文献名1東京朝日新聞
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3昭和11年3月12日 朝刊よみ(新仮名遣い)
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結社禁止と取壊し
愈々あす命令
新法相慎重に出て
大本教起訴けふに持越す
大本教最高首脳部出口王仁三郎(66)以下八名に対する司法処分は既報の如く十一日午前徳永京都地方検事正を交へた大審院検察首脳部会議で起訴と方針一決したので同日午後三時同検事正は更に司法省に岩村刑事局長を訪ひ大竹主任書記官列席の上で最後の報告をなし更に五時から長島次官、岩村局長とともに司法大臣官邸に赴き林法相に対し取調経過並に犯罪内容を逐一説明した、法相は今迄全然この事件に白紙であつた関係もあり又事案の重大性にも鑑みて、証拠に基き親しく犯罪内容を検討した上で十二日午後二時から改めて徳永検事正の説明を求め決裁をするとの慎重な態度をとつたのでこの日は起訴方針はそのままとして命令を発するに至らず午後七時二十分散会した、また不逞不遜の皇道大本並にその傍系団体の行政処分を司法処分と同時に執行する方針を取つてゐた内務省は内相の更迭その他の関係からもし司法処分が先きになつても止むを得ぬとして見てゐたが、しかし何れにしてもかかる不敬団体の処分は可及的に早く決定した方が良いといふので潮内相は就任怱々にもかかはらず十一日午後六時半から内相官邸に唐沢警保局長、相川保安課長、永野事務官を招き大本教検挙から今日まで取調べの経過を聴取した上慎重協議の結果、明十三日の閣議に付議した上、愈即日皇道大本並その傍系団体に対し府県知事を通じて結社禁止並に主要建物の取壊しの命令を発することになつた、しかして治安警察法第八条第二項により解散を命ぜられる団体は左記八団体である
△皇道大本△昭和神聖会△昭和坤生会△昭和青年会△更始会△大日本武道宣揚会△人類愛善会△明光社
又無願社寺禁制取締規則で建物の取壊しを命ぜられるものは綾部、亀岡両本部及び松江市の別院等で一般の分院、事務所等は閉鎖を命じ又神棚等を除去させるわけでもしこの命令に応ぜぬ場合は行政執行法第五条第一項によつて代執行を断行することになる