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文献名1その他
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3武智時三郎『淡路の神秘』(一部分)よみ(新仮名遣い)
著者武智時三郎
概要
備考p8-14のみ。白山義高が書いた「まへがき」の一部。
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-11-02 02:32:34
ページ 目次メモ
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本文

   皇道大本の意義、鳴門の仕組を委嘱される。

其の当時の私には、出口聖師の曰はれた、
お前は一宗一派に囚はれてはならない。それだから大本教には入信しないで、皇道大本の行者になれと
教えられたお言を理解することが出来ませんでしたが、聖師は、当時の情勢の変遷に就て、次の如く語られました。
現代は加速度的に、一途に世界は破局に向つて進んで行く。如何なる理由を持たせるにせよ、戦争は戦争へと、全世界は戦場化して、神定の世の終末の審判が始まる。どうした機会で戦争が収拾されるかは、ユダヤと日本の完全な提携によることは、既定の事実である。
さうしない限り、戦争の原因動機となるユダヤとアラブの宗教戦の収拾はつかない。真の宗教は岩戸隠れであるから、これが世に出ない限り、思想戦も肉弾戦も、世に無くすることは出来ない。
真の宗教を世に出す業は、今の宗教家の手では絶対に出来ない相談である。今日の宗教は、ニセ預言者の迷信教であつて、真の宗教を知る者はない。これからの世界は益々覚有情の人間味を離れた気違ばかりの世界となる。皇道大本は、唯一の救世主(キリスト)を知らせ、宗教の本質(咒)を知らせ、更に直接に、立替立直しの業をする立役者(菩薩)を仕立てるところであるが、方便の上には、立替立直しの雛型を以て教を示すところである。雛型では、出雲系の大本で、ユダヤを世に出し、日本系の皇道でイスラエルを世に出すところで、いまのところ、この筋書を本当に知らせて置く適材が見つからぬ。然しまだ帝国日本が崩壊するには、十年の間があるから、腰を据えて一仕事してみる気は起らないか。
と相談をもちかけられました。私は一議に及ばず従順に「私の出来る事なら」とお引受をいたしました。すると聖師のいはれるには、
皇道大本の究極の宗教原理を示す雛型建設の必要がある。それでは淡路の神代村といふ地に大井戸を掘上げて貰ひ度い。然し実際に、工事に着手するのは、十年先のことであるから、それまでに、淡路島の古文化遺跡の資料調査wして欲しい
と要所要所の差図を受けました。
間もなく第二次大本弾圧があつて、出口聖師は投獄され、同時に皇道大本の宗教的雛型たる神殿は取払はれてしまいました。これも何かの雛型の教の部類に入るのでありませう。
昭和十七年八月、私共の井戸掘の機が熟して、着手の段取になると出口聖師は仮出獄の恩典に浴しました。私は井戸掘着手報告のために、京都府亀岡町に向ひました。当時はまだ面会禁止でありましたが、秘かにお会ひすることが出来ました。同伴者は井上功氏でありました。色々とお話のあつた後、
井戸掘が始まる相で目出度い。これは私の無上の歓喜とするところだ。この井戸は元井戸と命名する。最早元井戸さへ出来れば一安心だ。この意義と目的に就ては、これから月に三四日づつ講義すれば、大体が解るであらう。但し時節到来まで、他言は無用。元井戸が出来たなら、宗教の目標が出来る訳であるから、そのうち、お前にも解るやうになるであらう。解つて貰はねば大事のことをたのむことも出来ぬからな。元井戸が完成する時分には、この戦争も終るであらう。勝つべき戦争がな。忘れんようにせんと負けて勝つ秘法も消えてしまふがな。本当の神業奉仕は、それからだがな。兎に角、元井戸は永久保存の方法をとつて貰ひ度い。ここも世界の聖地になるだらう。一隅にお宮を建てて、祭るよう。御神体は、その時に下げませう。さうしているうちに、時機が到来して、ユダヤ人とのつながりが自然に出来るであらう。そのためにはアメリカユダヤに重点を置いて大に研究するがよい。そのうちに、ユダヤ人もユダヤ国を再建するであらう。これも世界国の雛型だ。
