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文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第5篇 万寿山よみ(新仮名遣い)まんじゅざん
文献名3第16章 玉ノ井の宮〔116〕よみ(新仮名遣い)たまのいのみや
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ旗輝彦(旗照彦) データ凡例 データ最終更新日2020-04-28 16:03:43
あらすじ
玉の井の邑は、東方に万寿山、西方に霊鷲山をいただき、玉の井の湖の中央に浮かぶしまの上にある。

国治立命は東方の霊地・玉の井の邑を第二の高天原となしていた。常世姫は竜宮城の占領に失敗したため、今度は第二の高天原・玉の井の邑を占領しようと、大自在天に意を通じて画策していた。

大自在天の部下たちは、それぞれ蟹、牛、蚊となり、また瑪瑙となって山から湖に降り注ぎ、玉の井の邑を占領しようとした。

三ツ葉彦命の祈願によって天上の三ツ星から東雲別命、白雲別命、青雲別命ら三柱の軍神が降り、玉の井の湖水を巻き上げて、敵軍を一掃した。湖水は東西に分かれて、大きな二つの湖を形成した。

東の湖水は牛の湖水といい、今日地理学上の裏海(カスピ海)であり、西の湖水は唐の湖といって、今日の黒海にあたる。東雲別命、白雲別命、青雲別命らは白竜となって玉の井の湖水を守り、三ツ葉彦命とともに、神政成就を待つこととなった。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月17日(旧10月18日) 口述場所 筆録者河津雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月3日 愛善世界社版96頁 八幡書店版第1輯 294頁 修補版 校定版98頁 普及版42頁 初版 ページ備考
OBC rm0316
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本文  玉ノ井の邑は、玉ノ井の湖の中央に浮かべる清き一つ島なり。玉ノ井湖の水は深く清く、常に紺碧の波漂ひ、金銀色の諸善竜神の安住所なりと伝ふ。湖の外は、大小高低、千変万化の霊山をもつて囲らされ、万寿山は東方に位し、霊鷲山は西方に位し、その他の山々には諸々の神鎮まり、春は諸々の花咲きみだれ、山は雲か霞かと疑はるるばかり。夏は新緑諸山に栄え、老松処々に点綴し得もいはれぬ風景なり。秋は諸山錦の衣を織り、冬は満山銀色に変じ、霊鳥は四季ともに悠々として舞ひ遊び、山々の谷を流るる大河小川の水清く、玉ノ井の湖水に潺々として注ぎをれり。
 国治立命は世界の中心に地の高天原を建設し、今また東方の霊地を選み、この地点を第二の高天原となし、東西相応じて、陰陽のごとく、日月のごとく、経と緯との神策を定められたるなり。常世姫は地の高天原なる蓮華台および竜宮城を占領せむとして、千変万化の奸策を弄し、苦心焦慮すれども、神威赫々として冒すべからざるに落胆し、第二の経綸なる玉ノ井の湖を占領せむとし、大自在天にその意を通じ、東西呼応して大神の経綸を破壊し、盤古大神の神政に覆へさむと焦心せり。
 万寿山は第二の地の高天原に擬すべき霊地にして、玉ノ井の邑は竜宮城に比すべき大切なる霊地なり。ゆゑに万寿山を占領するに先だち、玉ノ井湖を占領するの必要起りしなり。玉ノ井湖は前述のごとく四方霊山に囲まれ、神司の守護強く容易にこれを突破すること能はざる要害堅固の霊地なり。
 ここに大自在天の部下蟹雲別は、あまたの神卒をことごとく蟹と化せしめ、東南の山々の谷をつたひて玉の井湖に這ひ込みきたり、また牛雲別は、数万の部下を残らず牛に変化せしめ、東北の山々の谷をつたひて湖水に近寄り来たり、また蚊取別は数万の魔を幾百万の蚊軍と化せしめ、西南より山々の谷をつたひて玉ノ井の邑にすすましめ、玉取別は数万の魔を、残らず瑪瑙の玉と化せしめ、西北の山の頂に登り、玉ノ井の邑を目がけて雨のごとく降り下らしめたりける。あまたの蟹はたちまち悪竜と変じ湖水に飛び込みしが、ここに湖水の諸善竜神と悪竜とは、巨浪を起し、飛沫を天に高く飛ばし、死力をつくして争ひ、さしもに清き紺碧の湖水の水もまたたくうちに赤色と変じ、得もいはれぬ血腥き風は四方に吹きまくりける。一方牛雲別の部下は、たちまち水牛と変じ湖水に飛びいり蟹雲別に加勢し、戦闘はますます激烈となり、湖水はすでに敵軍のために、占領されむとしたりけり。
 ここに真道姫は玉ノ井の宮に、敵軍降伏の祈願をこめられしが、三ツ葉彦命は旗輝彦、久方彦を部将とし、湖水の敵軍に向つて天津祝詞を奏し、金色の大幣を打ち振り打ち振りおほいに敵を悩ましゐたる。時しも西北の高山より石玉の雨しきりに降りそそぎ、味方の神軍の頭上を目がけて打ち悩ましたり。西南の敵軍は、億兆無数の巨大なる蚊群となりて、味方の身体に迫り、その声は暴風の荒れ狂ふがごとく、咫尺を弁ぜざるばかり立塞がり、暗黒無明の天地と化しぬ。三ツ葉彦命は天にむかつて救援の神軍を遣はされむことを祈願しけるに、たちまち天上の三ツ星より東雲別命、白雲別命、青雲別命の三柱の軍神、雲に乗りて万寿山に降りきたり、大地を踏みたて、三柱一度に雄健びしたまへば、玉ノ井の湖水の水は一滴も残らず中空に舞ひのぼり、遠く東西に分れて降りきたり、一大湖水を現出したり。このとき石玉も、蚊軍も、共に湖水の水に浚はれて中天に舞ひのぼり、影を潜めけり。
 東に分れし湖水の水は地上に停留してふたたび湖水を形成したり。これを牛の湖水といふ。今日の地理学上の裏海にして、また西に分れ降りて湖水を形成したるを、唐の湖といふ。現今地理学上の黒海なり。ここに東雲別命、青雲別命、白雲別命は、湖水を清め、新しき清泉を湛へられ、永遠に玉ノ井の湖の守護神となり、白竜と変化したまひぬ。かくして三ツ葉彦命とともに神政成就ミロクの世を待たせたまひける。
(大正一〇・一一・一七 旧一〇・一八 河津雄録)
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