常世姫の雄たけびによって世界中が戦乱の巷と化してしまった。これには夫の八王大神もなすすべが無く、困惑してしまった。そのとき、ふと東北の天に平和の女神が幾柱も現れて舞い遊ぶ光景が見えた。そこは地の高天原であった。
八王大神は高尾別と名を偽って地の高天原を訪ね、言霊別命に面会した。命はすぐに、邪神であることを見抜いて審神すると、八王大神であることを白状した。言霊別命は八王大神を許し諭し、八王大神は改悛の情を表した。
神国別命が教導にあたり、八王大神の従者たちも国治立命の神律を奉じることとなった。この旨を国治立命、国直姫命に進言すると、改心すれば元の善神であるから、この神を竜宮城の総轄とし、常世姫を改心させよ、とのことであった。
高尾別(=八王大神)は言霊別命の上位につき、神国別命らを伴って意気揚々と常世城に引き揚げた。常世姫を改心させようというのである。常世の国は常世姫の荒びによって、惨憺たる光景を現していた。
高尾別(=八王大神)はまず、自らが仕える盤古大神の館に赴いて、主君に国治立命の律法のほか、天下を治める神策がないことを奏上した。盤古大神はただただ微笑を浮かべて高尾別の進言を聞くのみであった。
高尾別(=八王大神)は盤古大神の態度を心もとなく思い、この戦乱の世に戴くべき主君は、国治立命であろうと思いをなし、その決心を大自在天の従神らに告げた。しかし大自在天の従神らは高尾別の変心をなじり、国治立命は邪神であろう、と決め付けた。
また常世姫はその場に現れてともに高尾別の不明をともになじった。高尾別は進退窮まり、せっかくの決心を翻してふたたび盤古大神を奉戴し、国治立命に反抗の態度を取るようになった。