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文献名1霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻
文献名2第1篇 八洲の川浪よみ(新仮名遣い)やすのかわなみ
文献名3第3章 使臣の派遣〔153〕よみ(新仮名遣い)ししんのはけん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-04-29 17:12:50
あらすじ
広宗彦に送られてきた大道別の信書には、大道別一行が常世城に潜入しており、白狐の加護をもって邪神の計画を転覆させるつもりなので、安心して会議に使者を派遣するべし、とあった。

広宗彦はその意を汲んで、弟・行成彦を地の高天原代表として、会議に派遣することを決定した。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年12月16日(旧11月18日) 口述場所 筆録者出口瑞月 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月30日 愛善世界社版22頁 八幡書店版第1輯 380頁 修補版 校定版24頁 普及版11頁 初版 ページ備考
OBC rm0403
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本文  広宗彦は霊鷹の信書を見たるより急病と称して議席を退去し、わが居館に入りて、幾度となくその信書を繰返しくりかへし打ち眺め、漸くにして打うなづき会心の笑をもらし、枯木に花の咲きしごとき華やかなる心地したりけり。
 その文意の大略は左の意味が認めありぬ。
『私は大道別であるが、神命を奉じて常世の国常世城に忍びこみ、いまは常世彦命の従僕となつて一切の様子を探査してゐる。私は一度聾唖痴呆となつたが、南高山において不思議のことより一たび全快した。それより、各地各山の国魂神の動静を調査すべく長高山に進み、ふたたび神命により、今度は偽の聾唖痴呆と化け高白山にむかひ、つぎに世界の各地を精細に調査し、つひに常世城にいたり不可思議なる神の摂理によりて常世彦に見出され、聾唖痴呆の強力者として抜擢され、いまは城門の守衛となつてゐる。私のほかに八島姫、鷹住別、春日姫の三人は常世彦の気に入りの従臣となつて仕へてゐる。私と八島姫には神命によつて高倉、旭といふ二個の白狐が交はるがはる守護して、常に神変不思議の神力を現はし、吾が使命を全からしめてゐる。ついては今回の会議の目的とするところの真意は常世彦が神界の主宰者たらむとする、大野心から起つたもので、大自在天大国彦との密議の結果である。各山の八王や八頭はその真相を知つてゐないので、いづれも五六七の世のいまに出現するかのやうに平和来の福音として、有頂天になつて今度の会議を歓迎し、先を争ふて出席を申し込むといふ有様である。されども八王大神の目的は、聖地より代表者を送らせて、満座の中にて聖地を八王大神一派の管理に移した上、盤古大神をして国治立命に代らしめ、八王大神は貴下を却け、みづから天使長となりて神政を私せむとするものである。ゆゑに彼らはどうしても聖地より貴下または代理者を出席させやうとして種々の奸策をめぐらしてゐるから、どうしても誰かの神司を出席せしめねばをさまらぬのである。ゆゑに今回の常世会議を断然拒絶して一柱の神司も参加なきときは、貴下をして神界の攪乱者とみなし一挙に聖地を攻略せむとの下心であるから、いかに神徳盛大なりとて衆寡敵せず、敗北を見ることなきを保しがたければ、ぜひ行成彦を代理として派遣ありたし。吾らは神変不可思議の白狐の妙策をもつて、邪神の企図を根底より転覆せしむるの心算は確立しあれば衆議の如何にかかはらず、すみやかに決行されたし』
との文意であつた。
 広宗彦は決心の臍をかため、ふたたび大広間の会議に列し、使臣を派遣することを断乎として宣示したるに、母の事足姫は自説を固執して動きたまはず。されど広宗彦は、
『天下の一大事猶予すべきにあらず。たとへ大義親を滅するの結果を来すとも、天下を救ふを得ば決して大神の神慮を怒らしむるものにあらず。いまは形式律法等に囚はるべき時機にあらず』
と奮然として立ち上りぬ。弟行成彦はその説に賛成し、一切の情実を却け猿田姫、出雲姫その他の従者を数多引連れ常世の使者とともに天の磐船を天空にならべて出発したりける。あとに事足姫は、国治立命に無事を祈り、かつ日々侍者とともに、天の原なる国の広宮に詣でて行成彦一行の成功を祈りけり。これより常世城における大道別以下の神人の行動は、実に面白きものありしなり。
(大正一〇・一二・一六 旧一一・一八 出口瑞月)
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