文献名1大本史料集成 3
文献名2第2章 裁判所資料 >第6節 控訴審判決書よみ(新仮名遣い)
文献名3控訴審判決書(12)よみ(新仮名遣い)
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概要笹岡康男ら残る被告人について、人類愛善新聞の拡張、宣伝使活動、支部運営、講演、会員獲得等の行為を列挙する。その後、裁判所は治安維持法上の結社とは、共同目的を持つ者による継続的集合体であると整理し、本件の争点を、昭和3年3月3日に王仁三郎を首班とする国体変革結社が実際に組織されたかどうかに絞る。
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データ最終更新日2026-06-17 13:03:40
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第四十一 被告人康男は昭和四年一月大本に入信し其の後大本春日出支部次長、同支部長、昭和青年会大阪支部長等に就任し更に昭和七年十一月大本及人類愛善会の機関紙人類愛善新聞発行所なる東京市四谷区霞ケ丘町人類愛善新聞社拡張員と為り専ら大本の為活動中、昭和九年十一月頃大本は窮極するところ前記教義に基き王仁三郎が日本の統治者となるべきものなりとの理由の下に我国体の変革を目的とせる結社なることを諒知したるに拘らず、其の目的達成に協力せんことを決意し、依然大本に留り正宣伝使及人類愛善新聞社拡張員として其の役職に相応する活動を継続して其の頃右結社に加入し、爾来昭和十年十二月上旬迄の間右結社の拡大強化を図る目的を以て、前記役職の外昭和神聖会総本部員に就任して、其の間京都府加佐郡皇道大本新舞鶴分所其の他山陰、山陽、九州、四国及近畿地方の大本の分所、支部に出張して役員、信者等に対して大本の主義、主張の宣伝を為し、且人類愛善新聞の販路拡張並昭和神聖会の支部設置同会員及賛同者の獲得等に付激励し、或は前記人類愛善新聞社に於て同新聞の販路拡張を図る等信者の獲得並其の意識の昂揚に努め、
以て右結社に加入して其の目的遂行の為にする行為を為し、
第四十二 被告人武夫は大正十三年大本に入信し、翌年十一月頃以来大本亀岡本部時習課員として大本のローマ字機関紙「言葉の光」及同エスペラント語機関紙「ヴエルダモンド」の編輯事務に従事中、昭和四年四、五月頃に至り、大本は窮極するところ前記教義に基き、王仁三郎が日本の統治者と為るべきものなりとの理由の下に、我国体の変革を目的とせる結社なることを諒知するに至りたるに拘らず、其の目的達成に協力せんことを決意し依然大本に留り、時習課員として右編輯事務に従事し以て其の頃右結社に加入し、爾来昭和十年十二月上旬迄の間右大本亀岡本部時習課員の外、人類愛善会情報部主任、大本機関紙丹州時報記者、人類愛善会総本部時習部部長、正宣伝使等の役職に就任し、右結社の拡大強化を図る目的を以て右亀岡町に於て前記機関紙「言葉の光」其の後身
「ニツポン」並「ヴエルダモンド」等を編輯し、丹州時報等の新聞に大本の主義、主張を宣伝するに足る記事を投稿し、右「ニツポン」に大本の主義、主張を宣伝するに足る記事を執筆掲載し、或は四国、中国、九州及台湾各地に於てエスペラント講習会を開催し、エスペラント語の普及に因て大本の主義、主張の宣伝を為す等信者の獲得及其の意識の昂揚に努め、
以て右結社に加入して其の目的遂行の為にする行為を為し、
第四十三 被告人知二は大正九年四月頃大本に入信し大本の為活動し居りたるも、大正十年二月王仁三郎等に対する不敬事件に際会し一時信仰を放棄したるが、昭和五年六月頃再び大本に入信し自宅に堺竜神支部を設置して、其の支部長と為り大本の為活動中、昭和六年十二月頃大本は窮極するところ前記教義に基き、王仁三郎が日本の統治者と為るべきものなりとの理由の下に、我国体の変革を目的とする結社なることを諒知するに至りたるに拘らず、其の目的達成に協力せんことを決意し依然大本に留り、右竜神支部長として活動を継続し以て其の頃右結社に加入し、爾来昭和十年十二月上旬に至る迄の間、右役職の外准宣伝使、人類愛善会及昭和青年会の各堺竜神支部次長、昭和神聖会堺竜神支部主任等に就任し、右結社の拡大強化を図る目的を以て、堺市に於て機関紙人類愛善新聞の販売を為し、或は昭和神聖会の会員及賛同者の獲得を為す等大本の主義、主張の宣伝、信者の獲得並に其の意識の昂揚に努め、
