村幸彦は鬼城山周辺で情報収集をしていたが、清熊らに見つかって捕まり、言霊別命の居場所を白状するようにと責められた。
悪神らは氷の張った池に村幸彦を沈めて責め立てたが、村幸彦は天津祝詞を心中に奏上すると、凍え死にするどころか、身体から煙が立ち上って寒気すら覚えなかった。これは村幸彦の信仰の力と、国治立命の神助によるものであった。
悪神らは竹箒で、次に鉄棒で村幸彦を打ち据えたが、村幸彦は痛痒も感じなかった。最後には美山彦は怒って大刀で切りつけたが、逆に剣は曲がって刃こぼれし、槍の穂先も葱のように曲がってしまう有様であった。
この神徳を目の当たりにした美山彦・国照姫はついに感じ入り、改心して鬼城山を明け渡し、地の高天原に参向することになった。ここに真鉄彦、元照彦が鬼城山の八王八頭神として着任することができた。
天地の律法は厳格であるが、根本からまた改心した者は直ちに許される。悪逆無道の限りを尽くした美山彦・国照姫も許されて、地の高天原の神業に参画することになったのは、大神の無限の仁慈の賜物である。