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文献名1神霊界
文献名2大正7年2月1日号(第56号)よみ(新仮名遣い)
文献名3言霊の大要よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考「言霊の大要」は『神霊界』大正7年(1918年)2月1日号、3月1日号、4月15日号、5月15日号、6月15日号の5回に分けて掲載された。
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掲載号 ページ13 目次メモ
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本文

 皇国は太古より言霊の天照国と謂ひ、又言霊の幸ふ国、言霊の助くる国と称し、皇国に生れ出た人々は何れも七十五声の正音のみを自由自在に応用し、且つ全く円明清朗にして、外国人の声音の如く其数少なく且つ濁、半濁、拗、促、鼻音等甚だ多く、不正不規律なるに比して天壌の差あるなり。
 総て宇宙にはアイウエオの大母音ありて間断なく鳴り鳴りて鳴り止まず、天地の造化に任じつつあり。然れど大声俚耳に入らず、万民之を聞知し得ざるのみ。若し神霊学を極め、鎮魂と帰神の神術に通じ、言霊の妙用を知る時は、宇宙の五大母音は明瞭に聞く事を得るなりき。
 神は万物の霊にして言霊なり、道なり、宇宙に充ち満つるを以てミチ(道)とも謂ふ。人は天地経綸の司宰者として生を享けたるものなり。故に言霊の妙用を解して之を実地に応用する時は、天地万物を自在に動かす事を得可く、地震、風雨、電雷を駆使する如きは実に易々たる業なり。
 アア然れど言霊の助け幸ひ天照る皇国に生れて、天下修斎の天職ある我国民一人として之を解せず、実に暗黒の世と謂ふ可し。新約全書約翰伝首章は皇国言霊の消息を漏したり。曰く『太初に道あり道は神と偕にあり道は即ち神なり、この道は太初に神と偕に在き、万の物これに由て造らる、造られたる者に一として之に由らで造られしは無し、之に生あり此生は人の光なり、光は暗に照り暗は之を暁らざりき』云々。右の一章を見ても如何に言霊学の至貴至重にして、万有の根本たる事を窺知せらる可し。
 吾人は茲に言霊学によりて、皇道大本の発源地たる丹波国の国魂の活用を略述せむ。

○丹波国、上古は田庭国と書す。田庭の言霊は実に円明清朗なりしが、中世丹波と改め又た旦波と書すに至れり。斯く円明清朗なりし国名も丹波、丹後、但馬に分たれ、丹波はタンバと跳ね濁り、丹後はタンゴと跳ね濁り、但馬はタジマと濁りしより、国魂の活用も従つて濁り乱れ、人心又た之に準じ、山野草木に至るまで皇祖御遺訓の国霊を乱すに至りしは実に遺憾の至りなり。去れど吾人は茲に皇祖御命名の国霊に従ひて、田庭国の国霊の活用を述べむとす。

