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文献名1霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻
文献名2第8篇 天上会議よみ(新仮名遣い)てんじょうかいぎ
文献名3第44章 虎の威〔194〕よみ(新仮名遣い)とらのい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ地月(地汐?) データ凡例 データ最終更新日2024-06-19 01:26:22
あらすじ
常世彦と大国彦の権勢を嵩に着た美山彦、国照姫は聖地で国祖の前に出て、まず大八洲彦命、言霊別命、神国別命、大足彦を根底の国に追放するように、と迫った。

国祖は八王大神の意見を尊重し、涙ながらに四神を夜見の国なる月界に追放した。四神は四魂合同して国大立命となり、また月の大神の精霊に感じてふたたび地上に降り、千辛万苦の末、五六七神政の基礎的活動を開始することになる。

次に高照姫命、真澄姫、言霊姫、竜世姫らは大地の底深く、地月の世界に追放された。そして地月の精霊に感じて大地中の守護神となり、四魂合同して金勝要之神となった。時を得て地表の世界に出現し、五六七神政の基礎的神業に尽力されつつ、太古から現代に至るまで、神界にあって活動を続けている。

しかしながら、悪神たちの中にこの神業を知る者は、一柱もなかった。

さて、美山彦と国照姫は最後に、国祖ご自身の隠退を勧告するはずであったが、さすがに大神の威徳に打たれて、その後は何も言わずに引き下がった。

常世彦は美山彦と国照姫が肝心の国祖の御引退を進言しなかったことに怒り、蟄居を命じた。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年12月29日(旧12月01日) 口述場所 筆録者 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月30日 愛善世界社版267頁 八幡書店版第1輯 466頁 修補版 校定版275頁 普及版120頁 初版 ページ備考
OBC rm0444
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本文  美山彦、国照姫は天下万生の代表と自称し、かつ八王大神および大自在天の勢力を笠に着ながら、虎の威を藉る野狐の尾を掉り廻し、傲然として聖地の国祖大宮殿に数多の神人を引率し、常世城の大会議における諸神司の信任と希望とを担ひて、勧告使に選抜されしことを居丈高に吹聴し、ただちに国祖の御前に進み進言すらく、
『今日の美山彦、国照姫は前日のごとき微々たる美山彦、国照姫にあらず、勢望仁徳天下に並びなき、畏くも八王大神常世彦、権勢天下の神人を圧する神力無双の、大自在天大国彦の代表者にして、八百万の神司の代表たる勧告使の重職を担へる美山彦、国照姫なれば、国祖大神におかせられても、必ず粗略の取扱ひあるべからず』
と傍若無人の言辞を弄しながら、
『先づ第一に大八洲彦命以下の頑迷固陋なる神々を、神界平和のため、八王大神の聖意に答ふるため、国祖の神権をもつて御側を追放し、神界攪乱者として根の国底の国に退去を命じたまへ』
と無礼千万にも強力なる後援者あるを楯にして強硬に迫りける。国祖は美山彦にむかひ、
『汝の言果して八王大神および、大自在天その他一般の意見なりとせば、アヽ余また何をか云はむ。至正至直の神人も、天下の平和のためには涙を呑んで馬謖を斬らざるべからざるか』
声涙交々降らせたまひ、感慨無量の御面色に、近く仕へたてまつれる神人らも、美山彦らの従臣らも、涙の袖を絞らぬはなかりける。心弱くては今回の使命は果しがたしとや思ひけむ、やや憂愁に沈まむとせる美山彦を励ましながら、国照姫は国祖の返答をしきりに促したり。国祖も事ここに至りては如何ともなしたまふの余地なく、その請求を容れて大八洲彦命、言霊別命、神国別命、大足彦を根の国に追放したまふことを承認されたりける。
 ここに右の四神司は、国祖の厳命によりて、夜見の国なる月界に神退ひに退はれ、四魂合同して国大立命となり、月の大神の精霊に感じてふたたび地上に降り、千辛万苦を嘗め、五六七神政の基礎的活動を開始されたれど、体主霊従の八王大神および大自在天一派の神人は、一柱として此の間の消息を知るもの無かりけり。
 次に高照姫命、真澄姫、言霊姫、竜世姫は、大地の底深く地汐の世界に神退はれたまひ、地汐の精霊に感じて大地中の守護神と現はれ、四魂合同して金勝要之神となり、時を得て地表の世界に出現し、五六七神政の基礎的神業に尽力されつつ太古より現代に至るまで神界にあつて、その活動を続けられつつありしなり。
 されど八王大神系の神司らも、大自在天系の神司らも、一柱としてこの神業を知了し居る者は絶対にあらざりしなり。神諭に、
『昔の神代が環り来て、元の昔の神代に立替るぞよ、三千世界一度に開く梅の花』
などの神示を十分味はふべきなり。
 さて美山彦、国照姫の二人は、右の諸神人を国祖の御神権によつて、追放せしむべきことを、面を犯して強硬に進言し、さいはひにその目的は達したるが、肝腎かなめの国祖の自発的御退隠の勧告に対しては、さすがの邪神も口籠り発言を躊躇し居たり。大神は矢つぎ早に、
『汝の進言はこれにて終れりや』
と問はせたまふに、二使者は大神の威厳に討たれて何心なく、
『もはや申し上ぐることこれ無く候』
と、思はず答申したりける。国祖大神は二使者の答を合図に、ツト立ちて玉の襖を手づから閉ぢ奥殿深く隠れさせたまへり。二柱の使者は奥歯に物の挟まれる如き心地しながら勢なく、その結果を八王大神に奏上したり。八王大神は肝腎の国祖大神に対する自発的御退隠を勧告し能はざりし二人の卑怯を怒り、直ちにこれに蟄居を厳命したれば、夜食に外れた梟鳥面ふくらせながら悄然として退場したりける。
(大正一〇・一二・二九 旧一二・一 出口瑞月)
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