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文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第3篇 ロツキー山よみ(新仮名遣い)ろっきーざん
文献名3第8章 従神司の殊勲〔108〕よみ(新仮名遣い)じゅうしんのしゅくん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
言代別はその後は偽国直姫命の信任を得るに至り、牢番から身を起こして、ついには参謀の地位にまで上っていた。

一方言霊別命が帰還した地の高天原では、早速大足彦に軍勢を率いさせて、ロッキー山奪回の戦端を開いた。

偽国直姫命はこの事態に狼狽し、言代別をよばわったが、言代別は少しも姿を現さず、このためにロッキー山側の迎撃準備は大幅に遅れた。

言代別はまた、大足彦に対して、国の真澄の鏡を使うようにと進言した。大足彦が真澄の鏡で城内を射照らせば、大半は悪霊・悪神の正体を現して、逃げていった。また偽国直姫命、偽国治立命も邪鬼・悪狐の正体を現して逃げ去った。

幸いにロッキー山の紺色の国魂は魔神に汚されずに残っていた。言代別は、新たにロッキー山の八王神に任命された。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月14日(旧10月15日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月3日 愛善世界社版50頁 八幡書店版第1輯 277頁 修補版 校定版51頁 普及版21頁 初版 ページ備考
OBC rm0308
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本文  望の夜の月影とともに、言霊別命の姿は牢獄より消え去りにけり。されど言代別の監守する獄舎にあらざれば、言代別には何の咎もなかりき。言代別は漸次重用されて、つひには国直姫命の参謀となりぬ。これよりロツキー山の城内はほとんど言代別の意志のままに一切の事物は処理さるることとなりける。
 話はかはつて、地の高天原においては、大八洲彦命以下の諸神将は、言霊別命の帰還により一切の情勢を知悉し、このままに放任せば国治立命と偽称する常熊彦、および国直姫命と偽称する醜玉姫らの、いかなる奸策をめぐらし、つひには各地の八王八頭神司を籠絡し、地の高天原の神政を転覆せむとするやも計りがたし、躊躇していたづらに時日を移さば、遂に斧鉞を用ふるも及ばざるにいたらむ。よろしく二葉の内に刈りとるに如かずと、ここに天使大足彦をして諸神将卒を引率しロツキー山に向はしめ、東西南北の各門より一挙にこれを攻め落とし、邪神を膺懲し、天地の律法を説き諭し、心底より悔悟せしめむと、衆議一決したりければ、ここに大足彦は諸神将卒を引率し、天磐樟船を連ねて、天空を翔り、ロツキー山にむかひ勇ましく進発したりける。
 大足彦の部将、足世彦は東門より、足永彦は西門より、大照彦は南門より、大嶋別は北門より、一斉に鬨をつくつてロツキー城に攻めよせたる。時しもあれや一天墨を流せしごとく、月の光も星の輝きもなく、咫尺を弁ぜざるにいたりたり。にはかに騒ぐ鶏の羽音に国直姫命は驚き目をさまし、
『言代別は何れにあるや、敵軍にはかに押しよせたり。諸神司はすみやかに各門の守備につけよ』
と大声に呼ばはりけるにぞ、魔軍の諸神将は、国直姫命の声を目あてに、大広前に駈け集まりぬ。城内の参謀兼総指揮官たる言代別は、何故かすこしも姿を現はさざりき。諸神将は統率者を失ひ周章狼狽なすところを知らず。大足彦の率ゐる神将は堀を越え、壁を破り、門戸を破壊し、破竹の勢をもつて本城に進撃せり。
 このとき言代別は血相かへて何処よりともなく走りきたり、
『事態容易ならず、国直姫命は奥殿に入り国治立命の身辺を守護したまへ、我はこれより、寄せくる数万の敵軍にむかひ、六韜三略の兵法をもつて敵軍を千変万化にかけ悩まし、一柱ものこさず濠の藻屑となし、御神慮を慰め奉らむ。諸神将は我にしたがひ防禦に従事せよ』
と言葉おごそかに令を下し、みづから東門に向ひぬ。
 東門には大足彦、足世彦とともに侵入せむとする真最中なりき。言代別は大足彦にむかひ、
『我は言霊別命の従者言代別なり、国の真澄の鏡を出してロツキー城を照させたまへ』
と呼ばはりぬ。このとき城内の諸神将は、言代別の指揮のもとに残らず東門に集まりゐたるが、大足彦は、国の真澄の鏡を取りだし、敵軍に向つて射照したるに、城内の神軍の六分までは、邪鬼、悪狐、悪蛇の正体をあらはし、鏡の威徳に照されて、旭に霜の消ゆるがごとく煙散霧消したり。言代別は大足彦の先頭に立ち、常熊彦、醜玉姫の奥殿に進みいり、戸の外より大音声にて、
『我いま如意宝珠の玉を取りいだし敵軍を照すやいなや、敵は玉の威徳にちぢみあがり、蜘蛛の子を散らすがごとく四方に散乱して、もはや城内には敵の片影をも認めず、かくなる上はいつまでも奥殿に忍ばせたまふに及ばず、この戸を早く開かせたまへ』
と呼ばはりぬ。国治立命、国直姫命の偽神は言代別の言葉を聞きおほいに安堵し、たちまち内より戸を開きたるを、大足彦はただちに奥殿に進入し、国の真澄の鏡を懐中より取りいだし、二人に向つて射照しはじむるや、たちまち六面八臂の邪鬼と変じ、金毛九尾の悪狐と化し、魔神の正体をあらはし、常世城目がけて黒雲に乗じ雲を霞と逃げ去りぬ。幸にロツキー山の紺色の玉は、魔軍に汚されず、厳粛に鎮祭せられありける。
 ここに大足彦は言代別の忠勇義烈を賞し、言代別に命の名を与へて言代別命と称せしめロツキー山の主権者となし、八王神の列に加へられける。つぎに東門の武将足世彦に命の名を与へ足世彦命と称せしめ八頭の列に加へたまひ、つぎに足永彦、大照彦、大嶋別をのこし、ロツキー城の部将として留めおき、みづからは少数の神軍とともに天の磐船に乗り、無事高天原に凱旋せられたりと思ふとたんに、冷たき水の一二滴、襟首に何処からともなく落ちきたり、驚いて正気に復れば、身は高熊の霊窟の入口に両手を組み端坐したまま、鎮魂の姿勢を取りて居たりける。
(大正一〇・一一・一四 旧一〇・一五 加藤明子録)
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