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文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第6篇 青雲山よみ(新仮名遣い)せいうんざん
文献名3第21章 狐の尻尾〔121〕よみ(新仮名遣い)きつねのしっぽ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月18日(旧10月19日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月3日 愛善世界社版122頁 八幡書店版第1輯 304頁 修補版 校定版124頁 普及版54頁 初版 ページ備考
OBC rm0321
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本文  ヒマラヤ山には純銀の玉をその国魂とし、白銀の宮に恭しく鎮祭し、高山彦は八王神に任ぜられ、高山姫は妻となりて神業を輔佐し、ヒマラヤ彦は、八頭神となり、ヒマラヤ姫を妻とし、神政を監掌し、一時よく上下ともに治まりける。白銀の宮には玉国別が宮司として恭しく奉仕したり。
 ここに八王大神常世彦は、部下の武寅彦、武寅姫および猛依別に命じ、種々の秘策を授けて、この国玉を奪取せしめむとしゐたりけり。武寅彦は毎日毎夜宮詣でにことよせ、昼夜間断なくつけ狙ひゐたれば、玉国別は武寅彦らの行動を訝かり、ひそかに同形同色の擬玉を造り、これを神殿に鎮祭しおきたり。武寅彦らは玉国別の妻なる国香姫に、種々の手段をもつて近づき、珍らしきものを与へ、巧言令色いたらざるなく、やうやくにして国香姫を薬籠中のものとなしにける。しかして武寅彦は、ある日国香姫にむかひ、
『貴女にして白銀の宮に鎮まれる純銀の国魂を、夫玉国別に奪はしめ、これを常世国の八王大神に献じなば、汝夫婦をヒマラヤ山の八王神に任じたまふべし。他神の幕下にいつまでも、唯々諾々として神妙に仕ふるも、悪きことには非ざれども、かの庭前の小松を見られよ、大木の蔭に立てる小松はいつまでも幹細く葉薄く日蔭の境遇に甘ンじ、幾年を経るも立派に成長する時期なし。しかるに同じ時に植ゑられたる小松も、大木の蔭に隠れざる松は、年とともに成長し、幹強く枝繁り、衝天の勢を有するに非ずや。貴下はかくの如き、不利益なる地位に甘ンずるよりも、人は一代、名は末代といふ諺あり。このさい奮起して純銀の玉を奪ひとり、身の栄達を計られよ』
と口をきはめて巧妙に説得したりければ、国香姫は幾度も頭を縦にふり、肩をゆすり、会心の笑をもらし、武寅彦にむかつて夫の玉国別をしてその目的を達せしむることを予約したりけり。
 ここに国香姫は曲人の甘言に惑はされ、夫玉国別にむかひ種々言葉をつくして、国魂を盗み取らしめむとしたれども、玉国別は天地の律法を厳守せる正義の神司なれば、国香姫の言を聴いておほいに怒り、ただ一言の下に叱責したるが、たちまち「省みよ」といふ律法を思ひ出し、にはかに笑顔をつくりていふ。
『これには深き仔細のあることならむ。吾は最愛なる汝のために玉を盗みだし、夫婦諸共一度に出世をなさむ』
と、わざと嬉しげに答へたり。国香姫は夫の逐一承諾せることを、武寅彦に急ぎ報告したり。ここに武寅彦は願望成就の時こそ来れり、八王大神の賞賜に預からむものと、身も心も飛びたつばかり、勇み進みて夜半、玉国別の館を訪れにける。
 玉国別は喜ンで、これを迎へ、山海の珍味佳肴をもつて饗応し、丑満の頃、武寅彦らをともなひ白銀の宮に詣で、自分は黄金の鍵をもつて社の錠をはづし、扉をひらき大なる麻の袋に擬玉をつつみ持ちだし、ふたたび扉を閉ぢ、武寅彦にむかつていふ。
『首尾よく国魂は手に入れり。一時も早くこの場を立ち去り、玉の湖の畔にいたりてこれを渡すべし。長居は発覚の恐れあり』
とみづから先に立ち、夜陰に紛れて玉の湖の畔に出たりける。
 このとき玉国別は武寅彦外二人にむかひ笑つていふ。
『貴下らは実によく巧妙に化けさせたまへども、如何せむ、背後に白き狐の尻尾の見ゆるは不都合ならずや。吾は実にヒマラヤ山に住む年経たる大狸なれども、貴下らのごとく少しも尾を見せしことなし』
といひつつ武寅彦らの顔を穴のあくほど覗き見るにぞ、三人は、玉国別の言葉に感歎していふ。
『われは貴下の見らるるごとく、常世国の白狐なり。しかるにいま貴下にその正体を看破せられたるは、実に慚愧のいたりなり。貴下は何ゆゑに尻尾の見えざるや』
と訝かり問ふにぞ、玉国別はここぞとばかり肩をゆすり、鼻ぴこつかせ、得意満面の体にて、
『さればとよ。我は純銀の玉を近く守りをれば、その玉の徳によりて天地の間にいかなる貴き神も我が正体を見きはむるものなし。貴下らもこの玉に一度手を触れたまひなば、我らのごとくよく化け果さるべし』
と笑ひつついふ。武寅彦は矢も楯もたまらず、
『われにこの玉を持たせたまはずや』
と羨まし気に顔をのぞき、玉国別の首はいづれにふれるやを凝視しをる。玉国別はたちまち首を左右にふり、
『なかなかもつて滅相千万、この玉は常世国の八王大神に奉るまでは他見は許されぬ』
ときつぱりと刎ねつけたりければ、武寅彦らは両手を合せ、
『常世国まで帰る道はなかなか長し。万一途中にて我が尻尾を他神に発見せられなば身の一大事なり。お慈悲にただ一度わが手に触れさせたまへ』
と歎願するを、玉国別はわざと不承不承に、
『然らば望みを叶へさせむ。三人とも一度に白狐の全正体をあらはし、この麻袋に飛び込み、おのおの自由に手を触れられよ』
と言ひ放てば、ここに三人ともたちまち白狐と変じ、先を争ひて布袋に飛び込みにけり。玉国別は、手早く袋の口を締め、
『サア悪神ども思ひ知つたか。狐の七化け、如何にたくみに化けるとも、狸の八化けには叶ふまじ』
といひつつ袋を大地に幾度となく抛げつくれば、白狐は痛さに堪へかね苦しき悲しき声をあげて救ひを求めける。玉国別は、
『邪神の眷属馬鹿狐、容赦はならぬ』
といひつつ袋に重き石を縛りつけ、玉の湖の深淵へどつとばかりに投げ込みにける。たちまち湖水は左右にひらき波浪たち騒ぎ、擬玉も狐と共に、ブクブクと音をたてて湖水の底深く沈没したりける。このこと常世彦の耳に入り、純銀の国魂は玉の湖の底深く、白狐と共に沈めるものと確信されたりければ、これより白銀の宮の国魂を奪はむとする計画は、あとを絶ちにける。
(大正一〇・一一・一八 旧一〇・一九 加藤明子録)
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