文献名1大本史料集成 3 >第2部 第二次事件関係
文献名2第2章 裁判所資料 >第5節 証人訊問調(控訴審)>(四)京都府警部よみ(新仮名遣い)
文献名3高橋警部証人質問(4)よみ(新仮名遣い)
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裁判長 永野内務次官の話のことですか、話のあつた事も御訊ねになるのですか。
足立弁護人 何ですか。
裁判長 永野事務官の……。
足立弁護人 検挙の話ですか、話も──。
裁判長 どうです。
答 それに付ての話ですか、それに付ての話はありませぬ。
足立弁護人 之以上要りませぬ。
裁判長 さうすると弁護人側に何かありますならば──何が証人に聞いて貰ひたい事があれば……高木どうですか。
高木鉄男 私今の話によりますと事件の内容本質に付て何か話したように聞きまして御座いますが、さう云ふことは一切ないやうでございます、予審訊問と云ひますか、今何か言ひましたが、其時私が言ふ事で黙つて聞かれた、三日間か四日間黙つて聞かれたのです、其時には何故大本に入つたか、私の入信の経路、大本は什んなものだと云ふ様な話があつたのです、ですから信ずる儘を思ふ存分に宜く黙つて聞いて居ると云ふ位に私は甚だ話下手でありますから、神懸りの話をして見たり、御蔭話、それから満洲の紅卍字会の関係を話したり、種々の事を話したのです、それで私は什う云ふ事を拘引されて居るか知りませぬ、事件の事にふれたと云ふ様な事は一言もありませぬ、向ふからさう云ふ事に付て質問を受けた事実もないのです、尚其自由な供述を致しましたのは、高橋さんが居られぬやうになつて、小川さんになつても何日か続いた様に思ひます、だから何等此事件関係に付ては聞かれた事もなければ無論訊かれぬから云ひもしませず、只大本へどうして入信したか……。
裁判長 さう云ふ事に高木が云ふて居りますが什うです。
高木鉄男 場所は中立売でございました、五条ぢやありませぬ。
裁判長 大本の根本目的とか結社とかさう云ふ根本のことについては御訊ねもなかつたと斯う云ふて居るがどうです。
答 或はに、三日の事は私も先に申しました通りだからして余り深い事をさう聞きませぬのだと思ひます、それはさつき申した様に思ひますが……。
高木鉄男 黙つてふんふんと聞いて居られました、だから何も先刻言はれたようなことは一遍もありませぬ、だから高橋さんから殴られもしなかつたのです、又殴る様な話もありませぬでした。
裁判長 だから高木の云ふ通りか、根本問題に付て。
高木鉄男 其時には夫んな問題に付て何もありませぬ。
答 国体変革と云ふ様な点に付ては何もいたしませぬでした。
裁判長 さうしますと王仁三郎此証人に聞いて貰度いことがあれば……。
王仁三郎 此証人の云ふ事を聞いて居りますと初めから全部嘘でございます、そして一々申上げると暇が要つて皆さんに御迷惑を掛けますけれ共此前に申しましたように全部嘘で御座いまして此人の仰しやることは……さうして一番後の問題の地所のことも此人が私の印形を握つて居つて渡さずに委任状も自分が原稿を書いて来て此の通り書けと云つて無理に書かされて、さうして押す時だけは私に持たして呉れまして私が押しましたけれ共それを又引つたくつて自分のポケツトに入れてしまひました、此人の仰しやることは皆違ひます、中村をいなしてやる私の家の留守が困つて居るから整理をする様に中村は会計だからいなしてやると仰しやつた、そんなら斯う云ふ物を売つたりするのは、スミに相談がなければいかぬから、スミと中村と三人一緒にして呉れと云つたら会はしてやるから押せと言はれて欺されてやつた、此人は嘘をつかはりました、さうして印形を押さしたのであります、私は何十万円と云ふ金が掛つて居る地面です、私の名儀にはなつてヰるけれ共全部信者のものでありまして、私の自由にならぬので無理に脅迫的に印形を捺さしたのでございますから、私は其時はもう悲痛の極みでありまして泣くにも泣けぬでありましたりが又妙な顔をして居ると、どつかれるから、にこにこと笑ふ様な顔をして判を捺したのであります、女房と中村が会つてに人が相談して綾部に帰つて中村家内はまだこつちに来て居ると思はなかつた、郷里に居ると思つて居た中村が相談してさうして皆の信者に相談した結果なら滅多に売る気遣ひはないと思つて居りましたけれ共念の為めに若しも売つたら困ると思つて手紙を出しました、すると中村は亀岡に帰つて居ない、帰らしてやると云つたから、帰つたと思つた、手紙を出したら嘘やつたのです、帰つて居らなんだ記念館宛に出した……。
裁判長 此点に就て。
王仁三郎 それから。
裁判長 ごちやごちやになるから、お前の方から下書きを書いて斯う云ふ様に書けと書かして判を押して無理に書かれた。
王仁三郎 私はよう書きまへぬ。
裁判長 中村をあつちへ帰してやると云ふ事を云つてさうして、あれした様なことはありますか、中村に手紙を王仁三郎が亀岡に出して居るぢやないか。
答 中村に会はすと云つたことはありませぬ。
裁判長 中村に手紙を出して居るぢやないか。
答 中村が何処に居ると云ふ事に就て私は云ふて居りませぬから……。裁判長王仁三郎の言ふ事も本当らしく思はれるが、現に亀岡に手紙を出して居るぢやありませぬか。
答 それは被疑者が何所に居るかと云ふ事は一切申しませぬから……。
裁判長 いなしてやると云つたから判を押したのだと言つて居るが之はどうだ。
答 中村をいなしてやると云つたようなことはありませぬ。
(王仁三郎進み出て証人の顔を覗く)
裁判長 王仁三郎。
王仁三郎 什んな顔して云ふかいな、残念で居られまへぬ。
〔以下略〕
(大本教団所蔵)