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文献名1三鏡
文献名2水鏡よみ(新仮名遣い)
文献名3玉についてよみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2019-07-04 21:48:26
神の国掲載号1925(大正14)年11月号と1926(大正15)年03月号(八幡版)?1926(大正15)年03月号(愛世版) 八幡書店版201頁 愛善世界社版109頁 著作集 第五版28頁 第三版28頁 全集338頁 初版13頁
OBC kg011
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本文の文字数1711
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本文  如意宝珠と云ふのは、八方転びの玉である。円転滑脱、些かの障碍もなく、自由自在に転ぶ玉である。だから人が来て、それにつき当れば、ころんで他の面を向けるが、どの面を向けても同じ珠である。若し些しでも角があれば前の面と、今度の面とは違つて居ると云ふ事がわかるけれど、八面玲瓏の玉なれば、突当たられて一転びしても、転ばぬ前も同じである。誰が其差異を見出し得るものがあらうか、人の心も同様で、些の角もない迄に磨き上げらるれば、それが如意宝珠と同じ働きを起すのだ。円転滑脱、自由自在、人と衝突して人を傷つけ、我身を傷つけるやうな事は無い、どんな立派な玉でもそれに些しのイビツな所でもあれば、決して如意宝珠では無い、先年大阪辺で如意宝珠だとて大騒ぎをして居た珠があるが、あの珠は鮑の貝に塩の附着して出来たものであるから、楕円形である。本当の如意宝珠ではない、あれは寧ろ邪気の凝固である。あれを見、あれを持つて居ると、禍が身に及ぶから、深く包んで人に見せないやうにせねばならぬ。で私はお宮を作つて祭るやうにと云ふておいたのだ。凡そ形のあまりに珍奇に異様なものは、皆邪なるものである、弄せないやうにせねばならぬ。
□録者は愕然として驚きました。此如意宝珠の珠と云ふのは、一見甚だ立派なものであつて、所有者は印度人が三千年来尋ね尋ねてゐる憧がれの玉であると深く信じて居り、之を日本で盛大に祭れば数十万の印度人が踵を接して日本にお参りに来る、国家の利益此上もない事であるからと云ふて、東奔西走金を集めて大宮殿を建立して祭らうとして居るものであります。唯何の玉であるかが分らぬ為め、日本の帝国大学は勿論の事、米国三界まで持ち出して、鑑定を頼んだものです。此為めに、今迄費した金高は既に数十万円に上つて居る筈で厶います。今も現に大阪の某富豪が、数万円を投じて、祭らうと企てて居ると云ふ話ですから、近い将来に実現するかも知れません。併して不思議にも、此玉の持主は度々変り、そしていつもいつも御覧を願ひ度いと云ふては、聖師様のお手許に参ります。現に半年斗り前にも、貰つて頂き度いと云つて来ましたが、聖師様は
 「私には必要が無い。お宮を建てて祭つておいたらよからう」
と仰有つて断つて居られました。初め此玉の鑑定を頼みに来た時は、聖師様は大正日日新聞社の社長室に居られましたが
 「見ないでも私にはよく分つて居ます。とうから霊眼で見てあります。少し楕円形をした、こんな珠でせう」
と仰有つて、見る事を拒まれました。持参者は驚いて、
 「其通りで御座います。大学あたりでも分らず、米国の大学迄持ち廻つても本質が分らず、試験の為め、此通り削つて分析し、些し傷がついて居ますが、不思議にもだんだん傷が癒えて参ります。重量も増えたり、減つたり致します」
と云ひ乍ら、包みを解いて師の目の前に差し出したものです。聖師様は
 「如意宝珠?、さうでせう、中々立派な玉です」
と仰有つたと聞いて居ります。……さうでせう……と仰有つた言向け和せを知らぬ私は、大層珍らしがり、態々見に行きまして、大正日日紙上で提灯持ち迄致しました。私許りでなく吉野花明氏なども、大分この玉についての記事を書かれたやうに記憶して居ります。日本一と人々から尊敬せられつつある某名僧は、深く如意宝珠だと信じて、玉を世に出す運動に参加して居られますが、五年の後の今日、初めて真相を示されて悟らして頂きました。みないでもよい……と仰有つた師の其お言葉が、如何に深重な意味を含んで居たかといふ事に今気がついて
 「聖師様も、其玉を御覧になつたので御座いますね。私も見ました。手に迄取つて撫で廻したので御座います。玉の霊徳を受けたいと存じまして……で御座いますが、それから受けた禍と申しますと、何で御座いませう」とお伺ひ申上ますと
 「大正十年二月起つた、大本事件がそれである、私は其為めに今迄悩まされて居る。お前も悩まされて居るでは無いか。事件はあの珠を見てから、十数日の後に起つたのである」
録者は、冷水を頭上から浴びせられたやうな感じが致しまして、今後決して珍奇なものに心を動かすまいと考へました。(大正十五、二、九)
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