文献名1その他
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3金銀本位制から天産自給へ還れよみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎か?
概要
備考『人類愛善新聞』昭和8年(1933年)4月3日号p1掲載。題名「金銀本位制から天産自給へ還れ」、副題「人類最高の理想を忘れて自ら招いた経済恐慌」。著者名は不明だが、この論説の上部に出口王仁三郎の論説があるので、この論説もおそらく出口王仁三郎のものだと考えられる。
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データ最終更新日2022-12-16 02:07:41
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本文
金銀本位制から天産自給へ還れ
人類最高の理想を忘れて自ら招いた経済恐慌
現在世界の金保有量は百十二億弗で米国はその三分の一を擁し天下第一の大金持ちであるが、貧乏人同様四苦八苦恐怖不安焦燥に脅え切つてゐることにより、二十世紀の貧乏人は大金持ち大物持ちであると云ふ異観を呈した。
吾人は米国のこの惨状をお気の毒に思ふと同時に、金貨や物品を沢山に蓄蔵するのみが必ずしも人生の慰安快楽でないことを痛切に思はされた。現代人は金儲けの為に生まれて来たかと怪しまれるほど黄金崇拝の使徒となつて、人生には別に大切なる使命があると云ふ事を悟らぬようだ。人はその使命を果たすべく奮闘努力精進し、自ら必要なる程度に交換の媒介物を得ればよいので、使命を果たすが主目的で金を獲る事は副産物である。この観念があれば金の費ひみちも生きて来る。だが単に金儲けのみに汲々たる徒は金の価値をさへ殺す。例へば国家非常時に際し、ともすれば富豪中には金を出し渋り国策の遂行を援助しないが如きそれである。
日本人の使命は云ふまでもなく、畏くも皇祖皇宗の御遺訓の実現である。即ち天津日嗣天皇陛下が世界を安らけく治むべく御統一あそばすための手足となり機関となり、一致して働くのが日本人の使命なのだ。それがためには生命さへ惜しまぬ。いはんや金銭をやである。
「お土は黄金より尊い」と云ふ神諭がある。これを数学的に詳説すれば黄金の一升は数万円に値するが、幾年経つてもその価値は同一である。お土は永遠性を保つ。お土一升による生産物価に永遠を乗じたる累積は数万円の黄金と比較にならぬ大量で黄金価は零に等しい微量なのである。
今や世界人類が神の恩恵たる永遠性を忘れて近欲に呆け、無我夢中で黄金獲得に近眼になつてゐるが、そこに根本の錯誤がある。故に近欲な黄金崇拝より目醒めてお土を尊重し天産自給へ進むべき気運が粛々と促進しつつあることに気づかねばならない。
黄金崇拝の思想を持つ政治家や財産家が、黄金を山と積みさへすれば国家が栄えるような見解の下に政治を施してゐるが、国家繁栄の根本はお土であり資源であり天産自給であるのだ。この事を悟らぬがために世界は大不況のどん底に陥落したのである。
亜米利加が金本位制を抛棄すれば世界の金本位制は崩壊し、ここに金本位無用の世界が出現するが、米国はその真理を解せず金本位を維持せんと力めてゐる。果たして如何なる好結果をもたらすかは大いに疑問である。何故なれば「霊主体従の道は細くて長いが体主霊従の道は楽で広いが行き詰まり」と云ふ意味の神諭があるからだ。即ち金銀本位は悪の制度であるから行き詰まり、天産自給の天則は派手ではないが永遠に栄へると云ふ御示しである。
真に人類最高の理想たる永遠の平和幸福を希求するならば、この際速やかに金銀本位制を弊履の如く棄てて天産自給の天則に遵ふべきことを提唱する。