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文献名1霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻
文献名2第5篇 局面一転よみ(新仮名遣い)きょくめんいってん
文献名3第30章 七面鳥〔180〕よみ(新仮名遣い)しちめんちょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
桃上彦は部下の八十猛彦、百猛彦に命じて、広宗彦に、行成彦が常世城で天則違反の行いをなしている、と吹き込もうとした。

そして、詳細を国祖に奏上するべく今まさに常世姫が来場した、と言い、広宗彦は突然のことに混乱してしまった。

常世姫は聖城に入り来たり、広宗彦に向かって行成彦の悪行を猛烈に非難した。あまりのことに広宗彦が驚いているところへ、行成彦帰城の知らせがやって来た。

今度は逆に、桃上彦と常世姫が青くなってしまった。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年12月24日(旧11月26日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月30日 愛善世界社版187頁 八幡書店版第1輯 438頁 修補版 校定版197頁 普及版84頁 初版 ページ備考
OBC rm0430
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本文  聖地の天使長広宗彦命は、常世城における会議の結果と、行成彦一行の消息如何にと心を悩ませゐたる折しも、桃上彦の従臣なる八十猛彦、百猛彦は慌ただしく広宗彦命の前にあらはれ、その面上に一種異様の色をうかべて、
『急変あり、隣人を遠ざけたまへ』
と奏上しける。
 広宗彦命は二人の啻ならざる顔色に不審の眉をひそめながら、その言を採納して従臣らを残らず別室に立去らしめたり。二人は肩を怒らせ肱を張り、眼を丸く光らせ、口を尖らせ、何物にか襲はれたるごとき形容にて、
『天使長よ、常世の会議について一大事変突発せり。天則破壊の張本人は貴下の代理として出張されし行成彦一行なり。ただ今常世姫遥々来城ありて、その詳細を貴下を通じ、国祖の大神に奏上すべく準備中なり。いかが取計らはむや』
と二人は異口同音に符節を合したるごとく奏上したり。二人の一時に同じ語を揃へて発したるも道理、二人は野心つよき桃上彦の命により、持てる笏板の裏にこの奏言を書き記して読みあげたればなり。
 広宗彦命は二神の意外なる報告に茫然として返す言葉も出ざりし。時しも桃上彦は、常世姫の後にしたがひ、悠然として入りきたり、勝ち誇りたる面色にて、その麗はしき白き顔を空に向つて少しくしやくりながら、
『ただ今これなる常世姫、常世城の常世会議の報告のため、はるばる来城あり。速かに国祖の大神に、この由伝奏せられたし』
と叩きつけるやうに云ひければ、広宗彦命は弟の高慢不遜なる態度に憤懣せざるを得ざりけり。されど天地の律法に省み、わき立つ胸をジツとこらへ、さあらぬ体にて、
『常世姫遠路の御旅行、御疲労のほど察し入る。先づこれにて御休息あれ』
と席をゆづつて側に端坐したり。常世姫は、何の憚るところもなく、
『しからば高座を許されよ』
と悠然として座に着きぬ。この時の姫の態度は、群雀の中に丹頂の鶴のただ一羽、天空より舞下りしごとく、一種不可思議の威厳をもつて、諸神司を圧伏するやに見えにける。
 常世姫は、慇懃に一別以来の挨拶を述べ、かつ行成彦を聖地の代理として、はるばる常世城に派遣されしその好意を感謝し、かつ八王大神はじめ我身の不覚より、千載一遇の大会議をして紛糾混乱の極に達せしめ、かつ聖地の使臣らの一片の誠意なく、権謀術数のみをこれ事とし、神格を傷つけたることを遺憾とするの旨を言葉さはやかに諄々として述べ立てたり。
 広宗彦命は頭上より突然冷水を浴せかけられたるごとき心地して、答ふる言葉も知らざりき。姫はなほ語をついで、
『妾は貴下の知らるるごとく、国祖国治立命の娘稚桜姫命の第三女にしてこの聖地に永く神務を執り神政を輔佐したてまつりたるは、貴下の熟知さるるところならむ。妾は身はたとへ海洋万里を隔てたる常世の国にありといへども、聖地を忘れたることは瞬く間もなし。今回の常世会議は、神定の聖地にて開かざりしは、第一八王大神はじめ妾の失態には相違なけれども、今日の聖地の実況に照し、深く思ひ、遠く慮りて聖地を避け、常世城に開催したるもその真意は、聖地の混乱紛糾の内情の天下に暴露せむことを恐れたればなり。しかるにただ単に吾々夫婦の野心遂行のために、常世城に諸神司を集めこれを籠絡せむとしたりとの聖地の使臣らの言は、実に乱暴の極にして天地の大神も、各神人も共に歯ひせざるの大非行なりと信ず。賢明なる貴下は天使長たるの資格をもつて、妾が陳述の詳細を国祖の神に進言されたし。貴下にして直接進言を肯ンじたまはざれば妾を大神の御前に導きたまへ』
と進退させぬ言霊の猛烈なる釘、鎹を打たれる広宗彦は思はず額を撫で、頭を掻き太き息を漏らすのみなり。
 このとき桃上彦は猛然として立上り、
『兄上に一言せむ』
と威猛高に呼はる折しも、門外俄に騒がしく、広若を真先に二三の従臣慌しく入りきたり、広宗彦命に向ひて、
『行成彦の御一行御帰城あり』
と報告したりけるに、常世姫、桃上彦の顔色は、七面鳥のごとくさつと色を変じたりける。アヽこの結果は如何。地震か暴風雨の襲来か、次章に明白とならむ。
(大正一〇・一二・二四 旧一一・二六 外山豊二録)
(第二二章~第三〇章 昭和一〇・一・二一 於久留米市 布屋旅館 王仁校正)
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