高月彦は天使長の職に就いた。その祝宴のさなか、常世姫は夫に死に別れた悲しみから、自ら竜宮城の主宰を辞して、長女・初花姫にその役を譲ることを望み、神人らに承認された。
しかし初花姫が登壇すると、五月姫も傍らに登って互いに姉妹の座を争い始めた。常世姫でさえ、どちらがどちらかわからなくなってしまった。
宮比彦は国祖の審判を仰ごうと奥殿に参向したが、大八洲彦命に「このような妖怪変化を見破ることもできないのか」とたしなめられた。
大八洲彦命の言に恥じた宮比彦は天の真奈井に禊して、国祖の奇魂を宿すにいたった。大広間に戻った宮比彦は鎮魂の組み手から霊光を発射すると、五月姫は金毛九尾白面の悪狐の正体をあらわし、逃げてしまった。
常世姫は悪狐が自分の体を借りて生まれ出たことに衝撃を受け、病を発して昇天してしまった。
一方初花姫は今までと変わって険しい顔立ちになってしまった。神人らは竜宮城主宰という重責に緊張しているのだろう、と思っていたが、これは金毛九尾白面の悪狐が初花姫に懸かってしまったのである。