それ以来、私は元井戸の工事を急ぐと共に、毎月のやうに二三日づつ京都府亀岡へ通ひました。終戦近くの十九年十月には、元井戸が完成し、元井戸の敷地内にささやかな神の祠も出来上つたので、聖師に報告すると、聖師は、大本開教当時から保存されてあつた銀紙の短冊に御神号を認められて「これを御神体とせよ」と下されました。その時の聖師のお話は、
この御神体は、やがて近江へ移り、更に北伊勢に移される時が来るが、その都度差図する。この雛型行事の上にも、第一に淡路の神秘が開発されねば、「不二と鳴門の大本の仕組」は完成せぬ。不二と鳴門の仕組に就ては、皆の者が知つたか振をして、種々と取沙汰をするが、この「大地六変に震動す」の世界文化界の大問題は誰にもわかつていない。
と語られました。それから間もなく、終戦となり、聖師から御神体を近江へ移せと指示されたので、滋賀県甲賀郡大原市場へ移し、元井戸は、その儘の姿で保存してゐます。
私は昭和二十二年十二月聖師にお目に掛つたのが最後でありました。その時のお話に
元井戸の御神体を北伊勢に移すことは、皇道大本雛型教の最後の宮殿を建てるのであり、この宮殿を中心として、各宗教が相集り、世界の宗教がこの一堂に会する場面となる。この世界的神劇の筋書を押進めて行けば、必ず玉成する。淡路の霊山諭鶴羽山の山腹にある子宝温泉を開鑿する前に、ユダヤ遺跡を開発することが大切である。その時には遺跡の聖地に旗を建てて、この所在を広く世界に告げ知らす必要がある。
かうなると、日本とイスラエルに、ヱホバの聖地が二つ出来ることから、古代イスラエル文化の宣伝が始る。その頃には、自然に之に当るべき人材が用意されてあるから心配はいらぬ。お前はそれまで筋書通りに勇猛に精進して貰ひ度い。然しわしはモー来月からお前の世話することが出来ない
と申渡されましたが、聖師は翌年一月十九日に昇天されました。
私は不二の仕組も、鳴門の仕組も、何が何やら判らないけれども、只管、忠実に出口聖師の筋書通りに突進して、遂に古茂江小磯の古代イスラエル文化遺跡の聖地に日本の国旗とイスラエルの国旗を交叉して、これを広く全世界に告げ知らすまでの役目は果しました。
これから聖師の示された雛型通に進んで行けば、諭鶴羽の山腹の子宝温泉でも開鑿して、脉々と涌き出る温湯の出口でも発見すれば、其の血(智)湯津石村に走りつきて、成りませる神の名は、石拆神、次に根拆神次に石筒之男神となるのでありませうが、徒に稱名ばかりしていても、何の利益もありさうにもありません。問題は走りつくべき地(智)の在り方であります。さて、これから先はどう行むだらよいでせうか。「その心配には及ばない。神業に当るべき人材は用意してある」と。聖師は、この預言を遺して昇天されたのであります。考へるまでもなく、天のエルサレム(平和神)の、雛型を地上に移す大神業が、一人や二人の少人数で出来るものではない。ヨハネ黙示録を見ても、
視よ羔羊シオンの山に立ちたまふ。十四万四千の人、これと偕に居り、その額には羔羊の名及び羔羊の父の名記しあり
とありますから、そのうちにこれ等因縁の用材が集つて、全世界国家建設といふ大神劇を始め呉てれるであらうと、高を括つて納つていることの出来ないのは、差迫つた今日の問題、発掘した古代イスラエル文化遺跡の歴史科学的の実證であります。この実證的証明によつて、この遺跡の久遠の文化価値を高揚するの挙に出でなければならぬは申すまでもありません。
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