預つたことはない、終には判を預つた、如何なる法規によつて預つたのか、実印を預つた訳ですね……警察官吏が個人の実印を預る権限を持つて居らないと思ふのであります。
 足立弁護人 一寸其証言は。
 中村純一 ちよつと順序で此証人に聞くのですが此の登記関係に就て一つ残つて居るのですが、ひよつとしたら、王仁三郎からかと思ひますから、穴太に王仁三郎の生地があるのです、三ケ所あるのです、それで其穴太の方は代書人の関係で其書面が遅れたのであります、それでありますから其の遅れて居ります間に只今申上げたように王仁三郎氏の取消の手紙が私の手許に参つたものでありますから、穴太の王仁三郎の生地等は登記を其儘にしております、たから決して王仁三郎氏に依つてと云ふことは……。
 富沢弁護人 ちよつともう一遍御訊きを願度いのです、大本の建物を売却するときに証人が立会つたかどうか。
 裁判長 どうだ高橋。
 答 売却の際に立会つたかと仰しやるのですね、行つたこともありますけれ共ずつと居りませぬでした、一日か見に行つたと思ふ、立会ふとか、立会はないとか……見にゆきました。
 富沢弁護人 建物の柱を三つにも四つにも切りそれから瓦はトラツクで以て引摺り壊したと云ふ事ですがさう云ふ事をあなたが御命令になつたのですか。
 答 いや、夫んな事は命令致しませぬ。
 富沢弁護人 さうすると誰方が御命令なさつたか、御存知ございませぬか、警官が勝手に──あなた方の部下が勝手に為さつたと云ふ事になるのですか。
 答 それは判りませぬ、誰が命令なさつたかどうか──そんな事があつたのですか。
 富沢弁護人 そんな白ばくれなくとも宜いぢやありませんか。
 裁判長 それぢや判を預つたと云ふのはどうしたの。
 答 其辺はつきり記憶ありませぬけれ共、夫れを其時持つて行つて何んです、まあ本人は其場で持つて居る、矢張りそれなれば中村が判を持つて居つたのかも知れませぬね、さうして私が預つて居て王仁三郎に渡して王仁三郎が捺したと。
 裁判長 其判はどうなつたの。
 答 其判は結局返したのでございませう、返したのでございませうね、返して置くでございませうね。
 裁判長 お前さんの方から。
 答 はあ、私の方から其書類が違ひましたから。
 足立弁護人 最後の所で同じ事項を各警察官の証人に御尋ねいたしますが今日も清瀬弁護人からも御問ひになりましたが、尚後日の為にもう一度明かなる御証言を伺つて置きたいと思ひます、それは此事件検挙として準備以上かも知れませぬが内務属の古賀強、而して之には永野事務官が大本事件の真相と題する「パンフレツト」それに基いて本件の検挙をなしたと云ふ事実はありませぬか。
 裁判長 高橋、今ね大本の真相と書いた「パンフレツト」のやうなもの、それによつて検挙に着手したようなことはないか。
 答 その様なもので着手した様な事はございませぬ。
    (此時出口王仁三郎奇声を発して暫し止まず)
 裁判長 王仁三郎どうしたの。
 富沢弁護人 神懸りであります。
 答 「パンフレツト」はあつたように思ひますがね、内容ははつきり覚へませぬがそれはずつと後に初めに夫んなものを配られたのでなしにずつと後にさあ何時頃でございましたでせうか、私の見たのははつきりしませぬが四月か五月頃ではなかつたかと思ひますが、見た様に思ひます。
 裁判長 見た様に思ふのは何時頃です。
 答 四月か五月。
 裁判長 十一年。
 答 十一年です。
 裁判長 検挙後ですね。
 答 検挙後です。
 足立弁護人 検挙後十一年四月頃もう変りありませぬね、一生涯──見たような気もする、然し夫れに基いて京都府の警察官が集つて相談し京都へ永野がわざわざ出て来て説明したと、さう云ふ事実はないですか。
 裁判長 夫れに基いてやつたと云ふ事はないか。
 答 絶対にありませぬ。
 足立弁護人 ありましたね、より念を押して置きます後日言を飜さない様にして頂きたい。
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