邪神が美山彦、国照姫の名を騙って活動を始めたため、稚桜姫命の命により、美山彦命は以降、言霊別命と改名し、国照姫も言霊姫と改名した。
さて、長白山の山腹に古くから鎮まる智勇を兼ね備えた神将に、神国別命、佐倉姫の二神人があった。彼らは国治立命のご系統で、木星の精が降ってここに顕れた神人であった。両神は力を蓄えつつ、天使の来迎を待ちわびていた
言霊別命は神国別命一派を地の高天原に招致しようと自ら赴いた。神国別命は承諾し、部下に長白山を守らせて、自ら地の高天原の部将となることを承諾した。
ここに美山彦命は神国別命の動静を察知し、長白山に言霊別命も滞在しているときを狙って多数の邪鬼・悪竜・毒蛇を派遣して急襲を仕掛けた。また、邪神軍は死海の黒玉を爆発させて、山の周囲に邪気を発生させた。この邪気は無数の病魔神となって襲い掛かり、神国別命の神軍には死者が続出した。
佐倉姫は天の木星に向かって救援を請い、神言を奏上した。すると木星から一枝の榊が降ってきた。佐倉姫はこの榊に神霊を取り掛けて左右左に打ち振ると、長白山の邪気は東風に散逸した。
ここに神軍は蘇生した。神国別命は神恩に感謝し、神授の榊葉を部下の豊春彦に授け、長白山を守らせた。そして神国別命、佐倉姫は地の高天原に参向することになった。