このときの武備撤廃により、竜は太刀肌の鱗や角の一部または全部、獅子や虎などの猛獣は爪や牙、また翼を持つものは翼、狐神は鋭利な針毛などを抜き取られることになった。
狐神は衣食の元を司る飯成(=稲荷)の神の御用を務める使神である。稲荷の神は、豊受姫神、登由気神、御饌津神、宇迦之御魂神、保食神、大気津姫神とも称えられるが、同一神である。
狐神は、五穀の種を世界中に持ち運んで諸国に広げた殊勲がある。後に稲荷の神は、狐神たちに知恵を与えて世界のことを調査せしめる役をつけた。ゆえに、白(もう)し上げる狐、というので白狐というのであり、決して毛並みが白いわけではない。
また、猛鳥や魚類は、毒嚢や翼を除去された。
武装を除去された獣神たちは、次第に進化して人間と生まれ、神と生まれるに至った者たちもいた。
これらの説は、ただ王仁が高熊山で霊眼で見聞した談をそのまま語っているだけであり、その虚実についてはいかんとも答える由はないのである。