以て右結社に加入して其の目的遂行の為にする行為を為し、
第四十四 被告人隆次は昭和七年一月頃大本に入信し其の後皇道大本佐賀聯合会所属飯盛支部長、宣伝使試補、昭和神聖会員等として、専ら大本教義の研究と其の活動に従事中、昭和九年十二月大本は窮極するところ前記教義に基き、王仁三郎が日本の統治者と為るべきものなりとの理由の下に、我国体の変革を目的とする結社なることを諒知するに至りたるに拘らず、該結社の目的達成に協力せんことを決意し依然右飯盛支部長等としての活動を継続し以て其の頃右結社に加入し、爾来昭和十年十二月上旬に至る迄の間前記役職の外宣伝使試補十五級及昭和青年会遊説部員等に就任したる上右結社の拡大強化を図る目的を以て、
㈠ 佐賀市及佐賀県杵島郡武雄町等に於て昭和神聖会の主義、綱領等を配布して其の宣伝を為し右両所に於ける同会会員五名賛同者約二十名を獲得して、右両所に於ける同会支部を設置し、
㈡ 佐賀、長崎、熊本、鹿児島、宮崎及福岡の各県下に於ける佐世保市外約四十箇所に於て、皇道展覧会を開催し、其の説明係として大本の主義、主張等を宣伝して信者の獲得に努め、
以て右結社に加入して其の目的遂行の為にする行為を為し、
第四十五 被告人由太郎は昭和七年三月頃大本に入信し其の後人類愛善会、昭和青年会、更始会等の会員、大日本武道宣揚会中泉支部長、宣伝使試補等として人類愛善会の機関紙人類愛善新聞の街頭販売等の大本活動に従事中、昭和九年四月頃大本は窮極するところ前記教義に基き王仁三郎が日本の統治者と為るべきものなりとの理由の下に、我国体の変革を目的とせる結社なることを諒知したるに拘らず、右結社の目的達成に協力せんことを決意し、同年六月頃浜松市井口太郎吉方に於て、被告人与之助外十数名と共に右根本目的達成の為献身的活動を為すべき決意を表明する目的を以て忠孝と表示せる連署の名簿を作成し、其の頃之を当時横浜市関東別院に滞在中の王仁三郎に提出、右の決意を示して、同人の承諾を得以て其の頃右結社に加入し、爾来昭和十年十二月上旬に至る迄の間右結社の拡大強化を図る目的を以て前記人類愛善会、昭和青年会、更始会等の会員及宣伝使試補等として静岡県、愛知県、千葉県、高知県、徳島県下及東京市等に於て前記機関紙人類愛善新聞を販売し、或は皇道大本の主義、主張等に関する講話を為し之が宣伝並信者の獲得に努め、
以て右結社に加入し其の目的遂行の為にする行為を為し、
第四十六 被告人仙蔵は昭和六年十月頃大本に入信し其後浜松市東支部所属信者、大日本武道宣揚会浜松支部長、宣伝使試補等として人類愛善新聞の街頭販売等大本の活動に従事中、昭和八年八月頃大本は窮極するところ前記教義に基き、王仁三郎が日本の統治者となるべきものなりとの理由の下に、我国体の変革を目的とせる結社なることを諒知するに至りたるに拘らず、右結社の目的達成に協力せんことを決意し、昭和九年六月頃浜松市井口太郎吉方に於て被告人与之助外十数名と共に右根本目的達成の為献身的活動を為すべき決意を表明する目的を以て忠孝と表示せる連署の名簿を作成し、其の頃之を当時横浜市関東別院に滞在中の王仁三郎に提出、右決意を示して同人の承認を得以て其の頃右結社に加入し、爾来昭和十年十二月上旬に至る迄の間右結社の拡大強化を図る目的を以て宣伝使試補及人類愛善会、昭和青年会、昭和神聖会等の会員として静岡県下に於て前記人類愛善新聞の販売並配布を為し、或は昭和神聖会員及其の賛同者の獲得に努め、
以て右結社に加入して其の目的遂行の為にする行為を為し、
