竹熊、武熊別は黄金水の玉を十個まで手に入れたことで、残る二個はたやすいと祝宴を張っていた。
そこへ部下の鬼彦がやってきて、竜宮城の高杉別、森鷹彦が、残る二個の玉を献上に来た、と注進した。
竹熊は高杉別、森鷹彦を引見し、自分に神宝を献上に上がった理由を尋ねた。二神は、すでに十個の玉を奪った竹熊の神算に恐れをなして、降参に来たと理由を語った。
そして実際に二個の神宝を竹熊に献上すると、その光沢は本物のように見えたので、竹熊は歓喜した。高杉別、森鷹彦は、自分たちが献上する二個の玉はとりわけ穢れを嫌うので、厳重に箱に封印して奥殿に奉安し、いざというときのみ、取り出して使うように、と述べた。
これより高杉別、森鷹彦は竹熊の信任を得て、重く用いられるようになり、邪神軍の中で武熊別と並ぶほどの地位を得た。
しかし、二神が竹熊に献上した玉は偽者であって、森鷹彦の玉はすでに大八洲彦命に献上されており、高杉彦の玉は、部下の杉高に呑み込ませて、地中海の列島の島に守護神として封印していた。
杉高は島に岩窟を深く掘って玉を納め、その上にしるしの松を植えておいた。これが一つ島の一つ松と言われている。