一歩一歩かろうじて前進すると、広大な池があった。池の中には虫がたくさんおり、蛇体の怪物がいた。後ろからは鬼が槍で突きに来る。
進退窮まっていると、頭上から女神の声がして、一本の大幣が下ってきた。大幣を手にとって思わず、「祓戸大神祓いたまへ清めたまへ」と唱えると、池はたちまち平原になり、鬼も怪物も姿を消してしまった。
数万の老若男女の幽体はたちまち蘇生し、「三ツ葉様」と叫んだ。各人の産土の神が現れて、氏子を引き連れて喜び帰って行った。
さらに平原を一人行くと、巨大な洋館が聳え立っていた。中に入ると、獄卒が亡者をひどく責め立てていた。中にたくさんの婦女子が槍で刺されたり、赤子の群れに血を吸われたり、毒蛇に巻かれて苦しんでいる光景があった。
またもや大幣を左右左に振ると、苦しんでいた大勢の婦女子は助けられて、うれし泣きに泣いている。また各人の産土の神が現れて、氏子を伴い、合掌しながら帰って行った。天の一方には歓喜に満ちた声が聞こえる。