言霊別命は疑惑が晴れて蜂の室屋から出た後も、稚桜姫命の疑念は晴れなかった。小島別・田依彦の一派は、言霊別命に対して心中穏やかならず、ついに神国別命をも仲間に引き入れて、命を排斥するに至った。
言霊別命は、大八洲彦命・真澄姫とはかって、天道別命、天真道知彦命を連れて一時竜宮城を退去し、ローマの都の花園彦の館で時が至るのを待つことになった。
ところが、ローマの都で宣伝活動を始めると声望は天下に振るい、勢力は拡大して多いに名をとどろかすことに成った。
竜宮城は言霊別命がローマに一派を開いて勢い盛んなことに驚き、小島別、田依彦、安川彦を急使に立てて、竜宮城に帰還するようにと責め立てた。
言霊別命は、三神が刀に手をかけて様子ただならないのを見て、稚桜姫命に詫び状を書いたので、自分は後から引き揚げるから、先に詫び状を持って竜宮城に戻っていてくれ、とその場を納めた。
三神は意気揚々と竜宮城に戻り、稚桜姫命の前で言霊別命の「詫び状」を開いてみると、そこには、常世姫一派を処罰して悔い改めなければ徹底抗戦も辞さない、という通告が書かれていた。
稚桜姫命はこれを見て多いに怒り、小島別、田依彦、安川彦は面目を失った。ここに稚桜姫命は小島別、田依彦、安川彦に神軍を引率させ、ローマを攻撃させることになった。