○たにはの言霊
⦅タ⦆は水中の火の霊にして対照力なり。霊也、種也、連也、多也、胎也、縦也、正也、溜水也。
⦅ニ⦆は火水の霊にして、天地也、日月也、水火の凝也、丹也、非也、従也。
⦅ハ⦆は正火の霊にして、地の方を宰也、端也、角也、実也、初也、発也、出入息の両を宰也、土也、髪也、広也。亦たハをワに唱ふる時は○の心を為す也。
 以上の言霊を案ずる時は、実に田庭国には一種特別の神縁ある事を窺知するに難からざるなり。
 ⦅タ⦆水中の火の霊とは、水は元来火の力に由て活動するものにして、火とは天系也、霊系也、幽系也、父系也。
 崇神天皇⦅霊系、火系⦆の神勅を奉じて丹波に入れる丹波道主命は⦅体系、水系⦆教化の将軍として威望四隣を圧し、能く君命に報答し奉るを得たるも、⦅タ⦆水中の火霊、即ち火の水の体中に入賜ひて活動し給ひたるが故なり。
 ⦅霊系⦆天照大神の現はれ給ひて、穀麻の種を四方に多く植え生うし、大に業を拓き給ひしも、霊也、種也、多也、大也の言霊の活用在が故なり。皇統連綿、天壌無窮の皇基を樹て、民を養ひ、正道を教え給ひしも、連也、胎也、正也の言霊、天賦の活用あるが故なり。元明天皇の御宇丹波桑田郡稗田村佐伯より稗田の阿礼が現はれて、邦家之経緯、王化之鴻基たる古事記編纂の大事業に奉仕したるも、正也、胎也、縦也の言霊、天賦の活用あるが故なり。
 亦た世の晦冥に際して大江山に鬼賊酒呑童子現はれ、斑鳩郡七百石に足利尊氏の出生したるも、溜水の言霊天賦の活用有るが故なり。
 ⦅ニ⦆火水の霊也とは神の霊也の意義なり。天の中心、地の中心に天地初発の火水の大本源を解き諭す皇道大本ありて、日神、月神の垂教を宣伝し、非を排し正を求め、水火沫の凝りて成れるてふ外国までも赤心を凝して教え導き、四方の曲津神を言向平和て正道に進め、各自天賦の使命を活用せしめ給ふ、出口開祖の出現せられたるも、⦅ニ⦆の言霊の活用、天の時を得て発動せしものなり。
 心学道話の祖として世道人心を教導したる石田梅岩は、丹波国南桑田郡東掛村の産也。画界に雷名を轟かしたる円山応挙(本名上田主水)は仝国仝郡穴太村の産也。言霊学を初めて再興したる中村孝道は仝国船井郡八木町の産也。皇道大本の主旨を唱導したる出口直子は仝国天田郡福知山町の産なり。時代に応じ東西相対照して経緯の真教を天下に宣伝する人物の現出するも、⦅ニ⦆の言霊の活用に基くが故なり。
 ⦅ハ⦆は正火の霊にして地の方を宰り、至大凞々乎として神徳を天下に拡充し、祭政一致の実を示し、宇宙初発の本源を明にし、地球上の在とあらゆる国土を平安に、至幸に導き給ふ大神の顕現せられたるも⦅ハ⦆の言霊の活用、天の時を得て発動せしものと謂ふべし。
     ○
 皇道大本の教は万物一に止まる事を本とす。故に天地初発之時に一の凝を為し、其凝りより火水の二つに別れて、火を父と云ひ水を母と云ふ。其父の火霊と母の水霊と相与て亦一つの凝を為す。其凝の重く濁りたるは形体と成り、軽く澄たるは息と成り、其息母体を出て高く現はれたるを声と云ふ。其声の七十五連なるを言霊と云ふ。
 其言には幸有り、助け有り、火水あり、是を与て詞を為す。然れども詞は声のみ有て形象無ければ眼に見る事難し。其声を眼に見するものは片仮名なり。其片仮名を以て五十連の十行と、濁、半濁二十五連の五行との七十五連十五行を記し、火水の言々を与開き、体用、軽重、清濁等の法則を以て詞の本を明にし、天地の水火と人間の水火と同一なる事を知りて、国家を治むる大本は己が呼吸の息に在ることを知るなり。
 博く天地の真理を知り、神の御経綸を究めむと欲せば、近くは己が水火を知るに在り。是ぞ神国大本の教にして、既に古事記の神代の巻と唱ふるも、火水与の巻と云ふ義なり。天地の水火を与て万物を生じ、人間の水火を与て言ことを知る可し。
 天地の間に肉眼を以て見る事能はざる火水あり、是を火水と云ふ。神と唱ふるは体にして、水火と唱ふるは用なり。故に陰陽と陰陽とを与て万物を産なり。
 人の胎内に火水あり、是を霊水火と云ひ、亦気とも云ふ。霊水火と唱ふるは体にして、息と唱ふるは用なり。故に息と息と与て物言ひ、気と気と与て人を産なり。
 天地は水火の凝なり。故に人の呼吸は波浪の列るに同じ。波浪も打寄する時は音有り引く時には音無し。人も出る息は音を為すと雖も引く息には音なし。故に人は一箇の小天地なり。
 実際の火は形象無し、是を火の体と云ふ。形象を現はす時は其火の中に水有り、故に能く燃ゆ、是を火の活用と云ふ。実際の水は形象無し、是を水の体と云ふ。形象を現はす時は其水の中に火有り、故に能く流れ、且つ動く、是を水の活用と云ふなり。
 火は体にして水を動かし、水は用にして火に動かさる。火は動かずして音無く、水は動て音を為す。総て動かざるものは火にして厳の御魂なり。動くものは水にして瑞の御魂なり。故に水の名を為すと雖も動かざる時は火なり。水の凍りて氷と為りしを氷と唱ふるも此理なり。
 火に名を為すと雖も動く時は水なり。例えば水気は水の名なり。火垂は火の名なり。然りと雖も右(水気)の手を以て左(火垂)の手を打つ時は、右の水は火と成り、左の火は水となりて音を為すなり。亦曰ふ木は水なり鐘は火なり。木を持て鐘を打つ時は鐘は水と成りて音を成し、鐘を以て木を打つ時は木は本の水と成りて音をなす。火水体用の活物にして、相対して動き、天地の水火の廻ること斯の如し。
 言霊に幽顕あり。幽とは眼に見えざる火水にして体なり。顕とは眼に見ゆる火水にして用なり。左に七十五声の言霊の体用表を示し其の活用を詳にす。


皇神の御言は美く鳴り渡る時は来にけり鳴り渡る時

此六角切り子の玉は至大天球也、地球也の御樋代也。円満完全なる球に方面を知り易からしむる為に、仮に廉目を立たる者也。故に十干十二支、東西南北等の類は、全球の者と同様に心得べし。


言霊一言之法則

此一言の法則は天地自然の気なり。人間の詞を此一言の霊に反て言の心を知る也。

言霊学

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