桃上彦は辞任の意を常世姫に伝えた。常世姫は内心喜びつつ桃上彦の辞表を受け取った。
ここに聖地は四分五裂の惨状を呈した。この危急に各地の八王、竜神たちをはじめ神々が聖地にはせ参じた。八王大神常世彦、大自在天も聖地の存亡を憂うあまり、敵味方の心情を忘れて聖地に参画したのである。
もとはみな、国祖を大神といただく神々であるから、その天性に立ち返ればたちまち至善至美の徳を発揮するのである。
しかしそうした神代の神人らも、ふとした隙に邪神に魅入られてしまうと、たちまち行動一変し御魂も変化してしまうのである。
ここで六面八臂の邪鬼とは、さまざまな姿かたちに変化し、さまざまな技巧・技能に通じた邪神のことを言うのである。
また金毛九尾白面の悪狐とは、美しい女性の姿と威厳ある金色によって諸神を驚惑する所業をいう。また九尾とは完全無欠を意味している。魔術に長じていることを指す。
八頭八尾の大蛇は、自分の分霊を各地に配って千変万化の悪事をなす竜神、という意味である。
蛇足ながら、悪神の三種類について述べたまでである。