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文献名1霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
文献名2第5篇 御玉の争奪よみ(新仮名遣い)みたまのそうだつ
文献名3第46章 一島の一松〔46〕よみ(新仮名遣い)ひとつじまのひとつまつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
竹熊、武熊別は黄金水の玉を十個まで手に入れたことで、残る二個はたやすいと祝宴を張っていた。

そこへ部下の鬼彦がやってきて、竜宮城の高杉別、森鷹彦が、残る二個の玉を献上に来た、と注進した。

竹熊は高杉別、森鷹彦を引見し、自分に神宝を献上に上がった理由を尋ねた。二神は、すでに十個の玉を奪った竹熊の神算に恐れをなして、降参に来たと理由を語った。

そして実際に二個の神宝を竹熊に献上すると、その光沢は本物のように見えたので、竹熊は歓喜した。高杉別、森鷹彦は、自分たちが献上する二個の玉はとりわけ穢れを嫌うので、厳重に箱に封印して奥殿に奉安し、いざというときのみ、取り出して使うように、と述べた。

これより高杉別、森鷹彦は竹熊の信任を得て、重く用いられるようになり、邪神軍の中で武熊別と並ぶほどの地位を得た。

しかし、二神が竹熊に献上した玉は偽者であって、森鷹彦の玉はすでに大八洲彦命に献上されており、高杉彦の玉は、部下の杉高に呑み込ませて、地中海の列島の島に守護神として封印していた。

杉高は島に岩窟を深く掘って玉を納め、その上にしるしの松を植えておいた。これが一つ島の一つ松と言われている。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年10月25日(旧09月25日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1921(大正10)年12月30日 愛善世界社版248頁 八幡書店版第1輯 134頁 修補版 校定版247頁 普及版128頁 初版 ページ備考
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本文  ここに竹熊は武熊別と共に、あまたの者を集め、大祝宴を張つた。その理由は、十二個の宝玉はわが神智神策をもつて十個まで手に入れたり、余すところただ二個のみ。いかなる神力の強き神人なりとて、これを奪取するに何の苦心かあらむと、おのが智略に誇り、ここに一同を集め祝宴を張つてゐた。
 時しも末席より鬼彦肩を揺りながら立ち現はれ、竹熊、武熊別の前に出で、
『今日は実に大慶至極の日なり。しかるによき事の続けばつづくものかな。ただ今竜宮城より高杉別、森鷹彦の二神司、二個の玉を持ち献上せむことを申込みたり。いかが取計らつてよかるべきや』
と述べた。酒宴の酒に酔ひて酔眼朦朧たる竹熊らは、願望成就の時節到来と欣喜雀躍し、ともかく二神司を引見せむことを承諾した。ややありて高杉別、森鷹彦は侍者の案内に伴れて、殿中深く竹熊の前に現はれ一礼をなし、且つおのおの玉を献上せむことを申込んだ。
 竹熊は胸を躍らせた。注意深き武熊別は二神司にむかひ、
『この貴重なる竜宮城の神宝を何ゆゑ吾らに譲与せらるるや。その理由を聞かまほし』
と詰つた。二神司は喜色満面を粧ひながら、おもむろに答ふるやう、
『貴下等の神算鬼謀は吾らをして舌を巻かしむるに足る。既に十個の玉は貴下の手に入れり。われ二個の玉を以て貴下と争ふといへども、十対二の比例をもつて、何ぞよく貴下の軍に勝たむや。それよりも潔く吾らは此の玉を貴下に献じ、たがひに和親を結び、もつて天下泰平を祈らむのみ』
と、言葉涼しく答ふるのであつた。
 竹熊は二個の玉を熟視して大いに驚き、その光沢に感激止まなかつた。このとき高杉別、森鷹彦は言葉を設けて曰く、
『この玉は十二個のうち特殊の神力あり、故に悪臭に触れ、悪風にあたらば霊力迸出して何の効用も為さじ。いづれの者にも拝観を許さず、ただちに函を作り十重二十重に之をつつみて奥殿深く奉安し、危機一髪の場合にこれを使用したまへ』
と述べた。竹熊も武熊別も二神の誠意を疑はず、ただちに言のごとく之を幾重にも函に包み、固く封じて奥殿深く蔵めたのである。
 しかるにこの玉は真赤な偽玉であつた。注意深き二神司は竹熊の機先を制し、もつて真玉の奪取を免れたのである。その後高杉別、森鷹彦は竹熊の気にいりとなり、重く用ゐられた。しかして真正の玉は、森鷹彦は大八洲彦命に献り、高杉別は従臣の杉高に命じ、口に呑ましめて地中海に羅列せる嶋嶼に之を永遠に秘蔵し、杉高をこの島の守護神に任命した。一つ島に堅き岩窟を掘り、玉を深く蔵め、その上に標の松を植ゑておいた。これを一つ島の一つ松といふ。
 これより二神司は竹熊の信任をえ、武熊別と列んで三羽烏と称せられ、帷幕に参ずるにいたつた。アゝ今後の高杉別、森鷹彦は如何なる行動に出づるであらうか。
(大正一〇・一〇・二五 旧九・二五 外山豊二録)
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