天稚彦、稚桜姫命が律法によって罰せられ、幽界に落とされてから、竜宮城と地の高天原では律法はよく守られていた。
言霊別命は、独り者となっていた花森彦に妻を選定しようと提案したが、諸神は、天稚彦と稚桜姫命の堕落のもとを作ったのは花森彦であるとして、賛同しなかった。
肉体上の罪はおろか、霊魂上の罪まで前世にさかのぼって律法で裁かれるべきである、と主張する諸神に対して、言霊別命は、自分は言霊姫を妻とするまでに何度か妻を変えたので、まずは自分が幽界に落ちる、と宣言した。
そして律法違反の罪が一切無い神々がいったい幾柱あるのか、と大声で呼ばわった。神々はただ、うなだれるのみであった。
天上より天津神・国直姫命が下り、国治立命が天上で律法の解釈について天津神と協議した結果、これまでの罪は問わないが、以降は霊魂上までさかのぼって罪が償却されるまで罰せられることとなった、と伝えた。
国直姫命は竜宮城にとどまって、稚桜姫命の職を襲った。また花森彦は国栄姫との婚姻を許された。