第四十七 被告人弘は昭和五年七月頃大本に入信し其の後静岡県袋井支部所属信者宣伝使試補人類愛善会員等として右人類愛善会の機関紙人類愛善新聞の販売等の大本活動に従事中、昭和八年六月頃大本は窮極するところ前記教義に基き王仁三郎が日本の統治者と為るべきものなりとの理由の下に我国体の変革を目的とせる結社なることを諒知するに至りたるに拘らず其の結社の目的達成に協力せんことを決意し昭和九年六月頃浜松市井口太郎吉方に於て被告人与之助外十数名と共に右根本目的達成の為献身的活動を為すべき決意を表明する目的を以て忠孝と表示せる連署の名簿を作成し、其の頃之を当時横浜市関東別院に滞在中の王仁三郎に提出、右決意を示して同人の承認を得以て其の頃右結社に加入し爾来昭和十年十二月上旬に至る迄の間右結社の拡大強化を図る目的を以て宣伝使試補、人類愛善会員、昭和青年会袋井支部長、昭和神聖会員等として静岡、愛知、茨城、福島、宮城、岩手等の各県下に於て大本の主義、主張等の講話を為し或は前記機関紙人類愛善新聞の販売を為し、又は昭和神聖会の会員及賛同者の獲得に努むる等大本の主義、主張の宣伝、信者の獲得並其の意識の昂揚に努め、
以て右結社に加入して其の目的遂行の為にする行為を為し、
第四十八 被告人徳太郎は昭和八年二月頃大本に入信し其の後豊橋支部所属信者、大日本武道宣揚会助手、人類愛善会員、昭和青年会員等として、右人類愛善会の機関紙人類愛善新聞の販売等大本の活動に従事中、昭和九年六月頃大本は窮極するところ前記教義に基き、王仁三郎が日本の統治者と為るべきものなりとの理由の下に我国体の変革を目的とせる結社なることを諒知するに至りたるに拘らず、右結社の目的達成に協力せんことを決意し其の頃浜松市井口太郎吉方に於て、被告人与之助外十数名と共に、右根本目的達成の為献身的活動を為すべき決意を表明する目的を以て忠孝と表示せる連署の名簿を作成し、其の頃之を当時横浜市関東別院に滞在中の王仁三郎に提出右決意を示して同人の承認を得以て其の頃右結社に加入し、爾来昭和十年十二月上旬に至る迄の間右結社の拡大強化を図る目的を以て皇道大本豊橋東光支部長、人類愛善会員、昭和青年会員、昭和神聖会員等として愛知、石川、新潟及山形等の各県下に於て皇道大本の講話を為し、或は前記人類愛善新聞の販売、昭和神聖会の会員並賛同者の獲得に努むる等大本の主義、主張の宣伝、信者の獲得並其の意識の昂揚に努め、
以て右結社に加入して其の目的遂行の為にする行為を為し、
第四十九 被告人喜八郎は昭和七年五月頃大本に入信し其の後埼玉県本庄分所々属信者として大本神諭、霊界物語等の大本刊行物を繙読研究したる結果、大本の根本教義に疑惑を懐くに至り遂に昭和八年八月頃大本は窮極するところ前記教義に基き、王仁三郎が日本の統治者と為るべきものなりとの理由の下に我国体の変革を目的とせる結社なることを諒知したるに拘らず、依然大本に留り、前記本庄分所々属信者として同年十月頃同県下に於て大本の主義、主張等に関する講話を為し、以て其の頃右結社に加入し、爾来同十年十二月上旬に至る迄の間、右結社の拡大強化を図る目的を以て右本庄分所々属信者及昭和青年会員等として埼玉県下に於て大本の主義、主張に関する講話を為し、或は前記人類愛善新聞の配布並販売を為す等大本の主義、主張の宣伝、信者の獲得及其の意識の昂揚に努め、
以て右結社に加入して其の目的遂行の為にする行為を為し、
たるものなりと謂ふに在り。
案ずるに本件治安維持法違反事件は多数信徒を擁する宗団の首長が畏れ多くも天位を窮窬し其目的達成の為宗団幹部と共に結社を組織したりと云ふ稀有の重大案件なり、苟も斯る事実の存するあらば天人共に許さざる大罪として之を処罰するに寸毫の仮借する処あるべからず、然れども、若し其事なきを誤断することあらんか、天皇の赤子をして末代払拭し得ざる逆徒の汚名を被らしむるものなり、裁断するに当りては冷徹克く片鱗に拠りて全貌を看破するの用意あると共に虚心以て末梢の辞句に泥みて全局を誤ることなきを期せざるべからざるなり、惟ふに治安維持法第一条の国体を変革することを目的として結社を組織するの罪は特定の多数人が国体変革なる共同目的遂行の為継続的集合体を組織するに依りて成立するものにして、本件被告人中王仁三郎、スミ、伊佐男、留五郎、吉三郎、斎治郎、同吉及昂三、原審公判停止中の出口元男、死亡したる高木鉄男、岩田久太郎、御田村竜吉、湯川貫一、四方平蔵、出口慶太郎及栗原七蔵並不起訴と為れる出口遙、中野岩太及梅田常治郎と共に、昭和三年三月三日王仁三郎を首班として万世一系の天皇を奉戴する大日本帝国の君主制を廃止して、王仁三郎を独裁君主とする、至仁至愛の国家建設を目的として、大本と称する結社を組織したりと云ふに在るを以て先づ、