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文献名1霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻
文献名2第2篇 天地暗雲よみ(新仮名遣い)てんちあんうん
文献名3第11章 敬神の自覚〔161〕よみ(新仮名遣い)けいしんのじかく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
八王大神らは第三回の会議開催に先立ち、天地の大元霊である天之御中主神(=大国治立尊)を奉祀し、天地の律法遵守を自覚した。

八王大神と常世姫は悔改め、盤古大神を奉戴して国祖を追い落とし、自らが地上神界の主権を握ろうという野望を放棄した。しかし、今度は自分が国祖の宰相神になろう、との新しい目的を抱いていた。

第二回会議の春日姫と八島姫は実は白狐の高倉・旭が化けたものであり、大道別の妙策によるものであった。

第三回会議前の祭典は無事に行われ、天空は澄み渡って常世城はすがすがしい神気に包まれた。会議は厳粛に幕を開け、八王大神は悔改めを述べて開会の辞とした。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年12月17日(旧11月19日) 口述場所 筆録者出口瑞月 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月30日 愛善世界社版67頁 八幡書店版第1輯 396頁 修補版 校定版71頁 普及版32頁 初版 ページ備考
OBC rm0411
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本文  常世彦をはじめ八百八十八柱の神司は、天地の大神の神慮に反し、律法を軽視し、この大会議を開催し又は参列し、大神の神慮を怒らせたてまつり、意外の失敗を招きたるに悔悟の心を起し、ここに諸神司は大会議の開催に先だち、まづ天地の大元霊たる天之御中主の大神一名大国治立尊を奉祀し、山野河海の珍し物を献じ、大神の守護のもとに至誠至実の神聖なる大会議を開催せむことを期せずして感得し、天地の大神の畏るべきを自覚したり。天地の律法には、
『省みよ。耻ぢよ。畏れよ。悔い改めよ。克く覚れよ』
との五ケ条の内面的戒律あり、これを的確に遵守せざるべからざることを自覚したり。これぞまつたく大慈大悲の大神の、甚深微妙なる恩恵の鞭なりにける。
 諸神人はここに翻然として前非を悔い改め、わが心胸に手をあてて反省し、各自の思慮の浅薄にして無智なりしを耻ぢ、天地主宰の大神の威厳の犯すべからざるを畏み、邪は正に敵しがたき大真理をおのづから覚り得たりけり。
 八王大神は、ここに地の高天原なるヱルサレムの聖地を蹂躙し、あはよくば漸進的に国祖の大神までも退去せしめ、みづから国治立命の職権を奪はむとする方法手段として、盤古大神を擁立して時を待つて盤古大神を押しこめ万古不易的に八王大神の神政を樹立せむことを企ててゐたるに、今回の失敗に八王大神常世彦は本心に立復り、常世姫もまた夫とともに『悔い改め』の心をおこしける。ここに八王大神は、国祖の地位を奪はむとするの大陰謀のみは断念したれども、国祖を奉じてみづから聖地の宰相神たらむとするの目的のみは夢寐にも忘れざりける。
 第二回の議席に現はれ、侃々諤々の雄弁を振ひ、満座の神人をして舌を捲かしめたる春日姫と八島姫の二女性は、その実は白狐の高倉と旭なりき。二女に化したる白狐は、大道別の周到なる妙策に出でたるものにして、いはば邪神の野望を破壊せむための反間苦肉の神策にして、敵本主義の謀略に出でたるものなりき。この白狐の今後の行動こそ実に面白き見ものなるべし。
 いよいよ第三回の会議を開かむと、まづ第一に常世城の大広間に荘厳なる祭壇は設けられ、海川山野の種々の神饌を供進せむと衆議の結果、宮比彦を斎主とし美山彦その他は斎官として神事に奉仕し、目出度く祭典は執行されたるが、このとき天空澄み渡りて一点の雲片もなく、微風おもむろに吹ききたつて温かに、鳥は艶声をあげて樹木の枝にうたひ、得も言はれぬ芳香四辺をつつみ、常世の春の長閑な景色はさながら、五六七の神政を地上に移写されたるかと疑はるるばかりなり。
 南瓜に目鼻をつけたるごとき、不景気な神人の顔も、蕪や、瓢箪や、茄子、長瓜、田芋などに目鼻をつけたるごとき、醜悪なる八百八十八柱の神人の面色も、この時のみは、実に勇気と希望に充ち、華やかなりけり。神々は心の奥底より、無限の愉快と喜悦とを感得したりける。大本神諭に、
『心の持ちやう一つによりて顔の相好までが変るから、心の持ちやうが一番大切であるぞよ』
と喝破されたるは実に至言といふべし。
 いよいよ第三回目の会議は、諸神人喜悦歓呼の間にもつとも荘厳に静粛に開かれける。諸神人は各自設けの席に着きぬ。この度は前回のごとき野天泥田の会議にあらずして、真の常世城内の大広間なり。神人らのうちには、前日の泥田に懲りてか、足をもつて座席を念いりに踏みてみるもの、手を伸ばして議席を撫でまはし、議場の真偽を試しみるものありき。中には吾と吾身をつめりて痛さを感じ、やつと安心の胸を撫でおろすもあり。どうやら今度は、真正の会議場であるらしいと自語するもありぬ。羹に懲りて鱠を吹くといふ譬へは、かかる時のことを指したるものなるべし。神諭に、
『国会開きは人民が何時まで掛りても開けは致さむぞよ。神が開かな開けぬぞよ。神が開いて見せうぞよ。改心なされ』
とあるは実に千古不易の至言なり。太古の神人さへも、国祖の御許しなくしては、かくのごとき失敗を演出するものを、况ンや罪悪の淵に沈みたる、体主霊従の人間の開く会議においておや。猶更の事なりと云ふべし。
 常世彦は、まづ神前に進み、恭しく拝跪して神言を奏上し、静かに中央の高座に登り謹厳の態度にて諸神人席に眼を配りていふ。
『吾らは成功を急ぐのあまり、神に祈願したてまつり、神助の下に神聖なる議案を討究することを忘却したるがために大神の神怒に触れ、議場はたちまち混乱に混乱の惨状を現出し四離滅裂の苦き経験を嘗めたり。いまより吾らは諸神人とともに、悔悟して世界平和のため誠心誠意をもつて終始せざる可らず。今日までの二回の会議は怪事頻々として湧起り、一つも決定にいたらずして幕を閉ぢたり。これ全く神慮に叶はざるがための結果に外ならざれば、今より改めて神聖なる会議を神助の下に開かむ』
と宣示し、諸神人は拍手して八王大神の宣示を迎へたり。
 このとき、天井には微妙の音楽聞え、天男天女は天の羽衣を春風に靡びかせながら、舞ひ遊び、以前のすさまじき猛虎、悪狐、獅子の咆哮、怒号の悪声や、天の鳥船の轟き渡る示威的光景に比ぶれば、天地霄壤の差あることを覚えしめける。
(大正一〇・一二・一七 旧一一・一九 出口瑞月)
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