文献名1三鏡
文献名2月鏡よみ(新仮名遣い)
文献名3碁盤を買うたよみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ
データ凡例
データ最終更新日----
神の国掲載号1930(昭和5)年06月号
八幡書店版325頁
愛善世界社版
著作集
第五版143頁
第三版143頁
全集545頁
初版118頁
OBC kg350
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本文の文字数658
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本文
宗教博覧会の売店に碁盤が出て居たので買うて持つて来た。私が碁盤を買うたといふ事は、碁客に取つては大なる福音で、天下晴れて碁がうてるといふ気分を喚起することになるかも知れないが、私は依然として碁は嫌ひである。決して打つ為めでは無い、一つはお客様へのお愛想、又一つには時間浪費の好きな人によつて、私の貴い時間の浪費させらるるのを防ぐための一つの防禦砲台にする為である。
私には時間が大切である、碁を打つて楽しむ様な時は些しも無い、時に他の人の二三時間が私にとつては二三年に相当することがある。私には神様から仰せつかつて居る経綸といふものがあるので、ほんの二三時間ですからと他の人は云ふが、その二三時間の間に流星光底長蛇を逸すの悔いを招いて神様に申訳の無い事が出来ると、私はほんとうに苦しい。そりや比較的ゆつくりした時間を偶に持つ時もあるけれど……だから私はいつも思ふ、私の行動だけは、私の自由意志に任して欲しいと。皆さん方が好意をもつて方々へ案内して下さる其誠心は全く嬉しいけれど、実の事を云へば、吉野の桜も、耶馬渓の勝も私は居ながらにして、霊眼で見て居る方が楽なのである。それでもみんなは見度からうと思つて……。碁も其通り好きな人に取つては矢張り天国気分であらうから偶にはそれもよからう。小さな小供は一生懸命大人の真似をして布団を巻いて負んぶしては母親をまねたり、犬に乗りブリキのサーベルをさげて大将軍を気取つて見たりするが、逆さまに大人は小供の真似をして石を積んだり、こはしたりしてよろこんで居る。面白いなあ──。