言霊別命は万寿山に落ち延びた。言霊別命の声望を慕って神将たちが集まり、万寿山の神軍は次第に集まってきた。
一方竜宮城は常世姫のために落城し、稚桜姫命は神国別命らとともに、万寿山に落ち延びてきた。言霊別命は稚桜姫命を礼を尽くしてお迎えした。稚桜姫命は、言霊別命の潔白をようやく認められた。
万寿山には、常世姫の暴虐に義憤を発した紅葉別という勇将が馳せつけ、言霊別命はこれを万寿山の主将とした。
竜宮城をはじめ地の高天原、橄欖山も一時魔軍の手に落ちた。シオン山の大八洲彦命は、大足彦の国の真澄の鏡で敵軍を射照らさせ、壊走させた。また竜宮城の魔軍に対しても、真澄の鏡を射照らすと、常世姫の身体から異様な光が現れて金毛九尾の悪狐と化した。そして、常世城めがけて遁走してしまった。
ここに稚桜姫命は言霊別命らを率いて竜宮城に帰還した。
一方、天稚彦は唐子姫と山奥で暮らしていたが、唐子姫は悪狐の姿を現して逃げてしまった。天稚彦は仕方なく諸方を流浪し、艱難をなめつつ竜宮城へ帰ることになった。